長井さんは、設立されたばかりのサイマルでプロの通訳者としてデビューされました。
プロの通訳者となって、最初の仕事はクライオジェニック(低温)工学の国際学会で、アメリカ人の科学者が英語でおこなう発表を、長井さんが日本語に通訳するというものだったといいます。
この時、発表する内容が書かれたテキストが事前に渡されていたということで、当時はまだ通訳者として未熟だった長井さんは、発表者に、テキスト通りに喋るようにお願いしたといいます。
その結果、発表者は発表の前に、「通訳者に原稿通りに話すように迫られたので原稿通りに話します。」と言われ、会場から笑い声が漏れたといいます。
そんなデビューだったといいますが、小見出しは、
プロの通訳者としてデビュー
成为专业口译员
chéngwéi zhuānyè kǒuyìyuán
中国語の意味は「プロ通訳者になる」です。
「デビュー」の中国語表現は、
“初次登台”
“ chūcì dēngtái ”
とか、
“ 初出茅庐 ”
“ chūchūmáolú ”
がありますが、台湾で出版されたこの本では、
“出道”
“ chū dào ”
と表現されていて、電子辞書を調べると、
(港台)(俗)芸能界入りする。デビューする。
とあります。
でも、小見出しの日本語を中国語にするのに、これらのどれも使っていません。
「~としてデビュー(する)」
なら、
“作为……出道”
となりそうなのですが、そうなっていないというのは中国語として、そして小見出しに使われる表現としてはふさわしくないのでしょう。
こういったところからも、翻訳や通訳は単語を置き換えるだけではなく、「ふさわしい表現にする」ということだということがわかるのですが、それはさておき、
“成为”とう言う表現で思い出したのが、
“我要成为海贼王”
“ wǒ yào chéngwéi hǎizéiwáng ”
「オレは海賊王になる!!!」
です。
※「オレは海賊王になる男だ」というセリフなら、
“我是要成为海贼王的男人”
“ wǒ shì yào chéngwéi hǎizéiwáng de nánren ”
こんな風に漫画のセリフで中国語を学ばれている方も多いと思いますが、興味を持ち、楽しめば脳も活性化され、学習効果も高いようなのでおすすめです。
「プロ」という日本語表現が“专业(専業)”となっていて、まるで兼業ではないのがプロのようになっているのですが、このあたりも、日本語の「プロ」が単純に中国語表現に置き換えることができないという一つの例でもあります。
