「伝言ゲーム」ではなぜ正しく物事が伝えられないのか | SC神戸中国語スクール 京都校

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通訳に必要な能力のうち、語学については「2つ以上の言語を流暢に話すことができる能力」が必要だというのは誰もが知っている事。

でも、語学だけでは足りません。

 

通訳は、

 

1.話し手の言うことを聴き取り、何がいいたいのかをつかむ。

2.それを聞き手が理解できる言語に変換する。

3.変換したものを聞き手に伝える(この時、聞き手が理解しているかを確認している)。

 

【話し手】⇒通訳⇒【聞き手】

 

これはちょうど「伝言ゲーム」で、当然ですが話し手を伝えたい内容をそのまま正しく聞き手に伝えなければなりません。

でも、「伝言ゲーム」の面白さは、話を伝える途中で間違って伝わる所。

通訳でこれがあってはならないので、「聞いたことを正しく伝える能力」が必要です。

 

でも、これって実は難しいのです。

 

日本語の世界で「伝言ゲーム」をしても言い間違い、聞き間違い、誤解があるのに、ある言語から別の言語に変換するのですから、その難しさはご理解いただけると思います。

 

昔いた会社の上司が、

 

「私は、聞いたことをそのままただしく別の人に伝える事ができる」

 

と言っていましたが、これは一つの能力です。

 

では、「伝言ゲーム」ではなぜ正しく物事が伝えられないのか。

この事が知りたくてこの本を購入しました。

 

 

この本、外国語を学ぶ事にもとても役に立ちますが、それはまた別の機会に。

今回は、「伝言ゲーム」ではなぜ正しく物事が伝えられないのか。についてご紹介します。

 

私たちの記憶は、どれだけ意識しているか、その情報にどんな気持ちを抱いているかによって、覚えやすいものかどうかが決まってしまうのです。

また、その記憶の内容を、自分の都合のいいように解釈してしまう性質もあるのです。

(脳の力大研究、林成之著、産経新聞社の本、P93)

 

「記憶は、イメージ記憶」だとの事。

人間は、コンピューターのように0と1の電気的信号ではっきりと記憶しているのではなく、色んなイメージとして記憶している。

だからあやふやで、間違えやすいもの。

そして、「気持ち」が関係していることがとても興味深いと思います。

通訳をしていて、なんとなく今日は調子が悪いなと思う日は、通訳をしていてもやはり調子が悪い。

何かうわずるというか空回りしている感じがします。

そういう意味で、通訳に必要な能力のうちの一つに、「最高のパフォーマンスができるよう、常に平常心を保つ能力」も必要です。

さて、そんな「記憶」ですが、続いて次の説明があります。

 

本能は人間が生きていくための仕組みとも連動してきますので、誰も変えることはできません。

人は生きていきたい、自分を守りたい、自分の仲間や生まれた国を愛したい、わからないことを知りたい、などといった本能的な考えが、イメージ記憶に自然に影響を及ぼしていくのです。

このため、自分にとって不利な内容の情報があったりすると、自己保存の本能がはたらいて、自分にとって少しでも都合のいいように話を変えてしまうことがあります。

また、そんなはずがないと考えて、自分の脳を守ろうとしたりします。

 

つまり、私たちの脳は、このような形で間違いを避けられない仕組みを持っているのです。

このために、聞き返しができない伝言ゲームでは、正確に意味を伝えられないこと、人の話を正確に聞けないこと、自己保存の本能や同種既存の本能がはたらいてしまうこと、自分に都合の悪い話は聞きたくないこと、などといった条件が作用して、正確に情報が伝えられなくなってしまうのです。

(脳の力大研究、林成之著、産経新聞社の本、P94)

 

いかがでしょうか?

自分にとって少しでも都合のいいように話を変えてしまう。

記憶ってそんなものだったのですね。

さらにここには通訳の能力について大切なことが書かれています。

 

(聞き返しができない伝言ゲームでは、)

正確に意味を伝えられないこと、

人の話を正確に聞けないこと、

(以下は通訳としてはまずありえないと思うので略します。)

 

「正確に意味を伝えられないこと」

 

これは話し手の問題です。

話し手には「伝えたい想い」があり、それを言葉を使って表現します。

この時、「伝えたい想い」をできるだけ100%伝えようとしますが、言葉を使うとどうしても想いを100%伝えることはできません。

だとすると通訳は話し手が使った言葉をヒントにして「本来はどのようなことを伝えたいのか」を類推しなくてはなりません。

通訳にはこのように「話し手の言葉から話し手が伝えたい想いを類推する能力」も必要です。

さらに、

 

「人の話を正確に聞けないこと」

 

これは通訳者の問題です。

外国語だから聴き取ることができない?いえいえ、それだけではありません、そもそも人の記憶とは自分に都合のいいように変えてしまうもの。

伝言ゲームの例でわかるように、人の話を正確に聞くというのは一定の難易度があるのです。

ですから、「人の話を正確に聞く能力」も通訳には必要なのです。

 

「話し手の言葉から話し手が伝えたい想いを類推する能力」

「人の話を正確に聞く能力」

 

「・・・想いを類する能力」について、一般の方は気にすることはあまりないかもしれませんが、「人の話を正確に聞く能力」について、それはできて当たり前だと思われるのではないでしょうか?

でも、実際、誰かが通訳をしているのを聞いていて、無意識で右を左と言ったり、~してはいけないと言っているのに~しなさいと言っている場面がありました。

人というのはいかに思い込みで通訳をしているのかということがよくわかりました。

 

「伝言ゲーム」ではなぜ正しく物事が伝えられないのか。から始まった今回ですが、私にとってはとても深い、そして大きな気づきがありました。