どれほど優れた文章、内容的に価値のある文章であっても、書き出し(冒頭の数行)で読む人の興味・関心を引くことができなければ、続きの文章を読んでもらうことができません。
とくに、「律儀すぎる(おもしろみのない)説明描写」などから始まる文章は、読む人に「退屈そうだ」と思われかねません。
情報が氾濫するこの「超情報化社会」のなかで、書いた文章を読んでもらうことは、簡単ではないのです。
文章を読んでもらえるか否かのカギを握るのが「書き出し」です。書き出しで興味・関心を引くことができれば、精読率(じっくり読まれる確率)は高まります。
読む人の興味・関心を引く文章テクニックのひとつに「具体的なエピソードから書き始める」というものがあります。
【例文1】
バイト代が入るのは毎月25日だ。給料日まで1週間を切ると、本格的な節約体制に入る。食費がそのひとつだ。
【例文2】
8枚切りの食パンに、マヨネーズを塗るだけ。こんな味気ない夕食が、もう3日も続いている。
いずれもブログ記事の「書き出し」です。仮に、同じ内容の記事だった場合、続きを読みたくなるのは、具体的なエピソードを書いた【例文2】のほうではないでしょうか。【例文1】はきまじめな説明説明です。親切といえば親切ですが、読む人の興味を引きつける力はありません。
加えて、人はイメージしやすいものに興味を引かれる傾向にあります。【例文2】を読んだ人のほとんどが、マヨネーズが塗られた薄切りの食パンを頭に思い浮かべるでしょう。
ちなみに、エピソードを語る際には、カギ括弧から始めると、より活き活きとした場面描写が可能になります。
以下は「書き出し」にカギ括弧を用いた例です。
「ちょっとあなた! 靴下は洗濯カゴに入れてって、何回言えばわかるの!」。鬼ヨメのこのひと言で、わが家に緊張が走った。
「おい浩二、おれもガラケーからスマホに換えたぞ! インスタの使い方を教えてくれ」と大はしゃぎしているのは、還暦を過ぎた私の父だ。
「うぐぐぐぐ~」。その激辛麺をひと口食べた瞬間に、口の中が火事になりました。
「おいおい、ウソだろ?」。不合格の一報を受けたとき、目の前が真っ暗になった。
「三度のメシよりアイスクリームが好き!」という方に、今日は知る人ぞ知る抹茶シュークリームの名店を紹介します。
「やべぇ!」と飛び起きたら、すでに8時を回っていた。
「錦織、よくやった!」。鋭いサービスエースが決まった瞬間、テレビに向かって、思わず叫んでいました。
「どうせ誰に投票したって、政治なんて変わらないだろ?」。斉藤さんの本音を耳にしたとき、私はがっかりしてしまった。
お気づきのように、カギ括弧に入る言葉は、会話文だけとは限りません。心情を語る「独り言」のようなものでもOKです。
会話や独り言から文章を書き始めることによって、臨場感が生まれ、読む人が頭の中で情景(光景)をイメージしやすくなります。
あなたは「書き出し」に工夫を凝らしていますか?
読む人の心をギュッとつかんで精読率を高めたいときは、「具体的なエピソードから書き始める」ことも検討してみましょう。