台湾Netflixでしか配信されていない台湾ドラマを、図らずも台湾でダウンロードしてきて(日本配信のドラマをDLしたつもりだった)、帰国後第3話まで視聴して初めて「台湾のみ配信」という事実に気づいたたまりです(実話)。
それは2023年の台湾ドラマ『八尺門的辯護人』。原作は同名の小説で、台湾社会の深くて暗い、そして何層にも折り重なった暗部に、闇に、真正面から切り込んだ社会派ドラマです。重いです。明るい法廷ドラマかと思って見始めてしまったため笑、衝撃も半端なく、一回挫けそうになりました。
一番大きなテーマはやはり「死刑制度」の問題でしょうね。作者は死刑反対の立場だと思いますが、偏向的な描かれ方はしていない。世論はまだ賛成派が多いという事実も尊重し、双方の主張、論点、法律家の苦悩もきちんと描きだしています。この辺りが本当に上手いと思いましたね。
最初、タカラと敵対していたように見えた検察官、劉家恆が言います。「綺麗事を言う方は楽だよな、ただ姿勢を正し凛として立っているだけでいいのだから」...。
タイトルは『「八尺門」の弁護人』、という意味ですが、タイトルの「八尺門」というのは、主人公タカラ(佟寶駒)の出身地で、アミ族の人たちが住む団地のある海辺の漁師町。基隆です。基隆は今年8月に行ったばかりだったので、切ない場面で出てくる基隆港の風景、余計にグッときました。
「辯護人(弁護人)」にも意味があると思います。なぜ「律師(弁護士)」ではなくて「辯護人(弁護人)」なのか。主人公のタカラは弁護士ではなく、公設の弁護人(国選弁護士)。詳しくは調べられなかったのですが、どうも資格も違うようで、一般の法律事務所で働く弁護士になるためには、上司の推薦(査定)が要るようです。
タカラはなぜ弁護士ではなく「弁護人」なのかという問題も。背景に、未だ台湾に存在する原住民の人々への構造的差別があるのは明らかです。そして新住民と呼ばれる東南アジア系住民への根強い差別。いろんな台湾映画やドラマで描いてこられているので、この辺りは分かりやすいと思います。
重かった。でも見てよかった。一朝一夕で解決する問題ではないけれど、社会問題として何度も炙り出しえぐり続けていく台湾に、光を感じるドラマでした。特に7話と最終回の8話は本当に良かったです。
主役を演じた李銘順の演技力も大きいですね。凄かった。惜しむらくは、法務部長役の俳優さん。変節の訳をもう少し出して欲しかった!したたかさにしろ、そうせざるを得なかった苦悩にしろ、あともう一歩!
※あくまでも個人の感想です。
