台湾ドラマ『天橋上的魔術師(歩道橋の魔術師)』の不思議ワールドで彷徨う | 台湾華語と台湾語、 ときどき台湾ひとり旅

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呉明益氏の短編小説集『天橋上的魔術師(歩道橋の魔術師)』をドラマ化したもの。80年代当時(原作では1979年、ドラマでは1985年の設定)の中華商場といういわゆる商店街兼集合住宅を巨大セットで再現し、話題になった。

 

 

台湾の公共テレビ局「公視」が海外からも見れるようにしてくれた。「公視+」というアプリを入れて、私はFacebookのアカウントでサインイン。クレジットカードで130元(日本円で約500円)を支払ったらすぐに視聴可能に。これは本当に嬉しい措置で、以前『怒りの菩薩』を同じように「公視+」で見た時は海外からは視聴不可だった。私はわざわざ台湾に行って見たのだ。

 

私の大好きな、台湾リアルローカルの笑って泣けて、最後に心洗われて元気になれる、そんなドラマでは、ない。

 

リアルと言えばリアル。当時の台湾の猥雑で粗野で卑屈で非情で無知蒙昧…そんな部分もあからさま過ぎるほどに描かれている。最初はこれがきつかった。最後まで見るのは無理かも。と思っていたら第5話!その台湾の負の部分が極点に達し歴史(具体的には白色テロ)の犠牲になった家族と少女の話で感情が激しく揺さぶられて号泣。でも逆に心が解き放たれた感じがして、その後は一気に最後まで。

 

ドラマの一話のタイトルが原作の短編のタイトルと同じものもあるが、ストーリーを一篇一篇忠実に再現してあるのではない(最初はこれで戸惑った)。原作の内容は街の記憶として一旦まとめられ、そこからいくつかのテーマが抽出され構成し直されている。

 

ノスタルジックなファンタジーであり、ファンタジックな歴史ドラマ。だから魔術師がキーパーソンで、キーワードは「99階」。1篇のテーマが重ければ重いほどファンタジックになっていく。現実なのか幻想なのかわからなくなってくる。言葉も中国語はもちろん、台湾語、客家語、日本語、英語、混じりに混じってまさに混沌。日本語字幕になった時、そのリアルな混沌をどこまで表現できるのか、ちょっと気になる。

 

最終回はいろいろと納得がいった回だった。なるほどそういうことだったのね、と。でもまだまだよくわからない所も多いのでただいま2回目視聴に挑戦中。

 

気軽に楽しく見れるドラマではなく、見るにはかなりの覚悟が必要かも。でも一旦引き込まれたらもう戻れない。台湾の80年代、中華商場の不思議ワールドでしばらく彷徨い続けることになる。ひーっ。