台湾の白色テロと言えば、ハリウッド映画『被出賣的台灣』(FORMOSA BETRAYED)。邦題は『裏切られた台湾』。2010年8月に台湾で見た。江南事件と陳文成事件及び美麗島事件をモチーフに、80年代前半のまだ白色テロが残る台湾、しかし民主化へ向けて人々が動きだした頃の台湾を描いたフィクションである。
江南事件とは1984年。在米台湾人作家の江南(本名/劉宜良)が台湾の暴力団員に殺害された事件である。事件の背後に台湾の政府関係者がいたことが明るみに出てアメリカとの外交問題に発展しそうになったことで知られている。
去年の全聯スーパー中元普渡のCMで登場したインテリ青年は陳文成ではないかと言われたが、この陳文成の変死事件が陳文成事件。これがなぜ白色テロだとされているかと言うと、台湾大学で見つかった彼の死体は靴下を穿いておらず、靴の中に100元札が押しこまれていたからである。旧時、死刑執行人が行った鎮魂の行為なのだそう。
全聯スーパーのCMで2番目に登場するおじいさんは、1968年「親共」の嫌疑で投獄された作家の柏楊ではないかと騒がれた。柏楊の事件は大力水手(ポパイ)事件と呼ばれている。なぜポパイ事件かと言うと、実際にアメリカ漫画の「ポパイ」が原因になったからである。
小さな島を購入したポパイ親子が、どちらが島の大統領になるか選挙で決めようと(住民は2人だけなのに)選挙演説をする。というストーリー。マンガの翻訳をしたのが柏楊なのだが彼の訳は原文とだいぶ違っていたのだ。
ポパイのセリフが「我要寫一篇告全國同胞書」(←毎年元旦に蒋介石が発表する文章)などと訳されていたことも問題視されたが、ポパイ親子を蒋介石&蒋経國に見立てて諷刺していると批判され、漫画掲載(1968年1月3日)から2ヶ月後(3月4日)の柏楊逮捕と相成った…。