以前勤めていたデパートに、ある常連客がいた。(常連客とはいえ、何も買った事はない。新作の服をほぼ毎日のように見に来て、似たデザインを自分で作る人だった)
その方は私が勤めて最初に話しかけて来た人だった。
「あなた日本人?」と声をかけられ「そうです、どうして分かったんですか?」という会話から始まった。
その方の嫁が日本人で、カーライルから3時間ほど離れた場所に住んでいるとの事であった。

ある時、孫の写真を持ってきた。
同時に嫁の愚痴も言っていた。
内容は「嫁が日本語を教える事に反対」という事。

「うちの孫はイギリスで生まれ育っているの。これからもそう。日本に行くこともないし、住むこともない。ならば世界共通語である英語を話せれば、今後何の問題もない。日本語など1つの国の言語でしかないから、習得する意味なんてあるかしら?私は嫁にそう言っているの。箸の持ち方くらい練習させても良いけど、話せるようになる練習なんて反対だわ」と言った。

それまでこのお客さんとよく話ていたが、これを聞いて以来、私の中で「大英帝国のオバハン」と名付け、避けるようにしてきた。
別に2か国語習得してもエエやん。

数日前、用事で町に行ったら、この「大英帝国のオバハン」にバッタリ会ってしまった。
2年ぶりの再会であるが、大英帝国のオバハンは「息子が日本人の嫁に毒され、親子で日本に移住してしまった」と話した。
「あんな小さな島で、孫はどんな可能性を持てるのか」また放射能についても、「日本人は危険を隠している」と言った。

日本人を前に、包み隠さず言う大英帝国のオバハン。
あんたの、そういう所が嫁は無理やったんちゃうか?と言いたかったが、もう面倒臭いので笑顔で去った。
さぞかし、日本を満喫しているであろうお嫁さんを想う。

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