着信画面には部下の名前。
スピーカーにして通話ボタンを押す。
旦那が手にスマホを持ちスピーカーにして会話が始まった。
でも旦那の親指が切るボタンをいつでも押せる様にスタンばってるのをわたしはすぐ気付いて、旦那からスマホを取り上げた。
電話口の部下は
『もしもし〜?ここどこー?!ねー、帰れないんだけどー!ねー、ここどこ〜!?』
と、酔っ払いモード。
旦那は必死に彼女の声をかき消す様に、
『今もう家だから』
『嫁と息子と話してるから』
と言っても、彼女は
『えー?あー、そうなんですかー?ねー、やばいー、酔っ払ったー!』みたいな事を大声で話してる。
『タクシーでも拾って帰れ。もう、今家族といるから。迷惑だから切るぞ。ちゃんと帰れよ』とか上司っぽく話してるけど、新入社員が40過ぎの上司に酔っ払ったとは言え、こんなタメ口あり得ない。
たまらず、わたしが切り出した。
私『もしもし?大丈夫?だいぶ酔っ払ってるみたいだけど…』
部下『あ、はい。あ、大丈夫です。すみません』
私『新入社員の子だよね?ウチの旦那とどーゆう仲か分からないけど、上司に掛けてくる電話じゃないんじゃないかな…』
部下『あ、すみません…、なんかごめんなさい。あ、でもそーゆうんじゃなくて…』
私『どーゆうのわからないけど、もし、そーゆうのだとしたら、やめておいた方がいいよ。もし、あなたがウチの旦那に好意を抱いてくれているなら、辞めた方がいいです。私の知る限り、Nさんがそーゆうのだとしたら、あなたで3人目です。常習犯だから』
部下『え?あー、あの、全然違います、私は旦那さんの事上司として尊敬してて、それだけです。あー、常習犯なんですか?やっぱり、そーですか…。でも、ほんとわたしにそーゆう感情とか全くなくて、信頼して尊敬してる上司なんです』
私『そう、じゃあNさんがそう言うなら信じるね。でもね、ウチにもあなたと近い年齢の娘もいるから、もし自分の娘が悪意もなくこうやって人の家庭を壊しかねない事をしちゃってたら、わたしは親としてすごく嫌なの。だから、これは知ってて欲しい。さっき聞こえてた会話は新入社員が上司に話す言葉ではないし、こんな時間に既婚者に電話はしちゃダメだよ。Nさんにそういうつもりがなくても周りにはダメな大人は沢山いるの。そんなのに巻き込まれちゃダメだよ…。そして、酔っ払って電話をかける相手は間違いなく上司じゃなく友達なり彼氏なりにするべきなんだよ。わかる?』
部下『はい。わかりました。なんか本当にごめんなさい…』
私『ううん、こちらこそごめんね。こんな事に巻き込んでしまって。びっくりしたよね。あのね、さっき尊敬できる上司って話してくれたなら、明日からも変わらずお仕事してね。それで、こんな事言うのもあれだけど、今日こんな電話の内容は同期の子だったり社内の人には言わないでおいてね』
部下『そんな、もちろんです!言わないです、わたし!』
私『うん、ありがとうね。まだ外なんでしょ?帰れる?大丈夫?あのね、もう1時過ぎてるからね、若い女の子がほんとに危ないからね。ちゃんと帰ってね』
部下『はい。大丈夫です。あの、本当に私、なんでも話せて頼りしてる上司と思ってだだけなんです。本当です。ごめんなさい。』
私『うん、わかった。だとしたら、ウチの旦那が悪かったね。上司からのそんなの迷惑でも言えないもんね。立場も考えず、そーゆう常識も教えるべき旦那がそれが出来てなくてみっともない事してごめんね。じゃあ、本当、気をつけて帰って。旦那に代わるね』
部下『あっ、別に大丈夫です、あの、代わらなくても…』
私『いや、旦那にかかって来た電話を私が切るのは違うんで代わりますね』
旦那『帰れるか?タクシー拾って帰れよ。じゃ』
ここで電話を切りました。
このあとは、息子と3人で話をしました。