英語講師、通訳、翻訳者の門田直樹です。

 

 

「英語を学ぶ時は日本語を使わない方がいい」という意見を、よく耳にします。

 

 

英語を英語のまま理解する、いわゆるイマージョン学習を推奨する声は多いですし、気持ちはよく分かります。

 

 

ただ、私はこの考え方に少し疑問を感じています。

 

 

特に初中級レベルの方にとって、日本語を一切排除した英語学習は、必ずしも効率的ではないと思っているからです。

 

 

今回は「英語を学ぶ時に日本語を使うべきではないのか」というテーマで、私なりの考えを書いてみたいと思います。

 

 

 

1. 因果関係が逆になっていませんか? 

 

 

「英語を英語で学ぶから、英語が上達する」——よく聞かれる考え方ですが、私はこれは因果関係が逆ではないかと感じています。

 

 

正確に言うと、「英語力が上がれば、日本語を介さずに英語で学べるようになる」ということではないでしょうか。

 

 

 

つまり、英語ができるようになった結果として、日本語の介在が減っていくのです。

 

 

 

英語を英語だけで学ぶから上達するのではなくて、英語力が上がった結果、英語だけで学べる場面が増えてくる。

 

 

 

この因果関係を、忘れないようにしたいですね。

 

 

 

 

2. 初中級レベルでは日本語を使う方が効率的 

 

 

特に英語を学び始めたばかり、あるいは中級手前くらいのレベルでは、日本語を活用した方が学習効率は高いと感じています。

 

 

一例として単語を覚えることを考えてみます。

 

 

英単語を覚える時に英和辞典ではなく、英英辞典を使った方が良いと言われます。

 

 

確かに意味の違いが分かりにくい形容詞の単語を覚える時は英英辞典を使った方が良いですね。

 

 

例)properとappropriateの違い(どちらも日本語では「適切な」という意味)

 

 

proper-socially or legally correct and acceptable

 

appropriate-correct or acceptable for a particular time, situation or purpose

 

 

このように同じ日本語でも使い方が違う形容詞は英英辞典を引いて、その説明を読むことで単語のニュアンスを正確に理解できます。

 

 

ただ全ての単語を英英辞典で引くことがわけではありません。

 

 

例えばwhaleを英英辞典で引くと

 

 

a very large animal that lives in the sea and looks like a fish but is actually a mammal

 

 

と書いてありますが、一言「クジラ」と日本語で言った方が簡単に理解できます。

 

 

上記の英語の説明を読んでも「クジラ」をイメージできないケースも多いと思います。

 

 

 

最もわかりやすい例が、英文法の学習です。

 

 

「仮定法」「関係代名詞」「分詞構文」——こうした概念を英語の文法用語で理解しようとすると、概念の理解より先に用語の暗記という手間が発生します。

 

 

しかもこのような文法用語は覚えても使う機会がほとんどないので、すぐに忘れてしまうのがオチです。

 

 

英語の文法用語を英語で覚えることに、必ずしも価値があるわけではありません。

 

 

 

母語である日本語でしっかり概念を把握してから、英語の実例を理解していく方が、はるかにスムーズに学習が進みます。

 

 

ある程度学習が進んで、英文法を深く学ぶ時に英語で書かれた文法書を使うのはアリだと思います。

 

 

 

私も以下のに文法書を使いましたが、文法をより深く理解することができました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 3. イマージョン環境は、作れる人には有効 

 

 

「英語を英語だけで学ぶ」イマージョン環境は、整えられるなら確かに有効です。

 

 

海外に移住する、仕事や生活の場で日本語を一切使わない環境に身を置く——

 

 

そういった状況であれば、日本語を介さず英語で学ぶのは自然な流れだと思います。

 

 

ただし、日本に住む大人の多くにとって、そのような環境を維持するのは現実的に難しいことが多いです。

 

 

仕事も生活も日本語中心の中で、無理に日本語を排除しようとすると、かえって学習効率が下がってしまうこともあります。

 

 

環境が整っていないのに日本語を「禁止」にする必要はありません。

 

 

 

自分の置かれた状況に合った方法を選んでいただければ、と思います。

 

 

 

 

 4. 英語を英語で学べば文法は学ばなくて良い?
 

 

 

英語を英語のまま多読、多聴すれば、英文法を学ばなくても、英語はできるようになると主張される英語教育者がいらっしゃいます。

 

 

私の指導経験でも英文法をほとんと学ばなくて、多読中心で英語ができるようになった生徒が数名いましたが、普通の生徒にはまず難しいでしょう。

 

 

英文法を学ぶことなく、多読によって帰納的に英文法のルールを学ぶということは不可能だとは言いませんが、一般的ではありません。

 

 

 

まずは基本的な英文法のルールをきちんと学んだ方が上達が早いというのが私の考えです。

 

 

 

 

 5. 中上級レベルになれば英語だけを積極的に活用する 

 

 

一方、中上級レベルになれば、話は少し変わります。

 

 

 

ある程度の語彙力・文法力・読解力が身についてきたら、英語だけで学ぶ機会を積極的に増やす方がいいと感じています。

 

 

 

具体的には——

 

- 多読(graded readers、洋書、英字記事など)

- 多聴(英語のポッドキャスト、ドラマ、映画など)

 

 

こうしたインプットを日常に取り入れることで、英語の自然なリズムや表現が少しずつ定着していきます。

 

 

「英語で考える」感覚も、この段階から少しずつ育てていけると良いですね。

 

 

 

 5. 言語力は相関する——私自身の経験から 

 

 

私自身の経験からも感じていることがあります。

 

 

英語力が上がると、不思議なことに日本語力も上がる、ということです。

 

 

英語で文章を読んだり書いたりする中で、「この概念を日本語ではどう表現するか」を考える力が鍛えられます。

 

 

逆に、日本語で深く考える力が上がると、英語でも論理的に表現できるようになる場面が増えます。

 

 

少なくとも私の経験では、言語力には相関関係があると感じています。

 

 

 

だからこそ、日本語を「英語学習の邪魔もの」として排除しようとするのではなく、英語力を高めていく土台として活かす視点が大切ではないでしょうか。

 

 

 

 

まとめ 

 

- 「英語で学ぶ → 上達する」ではなく、「英語力が上がる → 英語で学べる場面が増える」

- 初中級レベルでは日本語を使った学習の方が効率的(特に英文法)

- イマージョン環境が作れるなら有効だが、日本在住の大人には現実的でない場合も多い

- 中上級レベルになれば、多読・多聴を積極的に取り入れる

- 日本語力と英語力は相関する——日本語も大切に

 

 

 

初中級レベルの方は、日本語をしっかり活用しながら英語の基礎を固めることを優先するのが良いと思います。

 

 

 

中上級レベルの方は、英語のポッドキャストや英字記事等を使って多くの英語に触れることで英語力を上げていきましょう!!

 

 

 

全ての人に最適な学習法はありません。

 

 

 

色々試してみて自分に合うやり方を見つけるようにして下さい。

 

 

 

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