英語講師、通訳、翻訳者の門田直樹です。
「多読多聴で英語力がぐんと伸びた!」
こういった声、皆さんも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
SNSやYouTubeを見ていると、「○○という学習法が最強」「△△は効果がない」という断言系の発信を目にする機会が増えましたよね。
今回の記事では、そこに隠れた落とし穴についてお話ししたいと思います。
結論から言いますと、ある学習法が効果的かどうかは、意外と簡単には決められないという話です。
1. 「その学習法のおかげ」とは言い切れない3つの理由
英語学習を続けていると、ある時期に「これが効いた!」と感じる学習法に出会うことがあります。
ただ、その効果が本当にその学習法だけによるものかどうかは、少し慎重に考える必要があると感じています。
理由を3つに整理してみますね。
理由① 「それ以前の学習」が土台になっていた可能性
例えば、何年も単語暗記・文法学習・精読をこつこつ続けてきた方が、ある時期から多読多聴を始めて「急に読めるようになった!」と感じたとします。
この場合、多読多聴そのものが効いたというより、それまでに積み上げてきた語彙力・文法力・読解力が土台になっていた可能性が高いのではないでしょうか。
「後から始めた学習法」が劇的に見えても、その裏には長年の積み上げがある、ということは少なくありません。
理由② 学習法は有機的に絡み合っている
英語学習は、単独の学習法が単独で効果を生み出すものではない、という気がします。
単語力・文法・リスニング・スピーキング・読解など、各要素は相互に影響し合っています。
「多読をしたらリーディングが強くなった」「リスニングをやったらスピーキングが改善した」というのはよくある話ですが、これはそれぞれの学習が絡み合っているためです。
どれか一つを切り取って「これが効いた」と判断するのは、構造上なかなか難しいんですよね。
理由③ 時間差で効果が出ることがある
学習の効果はすぐに現れないこともあります。
今は「これ、意味あるのかな?」と感じている学習法でも、半年後・1年後になって「あの頃やっていたことが今効いているんだな」と気づくことがある、というのは私自身の経験でもあります。
つまり、「試した当時は効果を感じなかった」からといって、その学習法が無効だったと決めつけるのも、必ずしも正確ではないかもしれません。
2. 「○○は効果的」という断言の落とし穴
英語指導者の立場からも、少し申し上げておきたいことがあります。
「従来の英語学習では効果がなかったけど、多読多聴をやったら伸びた!」という体験談を根拠に、「だから多読多聴が最善の学習法だ」と結論づけるのは、少し危険な気がします。
繰り返しになりますが、それ以前の積み上げが土台になっていた可能性が十分あるからです。
指導者が「○○は絶対に効果がある」「△△は意味がない」と安易に言い切ることで、学習者がそれに振り回されてしまうケースを、私はこれまで何度も見てきました。
自分の体験を一般化しすぎることには、注意が必要ではないでしょうか。
いつもお伝えしていますが、万人に合う学習法はありません。
少なくとも「私の経験では効果があった学習法です」「ただし、ある程度の準備が必要かもしれません」という形で伝えるのが誠実だと感じています。
3. では、どうすればいいのか
「じゃあ、何を信じて学習すればいいの?」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
私が提案したいのは、最初から「最善の学習法」を探そうとしすぎないということです。
✅ 色々試しながら、自分に合う方法を見つける
学習法に「唯一の正解」はありません。
TOEIC対策であれ、英検対策であれ、「まずこれを試してみよう」というスタンスで取り組むことが、継続につながると思います。
合わなければ別の方法を試せばいい、ぐらいの気持ちで大丈夫です。
色々試してみて自分に合うやり方を見つけるようにして下さい。
✅ 「今は効果を感じなくても」続ける価値がある
今取り組んでいる学習が、後から効いてくることは珍しくありません。
特に単語暗記や文法の基礎固めは、効果を感じづらい時期も長いですが、多読多聴や実践練習に入ったときに確実に力になります。
「結果がすぐ出ないから意味がない」ではなく、「今はインプットをしているんだ」と考えることも大切です。
✅ 一つの学習法に依存しすぎない
「これだけやれば大丈夫」という単一の学習法への過信は、視野を狭めることがあります。
単語・文法・リスニング・読解・スピーキングは、バランスよく取り組むのが長期的には安定します。
もちろん学習段階によって優先順位は変わりますし、個人差もあります。
「この学習法が絶対に正しい」という思い込みを少し手放すことが、むしろ柔軟な成長につながるのではないかと感じています。
まとめ
- ある学習法の効果は、以前の学習の積み上げ・他の学習との絡み合い・時間差の効果などが関わるため、単純には判断できない
- 「○○をやったら伸びた」という体験談は、それ以前の準備があってこそのことが多い
- 指導者は安易に「○○が最善」と言い切ることを避け、前提条件や個人差を丁寧に伝えることが大切
- 学習者は最初から最善を求めすぎず、色々試しながら自分に合う方法を探すのが現実的
- 今は効果を感じなくても、後から効いてくる学習法もある
参考になれば嬉しいです。一緒に英語学習を頑張っていきましょう!^^
皆さんはどう思われますか?是非コメント欄で教えて下さい。
