無駄がキライ
余計なものはキライ
ほしくないものなんていらない
そんな私の、
払う金額に対する考えです。
うちの母は昔、ケチだった。
とにもかくにも、
「高額」というだけで買わない人だった。
それが必要なものだとしても、
「高いから」と言って買わない。
だけど「少額」なものは
バンバン買う。
例えば洋服ならば、
980円とか1500円とか、
そういう安い服をいくつも買う。
そうして買いためた服を、
タンスにしまいこんで、全然着ない。
「安物買いの銭失い」と、
よく父が言っていた。
私はこの言葉を妙に覚えていて、
今もそうはなるまいと思っている。
洋服は消耗品だから、
何度も着ればへたってくる。
そこに大金を注ぎ込むのは、
どうも納得がいかないのだ。
しかしこれが家具になると
話はまるでちがってくる。
以前知り合ったデザイン会社の社長が、
1000万円のヌメ革のソファを使っていると言っていた。
1000万円もするソファが
この世にあることにまず驚いたが、
彼はそのソファを、
子供が産まれて買って以来、
もう30年以上使っているという。
となると、
1000万円のソファの年間使用料は、
333,333円という計算になり、
これを月で割ると、
27,777円になる。
毎日家族が集う場所にある、
大きなヌメ革のソファ。
ヌメ革だから、
家族のいろんなものを吸収していく。
だからそれは、
この世に一つしかない、
唯一無二のものとなって鎮座する。
そう考えると、
はたして、
1000万円のソファは高いか?
この質問に、
「高いよ!」とはならない自分がいた。
こういう風に、
何か物を買うときは、
「これを買って何をしたいか?」
それを考える。
値段を「物自体の値段」として捉えず、
「その後の生活の値段」として捉えてみる。
人生100年時代の約半分を生きてきて、
私はやっとこの境地にたどりついた。
1000万円は全然無理だけど、
これは本当に買ってよかった。
私は毎日ここに座る。
座ると猫がやってくる。
猫が私の上に乗る。
隣には彼がいる。
猫が彼と私の間に移動する。
私と彼は同時に猫をなでまわす。
猫が気持ちよさそうな顔をする。
こういう幸せに、
私は20万円を出したのだ。
