嵐の中に、船が一隻ある。
船は迷っている。

帆を畳み、嵐が過ぎるまで耐えるか。
帆を張り、嵐の中を突き進むのか。

帆を張れば、船は大きく煽られる。
帆が張り裂けるかもしれない。
ロープが千切れ、マストが折れるかも。

船が迷っている間も、
嵐は容赦無く襲い掛かっている。

ふと、荒れ狂う海面に背びれを見た。
嵐の海を、その背びれは力強く進む。

船は舵を切った。

帆を張り、その背びれを追いかけた。

嵐の中を、船と背びれは征く。
荒れ狂う海の向こうに、

美しい朱い空が見えた。