全ての里親様へ
私も長くこの活動をやっていて、過去、不測の事態で起こった逸走や事故の報告を受けた経験があります。
私は自分を責めます。
譲渡先の選択が間違っていたのか?
しっかり逸走防止に関して注意点のお話をしたか?足りない言葉があったのではないか?
これ以上、しつこくキツクいったら嫌われるかもしれないと・・・
犬猫を貰ってもらうという前提で、遠慮もあって言えなかった言葉はないか?
散歩やお留守番の悩みでアフターフォローが足りなかったのではないか?
万が一の事故が起きる前に、何かできたことがあったのではないか?
たとえ疎まれようが嫌われようが・・・
それでも目を三角にしてでも、言わなければいけないこともある。
首輪とハーネスの両着用に、ダブルリードにしてください。
迷子札と鑑札の常時装着。
お散歩の際のリードの持ち手。手首に通して手のひらに二重にリードを巻き付けてください。
逸走防止策。リビング、掃き出し窓、ベランダ、階段、玄関、お庭、門回り。
猫や小型犬でも網戸を突き破ることがあります。
部屋の空気の入れ替え時は、犬をサークルかバリケンネルに入れてください。
不安な個所にはゲートを付ける、窓側には柵を取り付けてください。
庭や門の下の隙間を塞いでください。
お留守番は、サークルかバリケンネル、または安全な一室でお願いします。
自転車の前かごには入れての移動はしないでください。
人間が転んだら、犬も大怪我をします。
車の中で犬をフリーにしないでください。
事故が起こったら、犬が車外に放り出されるか衝撃で怪我をします。
スーパーの前に繋ぎっぱなしにしないでください。
暑い日に車の中に置き去りにしないでください。春の陽気でも閉め切った車の中の温度で熱中症になります。
フレキシブルリードは切れた事故が過去にあるので使わないでください。
お散歩中は、道に危ないものが落ちていないか、気をつけてください。
万が一、犬が食べてしまったら命に関わるものが落ちているかもしれません。
お散歩は最初は同じコースを行ってください。道の安全確認もお願いします。
日替わりでコースを変えると犬が不安になることもあります。
ドッグラン以外の場所でノーリードにはしないでください。
初めてのドッグランでは、周りの犬に注意して、犬同士の喧嘩が起こらないようにしてください。
お散歩は小学生以下の小さなお子さん任せにしたり、リードを単独で持たせないでください。
ちょっとしたアクシデントが起こった場合、子供だけでは対応できないことがあります。
十分に家族に慣れて信頼関係が築けてから、新しいことにチャレンジしてください。
託した命は、もう私たちの手からは離れて、新しい家族のもとにいます。
どうか最期の時まで。
その子の命はあなたの手の中にいます。
守れるのはご家族しかいません。
これからもどうか忘れずにいてください。
(ここまで)
「これ以上、しつこくキツクいったら嫌われるかもしれないと・・・
犬猫を貰ってもらうという前提で、遠慮もあって言えなかった言葉はないか?」
愛護団体からの譲渡の基準が厳し過ぎるとの不満をよく耳にしますが、一方団体の方では、こんなことを思いながら話をしている…という、なかなか貴重な意見を見ることができます。
太字の部分は、僕が太字にしました。
逸走防止に関しての注意点だけで、これだけあります。
もしかしたら、これを全部伝えても、まだ新たな盲点があるかもしれません。
全部伝えても…です。
それでは、僕はこれの、一体どこまでを話したかというと…
全くなっていませんでした。
僕が杜撰だったんです。
「譲渡先の選択が間違っていたのか?」
…という言葉が、アルマ代表のブログに見られます。
“なると”君の飼い主さんの場合はどうだったでしょう?
“なると”君の飼い主さんは、僕の嫁はんの友だち…僕から見ると二人は親友ですが、そのせいで判断が甘くなったでしょうか?
僕の嫁はんの友だちには、こんな人がいます。
こんな人だったら、良かったでしょうか?
その人は、嫁はんと同じ会社に勤めていました。
その会社の倉庫で、野良猫が5匹も赤ちゃんを産みました。
嫁はんもその友だちも、母猫の捕獲を試みますが失敗しました。
しかし5匹の子猫は、5匹とも今も元気に、その友達の家で暮らしています。そうです。全頭引き取ったのです。
またその友達の話です。
勤め先の近くに、いつも繋ぎっぱなしで、周りはウンチだらけ。お散歩にも連れて行ってもらえない犬がいました。
その友達はその犬が不憫で不憫で。
そのうち、ウンチの掃除に通うようになりました。
その後、飼い主さんに許可を取って、週に2,3回お散歩に連れて行くようにもなりました。
その友達は(事情があって今していませんが)、関東某所の鹿のお世話もしていました。長野県から片道何時間もかかるのです!
その友達はヴィーガンでもあります。ヴィーガンですから、お肉を食べない…どころではありません。卵も乳製品も口にしません。それがちょこっとでも混じっているものでも口にしません。
動物と暮らすためにはヴィーガンでなければならない…とは僕個人的には思いませんが(ちなみに僕は何でも食べます)、少なくとも、動物の命を大切にしようとする心の持ち主である…とは、言って間違いないプロフィールだと思います。
そしてその友達は、鉾田市多頭崩壊のことを知り、心の底から悲しみました。
なんとか一頭でも幸せにしてあげたい。
そう願い、友達である僕の嫁はんに相談しました。
…そうです。
ごめんなさい。三文芝居みたいなことをしました。
その友達こそ、“なると”君の飼い主さんです。
譲渡先の選択は間違っていましたか?
間違っていないのです。
なのに事故が起きた。
これは、僕の説明不足が原因だからに他ならないのです。
だんだん自分で話して辛くなってきましたが、“なると”君の飼い主さんは、譲渡先としてこれ以上ない方でした。
批判なんか浴びるべき人ではありません。
それどころか、動物愛護の世界に一番必要な人です。
そんな人を、批判の矢面に立たせてボロボロにしたのは…
本当にごめんなさい。
それは僕です。
動物に対する向き合い方…そういう根幹の部分が素晴らしい方だったから、むしろ逆に油断が出やすかったのかもしれません。
この場合の油断とは、もちろん僕の方の油断です。
細かい部分については、特に言わなくても…みたいな緩みがあったのかもしれないと、今考えれば思います。
しかし、室内で犬を飼うのが初めての人です。
「犬のことは何もわからないから、なんでも教えてね」
と謙虚に尋ねてくださっていたのに
「なぁに言ってんですか、Yさんなら、なんにも問題無いですよ」…実際そうは言ってませんが、腹ではそんな気分でいました。
多くの皆さんがコメントに書いてくださったように、“なると”君の飼い主さんには、できれば、できることなら、もう一度ワンコとの暮らしを考えてもらいたいと思います。
しかし、そういう気持ちになれなくなってしまったとするならば、僕の罪は本当に大きいと言わざるを得ません。
犬の飼い主として一番適性のある人が、僕の甘さのせいで…
この前にも書きましたが、飼い主さんは“なると”君のために、迅速に「公開捜索」を選びました。
もう一度言いますが、これは
「私は何を言われてもいい。“なると”が帰って来てくれるなら、私はどんな批判も受け入れる」
という、“なると”君への愛情の証そのものだったと僕は見ました。
僕は、“なると”君がいなくなってから、帰ってくるまでの間、ずっと責任を感じて苦しんでいました。
「譲渡が安易だった」
との指摘には、その通りだと思いました。
しかし安易だったのは、譲渡先の選択ではありません。決してそれはありません。
むしろ最高の譲渡先を、僕の安易な油断でボロボロにしたというのが真相です。
鉾田の現場の皆さん
ごめんなさい。
“なると”君を心配して、帰りを待ってくださった全国の皆さん
ごめんなさい。
実際に現地に足を運んで探してくださった皆さん
ごめんなさい。
たくさん情報を拡散してくださった皆さん
ごめんなさい。
飼い主さん、Yさんご夫妻
ごめんなさい。
“なると”君
本当にごめんなさい。
“なると”君が、あの飼い主さんの家族になったことだけは間違いではなかった。
僕がしたことで正しかったのは、この一点だけです。