結構 みんな分かってたと思う。

 

 

ちょっと曇りがちの夏の日曜日。

それほど蒸してもおらず それほど暑くもなく

でもみんな ぱぱっと起きて

朝7時には病院に向かっていた。

 

 

病室の人数が多いから 片付けもするし

ごはんは?と配る人間や

まるでちょっとしたキャンプのよう。

 

 

薬で母がとんちんかんなことを言っていた

「食べたいのはね、やっぱり上天かす」

あれ、笑えたよね、笑っちゃいけないと思ったけど

アタシ、お泊まりで付き添ってたら

「このお店、初めてなのよー」ってばぁばが話し出してね

「みんなお会計もしないで帰っちゃったの?」っていうから

「ちゃんと先に支払いして帰ったんだよ」って話合わせたら

「そう?じゃ、私も帰らなきゃ」って

いきなりベッドから起き出そうとして慌てたんだよ

 

 

入院前後の 母との笑い話

嬉しかった話

ちょっと文句の混じった思い出話

ずっと

全員で笑い転げていた。

涙を流しながら 苦しい、っていいながら

母の周りで笑っていた。

 

 

呼吸が 少しずつ変調になってくる

 

 

昼前にモニターをつけて貰った。

全員が 黙って母の手を握るか

ばか話をつづけていた。

 

 

少しずつ

心拍が遅くなる。

 

 

 

最期に 父に抱きかかえられたまま

母の目から一筋 涙が流れた

 

 

お母さん!

みんなが呼んだらね

(まぁ、期待に応えてくれてね)

もう一回 数秒だけ

心拍が戻ったんだ。

 

 

お母さん すごいね

全員の集まれる日曜日の

病院が比較的落ち着いてる午後の時間に

静かにいっちゃうなんて。

 

 

 

黄疸が見つかってから 半年ちょっと

私には 母が良い人生をありがとうって

涙を流したように思えたよ。