***登場人物***
安部清明 平安時代中期の陰陽師。ここでは陰陽師の力として現代と平安時代を自由に動ける術を持つ。母親は狐と噂されるが、実は現代の女性。
河辺名字 安部清明の友人。陰陽師。清明と同じく時空を移動出来る。両親は現代の人ではないかと言われているが定かではない。
泰三 現代のごく普通の少年。清明や名字が気に入って泰三の家に良く現れる
藤少納言 宮廷に使える女房の一人、清少納言に対して「とうしょうなごん」と呼ばれていた。怒ると顔の変化から分厚い化粧がピキッと割れる。しかし、その化粧の奥にある真の素顔を見た男はいない。
豆福 藤少納言に仕える子女房。かわいくて安部清明が密かに気に入っている。
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「臨(リン)兵(ビョウ)闘(トウ)者(シャ)皆(カイ)陣(ジン)裂(レツ)在(ザイ)前(ゼン)」
魔除けを意味する九字真言。
陰陽師 河辺名字(かべのみょうじ)。
安部清明がやってきた。
「やっておるか」
「おう、清明。ぼちぼち行くのか」
「いや、まだ早い。キンノスケは、日が変わる頃に来いと言った」
「そうか、それまでにやっておくことがある」
「そうだな、始めよう」
「寝たか?」
「寝たわよ」
「よし、ぼちぼち始めるか。構わないから一緒に寝ててくれ」
キンノスケは別室に入り、サンタの服に着替えながら考えた。
(もう少ししたら、陰陽師さんがやってくるか、サンタが俺だと判るとガッカリするだろうなあ)
服を着替えた後、洗面所で白い髭と化粧を始めた。
(まあここまでしなくてもいいんだけど、今日はなんと言っても陰陽師さんが来るからな。よし、これで完璧だ。背中とポケットにホッカイロ入れて、何と言っても赤い長靴まで買ったんだ。せいぜい脅かしてやらないと買った甲斐がないからな、ヒヒヒ、人呼んでタソガレサンタ参上!外へ出るか)
「清明、ぼちぼち時間だ、行こう」
「よし、キンノスケの家の前の公園に行くぞ」
「もうすぐサンタという鬼に会える」
「そうだ、酒呑童子や茨木童子などたいしたことはないぞ」
「では行こう」
「ついたぞ」
「おっと、あそこに誰かいるぞ」
「何か訪ねてみよう、見ろ、赤い服に白い髭だ」
「さんただな、みろ、見事な鹿だ」
「もし、こんなところで何をなされておられる」
「……、オーウ、アナタタチハ、サムライデッカ?」
「何を言っているのだ、陰陽師だ」
「オウンミョージ、ナンデスカーソレハ」
「知らぬのか、世を知り、天文を知り、卦を知り、人を知る。これが陰陽師」
「ヨヲシリー、スバラシーデス」
「あなたはサンタクロース殿か」
「ハーイ、ソウデスー」
「何でこんな所にいるのだ」
「サミシイコドモヲミカケタラ、ワタシガ、オトーサンノカワリニ、プレゼントヲアゲマース」
「その割には先ほどから暇そうではないか」
「ソーデス、サイキンハオトーサンガンバッテマスネー、ワタシノデバンハアリマセーン」
「どこから来たのだ」
「ソレハイエマセーン、カミノクニデース」
「神の国か」
「イェス・クリストヲゴゾンジデスカ」
「知らない」
「イェス・クリストガワレワレノカミデス」
「おかしいな、陰陽師は神を呼べるのだぞ、なのにわし等の前には一度も来なかったぞ」
「キットコトバガワカラナイノデス」
「どんな言葉を話すのだ」
「oshfosifvrsjナンヤカヤsjrhfisjrhfieughrナーンヤカヤaeirhgosibo bswpq」
「……確かに、それで来なかったか、わしらもまだまだ未熟だ」
「そうだな、あらゆる神を呼べると自負して居ったが、神は沢山居るものだ」
「サンタとやら、これからどうする。たいらのみやこに遊びに来るか?」
「タイラー?ワッカリマセーン。ワッタシハ、12ガツ24ッカノヨルシカ、ココニハコレナイノデース」
「ほう、特異な鬼だ」
「しかし、子供たちに幸せをあげられる鬼か。すばらしいものだ」
「そうだ、子供は安らぎと温もりと愛情をあげなければだめだ」
「それさえあげ続けると、不良にはならないぞ」
「スンバラシー、ソウデスネ、ヨノナカニハ、ココロノメグマレナイコドモガ、タクサンイマース」
「そんな子供を助けているのか、クーッ、がんばれ、泣けてくるわい」
「これからもがんばってくれ、会えてよかった」
「ワタシモヨカッタ、マタライネンアイマショー」
「良い鬼だったな」
「そうだな、おっと、キンノスケはどうした」
「おー、忘れておった、おっ、あそこにまたサンタがいるぞ」
「おっ、良く見ればキンノスケサンタか、おいキンノスケ」
「なんで俺がキンノスケだとわかるのだ」
「我らは陰陽師だぞ、世を知り、天文を知り、卦を知り、人を知る」
「わかったわかった、今からサンタを見せてやる、お~~サブ」
「もう見てきた」
「えっ、本当に居たのか」
「居た、大きな鹿に乗って去っていった」
「なんだと、俺でも見たことが無いのに、さぶ~~」
「お前はまだこれから仕事が残っているのだろう」
「そうだな、では行って来る、またな」
「おう、これからも宜しく頼んだぞ」
そう言ってキンノスケはなぜかわざわざ窓から家に入って行った。
子供の前に正座して、ぐっすり眠る子供を見つめる。
(俺達の為に、生まれてきてくれて本当にありがとう、これから厳しい世の中かもしれないし、うまく生きて行ってくれるかが心配だけど、何とか元気で生き抜いてくれよ)
そして枕元にそっとプレゼントを置いた。
「清明帰ろう」
「そうだな、ぼちぼちたいらのみやこが面白うなる」
二人が平安時代に帰ると、大内裏の屋根が色とりどりの蝋燭で輝いていた。
突然現れた清明と名字に帝や女房が寄ってきた。そこの集まりには殿上人も位もなかった。
「名字歌ってやれ」
「帝様、今宵はこうやって歌いまする」
きーよしー、こーのよるー……
次回 明日か明後日。