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帰れぬ心の故郷 --見張り-- (1章へ)
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自宅に戻り、風呂に入ってベッドに腰掛けた。
落ち着かなかった。
テレビは殆ど見ない。
思いついて、部屋の隅にあるパソコンを立ち上げた。
最近は、ネットでニュースを読み漁る。
なんだか色々ありすぎると、人と積極的にコミュニケーションを取る気にはならない。
ネットでもそうだが。
自分のペースで自分が気に入った人のブログを見たり、時にはメールで会話する。
メールだと、自分の気持ちが上手く伝わらないで、時にはコミュニケーションに失敗する。
日本語や言葉というものは難しい。
ブログを見ていると、なぜかは解らないが、必ず見るブログが出来てくる。
内容や相手が老若男女を問わずだ。
何故そうなるのかは不思議だ。
特に共感したり感動したりするわけではない。
ほとんどのブログは特定の相手に発信しているのではない。
何百万というブログの中から何百何千というブログを見て、数十のお気に入りブログが出来る。
人はめぐり合い共感や好感を抱き、一緒に居たいと思い、そして食い違いを感じ出して別れる。
なぜ、いつもそうなのか不思議でならない。
ブログでは、一度に多くの人とめぐり合える。
そして、なぜかわからない縁で、知らぬ間にコミュニケーションを取っている。
これが不思議でブログを続けるのは私だけだろうか・・・。
競馬はやめる気だった。
もう十分だ。
しかし、よく考えると元金数万円で数千万が取れたことになる。
拳銃と200万がきっかけではあったが、必要ないものであった。
(厄介なものを手にしてしまった・・・・)
当たり馬券も換金できない。
つけられていたら変な誤解や災難を受けそうな気がした。
(しばらく換金はやめておこう・・・)
しかし、手元には既に換金した1300万がある。
こんな大金を初めて見たが片手ではもてない分厚さがある。
(これも銀行に持って行きにくいなぁ)
しかし、早く息子の口座に入れておきたかった。
(数日に分けて入金してゆこう・・・)
何かいやな予感が消えなかった。
パソコンをやっても落ち着かずに部屋から窓の外を見た。
道路を挟んで正面にガソリンスタンドがある。
大通りのスタンドなので、夜中は閉まるが、盗難防止なのかラジオつけっぱなしにしていた。
その前に、先ほどから白い車が止まっていた。
こっちを見ているようにも思った。
私は、寝た振りをするために、部屋の明かりを消した。
窓越しに外を見ると、よく見えた。
車には男が一人乗っていた。
(何をしているのだろう・・・・見張りか・・・)
やはり見張りがいたんだ!
私は、しばらく様子を見るために窓際に隠れて外を見張った。
車の中からこっちを見ている様にも見えた。
すると、白い車の後ろに黒い車が静かに止まった。
中には2,3人乗っている。
車からは降りようとはしなかった。
しばらくして、白い車から男が降りて、黒い車の後部席に向かった。
車のドア越しになにやら話している。
何かを受け取って直ぐ、外の男の右手がすばやく動いた。
外の男はすばやく自分の車に戻った。
「こらぁー」という大きな声がした。
黒い車からだった。
しかしだれも出ては来なかった。
催涙スプレーでも吹きかけたのだろうか・・・。
白い車はタイヤを鳴らせて猛スピードで逃げ出した。
少しすると、黒い車に、方々から4人の男が駆け寄ってきた。
何やら話していたが、しばらくしてあきらめたように車が動き出した。
(何かの取引だろうか・・・薬?金?)
それにしても、まわりにあれだけの人数が隠れていたことに驚いた。
(ヤバイヤバイ、俺も囲まれた時は、隠れている人間も想像しておかないと・・)
「それにしても・・なんや、俺の被害妄想か・・」
とりあえず、目的は私ではなかったのでほっとした。
しかし、こうなると拳銃と200万が、ますます厄介だ。
警察に届けようか・・・・・・。
銃刀法違反。
正確には銃砲刀剣類所持等取締法違反。
明治時代は銃砲火薬類取締法と呼ばれており、民間人は所持できない。
拳銃を持っているだけで1年以上10年以下の懲役となる。
一発でも発射した場合は、無期又は3年以上の有期懲役となる。
「銃砲」の場合は、
拳銃、小銃、機関銃、砲、猟銃その他金属性弾丸を発射する機能を有する装薬銃砲及び空気銃(圧縮ガスを使用するものを含む。)をいう
刀剣の場合は、
刀剣類」とは、刃渡15cm以上の刀、剣、やり及びなぎなた並びにあいくち及び45度以上に自動的に開刃する装置を有する飛出しナイフ(刃渡り5.5cm以下の飛出しナイフで、開刃した刃体をさやと直線に固定させる装置を有せず、刃先が直線であつてみねの先端部が丸みを帯び、かつ、みねの上における切先から直線で1cmの点と切先とを結ぶ線が刃先の線に対して60度以上の角度で交わるものを除く。)
と細かく規定されている。
どうすればいいか・・・。
どこかに捨てるか、それともそっと警察に渡すか。
もちろんお金も一緒である。
一番良いのは警察に届けること。
普通に届けると銃刀法違反になるのだろうか・・・そうに違いない。
そっと渡す。
警察に・・・・どうやって・・・・。
警察は、私を張っているのだろうか、警察に行ったとしたら、暴力団にも私が警察にいったとこがわかっているはず。
そう見ておいて間違いないだろう。
いつからこうなったのだろう。
必ず何かに追い詰められて、生きる事に余裕が無い日々を送るようになった。
暗い部屋に寝転ぶと、静寂の中から息子の顔が出てくる。
そうだ、日記を書こう。
日記を持ってトイレに行き、座りながら書いた。
部屋の明かりは点けたくなかった。
「優生、ママとうまくやってるかな、会えなくて寂しいだろう、本当にゴメンな。
もう寝てるかな。
パパは、寝る時にいつも優生が初めて立って何とかパパの所に寄ってきて、パパの顔を見るために上を見上げた時の顔を思い出すんだ。
その時の顔、かっわいかったんだぞぉ。
今は寂しい思いをさせてごめんなさい、パパは本当にダメなパパだね。
ママさえ許してくれたら、直ぐにでも会いに行きたい。
けど、いつか必ず、優生が自慢できるパパになって会いに行くからな。
風邪引くなよ、おやすみなさい。」
子供と遊ぶ夢を見ながら眠りについた。
窓の下では、先ほどから、一台の車が止まっていた。
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