病院に着くと、受付の方が優しく声をかけてくれました。
「具合が悪ければベッドもありますので、お知らせください」
その何気ない一言が、張り詰めていた心に触れてしまって、私は思わず涙がこぼれそうになりました。
「ありがとうございます」
そう答えて、待合室の隅の席に座りました。
体は不思議なほど平気でした。
だけど心は限界でした。
早く帰りたい。
でも診察を受けたくない。
現実を知りたくない。
そんな気持ちが頭の中をぐるぐると回っていました。
名前を呼ばれて診察室へ入ると、すぐに診察台へ案内されました。
私はお腹をさすりながら、心の中で何度も願いました。
お願いだから、まだここにいて。
お願いだから、間違いであってほしい。
そんな願いを抱えたまま横になりました。
「少しヒヤッとしますよ。」
先生の声が聞こえました。
モニターが映し出されます。
けれど、その瞬間に分かりました。
私でも分かってしまいました。
そこには、前回確かに見えたはずの赤ちゃんの姿がありませんでした。
真っ黒だ…
先生は何も言わず、静かにエコーの機械を抜きました。
その沈黙が、何よりも答えでした。
私は両手で顔を覆い、その場で泣きました。
声を出さないようにしても、涙は止まりませんでした。
「ゆっくりで大丈夫です。お着替えが終わりましたら、隣の診察室へお入りください」
涙を拭いながら着替えを終え、診察室の椅子に座ると、先生は申し訳なさそうな表情で私を見ました。
そして静かに告げました。
「残念ですが、流産で間違いないです」
その言葉を聞いた瞬間、頭の中が真っ白になりました。
分かっていたはずなのに。
さっきのエコーで、もう答えは見えていたはずなのに。
それでも、先生の口から告げられたその一言は、私の心を完全に打ち砕きました。
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