相貌失認
人の顔をすぐ忘れる、顔を記憶できないという人はもしかするとブラッド・ピットと問題を共有しているかもし..........≪続きを読む≫
このことは、いつか書こうと思いつつ、なかなか書く機会がなかったのですが
ブラッド・ピットが相貌失認だというニュースが出たので
いい機会かな~と。
実は、まさに自分が相貌失認です、だと少なくとも自分では思っています。
後述の理由で、とくに検査はしていないので、断言はできないのですが。
相貌失認といっても、重症ではなく
顔をまったく区別できないわけでもなければ
顔をまったく覚えられないわけでもないです。
ただ、他の人に比べると、初対面の人の顔は区別がつきにくく
顔を覚えるのにものすごーーーく長く時間がかかるんです。
個性が強い顔や、眼鏡をかけている状態なら、そこそこ早く覚えられるのですが
あまり個性が強くない顔だと、かなり覚えにくいです。
とくにイケメンや美女の集団は、最初は違いが感じられず、みんな「ほぼ」同じ顔に見えています。
なので、そういう人ばかり出てくるドラマは登場人物が把握できず、まるで分からなくて(^^;
覚えづらい人の場合、毎日会っていたとしても、覚えるのに2週間かかるし
たまにちょっと会うくらいの間柄だと、ほぼ半年かかります。
声は早めに覚えるので、顔はまだ覚えていなくても、声で「ああ、この人か」と思うことも。
それでも、いったん顔をしっかり覚えれば、もう忘れることはないです。
おそらく、普通の人と同じくらいには。
顔を覚えたときには、自分ではっきりと「あ、私はもうあの人の顔を覚えた!」と分かるし
覚えた後は、なぜこの人の区別が今までつかなかったんだろう、と自分で不思議に思うくらいでしてw
その人をまだしっかり覚えていないうちは、服装や髪形、メガネの有無、
そして、その人がいる場所や状況などでその人だと判断します。
なので、服装や髪形がかわっていれば分かりづらいし
別の場所、たとえば学校で知り合った人に道で会ったりすると、もうその人だと分からないです。
だから、まだ覚えていない知り合いと会う可能性が高い場所=お店とかは、基本的に苦手で。
逆に、顔をなかなか覚えられないぶん、声やしぐさには敏感かもしれないです。
多く人がいる中で、知り合いの声や咳払いを聞き分けたり
遠くにいる知り合い見つけたりするのは、得意なほうだろうと。
時間はかかっても覚えるならいいじゃない、と思うかもしれないけれど
実際は、そうでもないです。
顔を覚えるのに時間がかかることは、人間づきあいで圧倒的に不利なので。
小学校の頃は、毎年、クラス替えのたびに
新しいクラスメートを覚えるのにすごく苦労していました。
なんとか40人全員を覚えるのは、1学期が終わる頃。
そして、自分がクラスメートの顔を覚えるようになる頃には
すでに周りの子には、それぞれに親しい友だちができていました。
やっと自分も友だちがそこそこ増えてくるのは、3学期に入った頃で
またすぐにクラス替え。
1学年が5クラスあったので、親しい友だちとはたいてい別のクラスに。
なぜクラス替えなんかあるんだろう、と春はいつも憂鬱でした。
それでも中学までは、名札と顔をてらしあわせながら、なんとか顔と名前を覚えていたのですが
高校になると、校章とクラス章はあっても個人の名札は無く、もうお手上げ。
卒業後にクラス会に呼ばれても、理由をつけて断るしかなく。
大学でももちろん名札は無いし、
学校祭でお店をやったとき、図書館でバイトをした時には
さっき話した人を覚えていなくて困ることも多く。
仕事も当然ながら、接客業や営業的なものはまったく無理だろうと。
いろいろあって決まった仕事は研究職。
これならこもって仕事をすればいいので、顔が分からず困ることもないだろうと思ったけれど
甘かった。
今どきの研究者というのは、一人でこつこつ研究をするのではなく
他の研究機関の人たちと協力しながらやっていくもので。
学会の後の懇親会などで、上司からいろいろな方を紹介されたのですが
当然ながら、1回会った人を覚えるのは無理。
料理を取りに少し離れたら、もうさっき話していた人が誰なのかが分からない。
そうしたことが、毎回すごく苦痛で。
仕事を3年で辞めたのは、他のことがきっかけだったのですが
この顔を覚えられない特性ゆえ、この世界で生きて行くのは無理だと思ったことも
大きな理由のひとつでして。
さらにもっと大変なのは、子どもができてからの
遊び場や保育園や小学校での、他の母親や子どもとの付き合い。
もともと女性というのは、男性に比べると外見的な特徴が小さく、覚えづらい。
子どもたちも然り。最初はみんなほぼ同じに見えるし、声の違いも少ない。
顔を覚えていないうちに自己紹介しあっても、相手の名前を覚えられないし
顔を覚えた頃には、相手の名前を知る方法がない、という状態。
保育園に子どもたちの写真が貼りだされて、そこから自分の子どもの写真を選んで買う
という時も、すごく困りました。
前に書いた通り、子どもの顔は、大人に比べると特徴が少なく
自分の子どもたちのことも、半分は声やしぐさで判断しているような状態なので、
二次元の静止画になると、分からなくはないけれど、確信がもてない。
毎回写真を注文するたびに、他の子と間違えて買っていないかと心配でした。
実際に間違えたことはなかったのですがw
あいかたの実家でも、ご家族の顔が最初まるで覚えられず、すごく苦労しました。
数回会っただけの妹さんと駅で待ち合わせをしても、どれが妹さんなのか私には分からない。
親戚の人や近所の人がたくさん来たときも、誰が誰だか分からない。
そして、顔を覚えるのがすごく苦手だと、そうでない人に言っても、まず分かってもらえない。
ただ分かってくれないだけでなく、
まじめに覚えようとしないからだの、顔をしっかり見ないからだのと非難されたり、
こうすれば覚えられるとアドバイスされたり。
アドバイスも、結局のところ「なぜそうしないのか」という非難と同じものであり。
なので、母と兄になにげに話したときに
「あ、わかる! 自分もそうなんだよね~」
と思いがけず賛同されて、すごく驚いたし、嬉しくて。
程度は分からないけど、二人にも、障害というほどではなくても、同じような傾向があるのかも?
娘も、もしかしたら同じような障害を持っているのかも。
あえてここには書かないけれど、親なりに、これまでいろいろと思い当たる節が。
今も、かなり苦労しながら、頑張ってなんとかやっているのかも。
もし、この障害を検査で確認したとしても、
検査料や時間ががかかるだけで、自分に有利になることは何もないだろうと思います。
先天性の障害だから、治療法はおそらく無く
身近な人や自分に、顔が覚えられないのは怠けじゃなく障害なんだと証明できる、という程度。
仕事を探す上でも、障害があるということで、不利になることしかない。
結局のところ、自分でなんとかするしかなく、それが自分にとってもいちばんましであり。
でもやっぱり、顔を覚えられない障害なんだ、だからわざと無視したとか思わないでほしい
覚えるのに時間がかかることを分かってほしい、という気持ちも。
相貌失認についてネットで書かれたものでも、テレビ放送されたものでも
納得いくものは少ないです。
極端な例-まったく顔を覚えられない人について書かれているものが多くて。
これまでに、相貌失認について本に書かれたもので、納得いく内容だったのは
別冊日経サイエンス191 心の迷宮 脳の神秘を探る
の中に書かれている、顔が覚えられない「相貌失認」という障害、という記事。
(昔、もっと前の別冊~こころのサイエンスの2か3?に載っていた時に読みました)
これはまさに自分と同じだと感じました。
あと、さらによく表していると思ったのが
「動物のお医者さん」で有名な佐々木倫子さんが、だいぶ昔に書かれた
忘却シリーズ(食卓の魔術師、家族の肖像、代名詞の迷宮)というマンガの主人公の勝久くん。
まさに自分と同じで(障害の程度も)びっくりしましたw
そして、なんか愛すべき人物だなあと(・∀・)
相貌失認の人は、それが原因で、人間関係でいろいろ辛い思いもしているからこそ
人には辛い思いをさせたくない、と思う気持ちが強めになりやすい、ということもあるのかも?
人それぞれだろうからわかんないけど(^^;