銭婆とカオナシ 第5話 | 神様達と共に

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(過去のお話しのリンクはこちら⇒「第1話」「第2話」「第3話」「第4話」)

 

 

 

 

 

安良見命「私は悩み抜いた末・・・。

 

やはり、この封印の面を被り、邪神のフリをしてこの場所に留まることにしました・・・。

 

 

 

 

おそらく・・・、それほど待つことなく、村人の子孫達はやって来てくれるだろう・・・。

 

そう考えていたのです・・・。

 

 

しかし・・・。

 

 

 

 

村人の子孫はなかなかやって来ません・・・。

 

数ヶ月・・・。

 

1年・・・2年・・・と、時間は過ぎていきます・・・。

 

 

 

 

途中、私は何度か邪神達に見かけられますが・・・。

 

予想していたとおり、彼らは面を被った私を見ても反応しませんでした。

 

おそらく、同類と思ってくれたのでしょう。

 

ただ・・・。

 

 

 

 

一人で・・・暗い森の中、何もせずにずっと待ち続けることは非常に苦しいことでした・・・。

 

寂しさ・・・。

 

孤独・・・。

 

あきらめ・・・。

 

悲しみ・・・。

 

さまざまな感情が私に押し寄せてきました・・・。

 

 

それらの感情を、一つ一つ受け止め・・・消化していくことはあまりにも苦しく・・・。

 

私の心は、少しずつ・・・鈍感になっていきました・・・。

 

まるで、仮面の自分で本当の自分をどんどん覆い隠すかのように・・・。

 

それによって、私の外見は少しずつ変わっていったと思います・・・。

 

 

 

 

 

それからまた、膨大な時間が流れました・・・。

 

おそらく・・・30年は経ったのでしょう・・・。

 

それでも村人の子孫は誰一人来ませんでした・・・。

 

 

私の鈍感さはますます進み・・・。

 

すでに、自分が何者であるか・・・。

 

なぜ自分がここにいるのか・・・。

 

そのようなことすらも忘れていきました・・・。

 

 

そして・・・私は・・・。

 

 

 

 

カオナシ・・・となったのです・・・。

 

 

その後・・・、なぜこの狭間の世界にやって来れたのかは、自分でもわかりません・・・。

 

おそらく、知らぬうちに異世界の扉を通って来たのでしょう・・・。」

 

 

 

全てを語り終えた安良見命は、フーッと長いため息をついた・・・。

 

表情は少し疲れている様にも見える・・・。

 

 

その様子を、銭婆はただ黙って・・・あたたかく見つめていた。

 

 

 

 

 

銭婆「・・・。

 

安良見命さん・・・、ありがとう・・・。

 

とっても貴重なお話しだったよ・・・。

 

なんとも・・・大変なことだったね・・・。」

 

 

 

 

 

安良見命「・・・。

 

ありがとう・・・おばあさん・・・。

 

でも、私が自分で考えて・・・自分で決めたことですから・・・。

 

・・・。

 

 

 

 

やはりあの時・・・。

 

私は神界に帰るべきでした・・・。

 

無理をしてしまったのは、どこかに過信があったのでしょう・・・。

 

 

そのせいで・・・あんなことになってしまった・・・。

 

 

 

 

千尋や、湯屋の皆さんに、とんでもない迷惑をかけてしまった・・・。

 

・・・。

 

・・・・・・。

 

私の力は、本当はあんなことのために使うべきではないのに・・・。

 

 

 

 

あれでは神ではなく、まさに邪神です・・・。

 

こうなってしまったのも、全て私の責任・・・。

 

全て・・・私の至らなさ故に起きた事なのです・・・。」

 

 

うなだれ・・・悔しそうな安良見命・・・。

 

 

その様子を見ていた銭婆は、そっと彼に近づき・・・その肩に手を触れた・・・。

 

 

 

 

 

銭婆「安良見命さん・・・。

 

あなたは立派な神様だよ・・・。

 

その謙虚な気持ちが、きっとあなたを先へと進ませてくれるのでしょう・・・。

 

私も勉強になります・・・。

 

でもね・・・。

 

 

 

 

あなたも神ならばわかっているはず・・・。

 

起きている全てのことは意味があって、必要で起きていたの・・・。

 

そういう視点で見てごらんなさい・・・。

 

あなたが現れたことで、千尋は人間の世界に帰れました・・・。

 

白龍も自分の名前を思い出すことが出来た・・・。

 

妹(湯婆婆)や湯屋の皆さんにとっても、あの出来事はよい薬となったはず・・・。

 

それに、私も仕事を手伝ってもらえたし・・・。

 

あなたは何も悪くない・・・。

 

むしろ良いことばかりをしてくれたのさ・・・。

 

誰もがそう・・・。

 

存在していることに、ちゃんと意味があって・・・。

 

気付かなくても、ちゃんと皆の役に立っている・・・。

 

生きているということは、そういうこと・・・。

 

このことは・・・あなただって、わかっているわよね・・・?」

 

 

 

 

(つづく・・・次回最終回!)

 

 

 

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