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安良見命「私は悩み抜いた末・・・。
やはり、この封印の面を被り、邪神のフリをしてこの場所に留まることにしました・・・。
おそらく・・・、それほど待つことなく、村人の子孫達はやって来てくれるだろう・・・。
そう考えていたのです・・・。
しかし・・・。
村人の子孫はなかなかやって来ません・・・。
数ヶ月・・・。
1年・・・2年・・・と、時間は過ぎていきます・・・。
途中、私は何度か邪神達に見かけられますが・・・。
予想していたとおり、彼らは面を被った私を見ても反応しませんでした。
おそらく、同類と思ってくれたのでしょう。
ただ・・・。
一人で・・・暗い森の中、何もせずにずっと待ち続けることは非常に苦しいことでした・・・。
寂しさ・・・。
孤独・・・。
あきらめ・・・。
悲しみ・・・。
さまざまな感情が私に押し寄せてきました・・・。
それらの感情を、一つ一つ受け止め・・・消化していくことはあまりにも苦しく・・・。
私の心は、少しずつ・・・鈍感になっていきました・・・。
まるで、仮面の自分で本当の自分をどんどん覆い隠すかのように・・・。
それによって、私の外見は少しずつ変わっていったと思います・・・。
それからまた、膨大な時間が流れました・・・。
おそらく・・・30年は経ったのでしょう・・・。
それでも村人の子孫は誰一人来ませんでした・・・。
私の鈍感さはますます進み・・・。
すでに、自分が何者であるか・・・。
なぜ自分がここにいるのか・・・。
そのようなことすらも忘れていきました・・・。
そして・・・私は・・・。
カオナシ・・・となったのです・・・。
その後・・・、なぜこの狭間の世界にやって来れたのかは、自分でもわかりません・・・。
おそらく、知らぬうちに異世界の扉を通って来たのでしょう・・・。」
全てを語り終えた安良見命は、フーッと長いため息をついた・・・。
表情は少し疲れている様にも見える・・・。
その様子を、銭婆はただ黙って・・・あたたかく見つめていた。
銭婆「・・・。
安良見命さん・・・、ありがとう・・・。
とっても貴重なお話しだったよ・・・。
なんとも・・・大変なことだったね・・・。」
安良見命「・・・。
ありがとう・・・おばあさん・・・。
でも、私が自分で考えて・・・自分で決めたことですから・・・。
・・・。
やはりあの時・・・。
私は神界に帰るべきでした・・・。
無理をしてしまったのは、どこかに過信があったのでしょう・・・。
そのせいで・・・あんなことになってしまった・・・。
千尋や、湯屋の皆さんに、とんでもない迷惑をかけてしまった・・・。
・・・。
・・・・・・。
私の力は、本当はあんなことのために使うべきではないのに・・・。
あれでは神ではなく、まさに邪神です・・・。
こうなってしまったのも、全て私の責任・・・。
全て・・・私の至らなさ故に起きた事なのです・・・。」
うなだれ・・・悔しそうな安良見命・・・。
その様子を見ていた銭婆は、そっと彼に近づき・・・その肩に手を触れた・・・。
銭婆「安良見命さん・・・。
あなたは立派な神様だよ・・・。
その謙虚な気持ちが、きっとあなたを先へと進ませてくれるのでしょう・・・。
私も勉強になります・・・。
でもね・・・。
あなたも神ならばわかっているはず・・・。
起きている全てのことは意味があって、必要で起きていたの・・・。
そういう視点で見てごらんなさい・・・。
あなたが現れたことで、千尋は人間の世界に帰れました・・・。
白龍も自分の名前を思い出すことが出来た・・・。
妹(湯婆婆)や湯屋の皆さんにとっても、あの出来事はよい薬となったはず・・・。
それに、私も仕事を手伝ってもらえたし・・・。
あなたは何も悪くない・・・。
むしろ良いことばかりをしてくれたのさ・・・。
誰もがそう・・・。
存在していることに、ちゃんと意味があって・・・。
気付かなくても、ちゃんと皆の役に立っている・・・。
生きているということは、そういうこと・・・。
このことは・・・あなただって、わかっているわよね・・・?」
(つづく・・・次回最終回!)
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