前回のブログで、見た目について否定的な言葉を投げかけられ、不快な思いをしたことを書きました。
最近は「ルッキズム(外見至上主義)」という言葉も広く知られるようになり、見た目で人を評価することへの問題意識も高まっています。
それでもなお、体型や体重については、
「太っているのは自己管理ができていないから」
「痩せられないのは努力不足だから」
そんな声を耳にすることがあります。
確かに、食事や運動など、自分自身でコントロールできる部分はあります。
しかし、人の体はそれほど単純ではありません。
私は50歳のとき、甲状腺機能低下症と診断されました。
その際、同時に甲状腺の腫瘍も見つかりました。
突然のことで驚きましたが、幸い腫瘍は良性でした。現在も定期的な検査を受けながら経過観察を続けています。
診断を受けてから振り返ると、40代後半にはすでにさまざまな症状が現れていたことが分かりました。
特に印象的だったのは、異常なほどの寒がりです。
もともと冷え性ではありましたが、年々寒さに弱くなり、周囲が暑いと言っている時期でも平気で長袖を着ていました。
夏になると家族はエアコンをつけたがるのですが、私はすぐに寒くなって消してしまいます。
「なんでそんなに寒いの?」
と、子どもたちは不思議そうな顔をしていました。
家族は暑い、私は寒い。
今思えば、あれも病気のサインだったのでしょう。
さらに疲れやすさもありました。
仕事から帰ると何もする気が起きない。
休日も横になって過ごすことが増える。
気分も落ち込みやすくなり、自分でも以前ほど意欲が湧かないことを感じていました。
体重も少しずつ増えていきました。
それでも当時は、
「年齢のせいだろう」
「更年期だから仕方ない」
「運動不足なのかもしれない」
そんなふうに考えていました。
まさか病気が原因だとは思っていなかったのです。
甲状腺ホルモンは全身の代謝に関わっています。
そのホルモンが不足すると、寒がり、倦怠感、むくみ、体重増加、抑うつ気分など、さまざまな症状が現れます。
診断がつき、治療を始めてから少しずつ体調は改善しました。
そして気づいたのです。
あの頃の私は「自己管理ができていなかった」のではなく、「病気だった」のだと。
もちろん、健康のために食事や運動が大切であることは間違いありません。
薬剤師として働いてきた私自身、その重要性はよく理解しています。
しかし一方で、人の体重や体型は自己管理だけで説明できるものではありません。
甲状腺疾患。
更年期障害。
睡眠障害。
うつ病。
薬の副作用。
ストレス。
介護や育児による慢性的な疲労。
外からは見えないさまざまな要因が、体や心に影響を与えています。
だから私は、体型だけを見てその人の努力や生き方まで判断することに違和感があります。
「痩せているから優秀」
「太っているから自己管理ができていない」
そんな単純な話ではないからです。
人にはそれぞれ事情があります。
見た目だけでは分からない病気を抱えている人もいます。
毎日を乗り切るだけで精一杯の人もいます。
私自身、診断を受けるまで、自分を責めていた時期がありました。
もっと頑張らなければ。
もっと痩せなければ。
もっと自己管理しなければ。
そう思い続けていました。
でも、本当に必要だったのは自分を責めることではなく、自分の体の声に耳を傾けることでした。
人は、見た目が全てではありません。
だからこそ、誰かを外見だけで評価する前に、
「何か事情があるのかもしれない」
そんな想像力を持てる社会であってほしいと思います。