昨年の今頃、私は参議院選挙への立候補を決め、人生で最も慌ただしい日々を送っていました。
必要な医療は守らなければなりません。しかし一方で、本来は見直せるはずの処方や検査、漫然と続けられる投薬によって医療費は膨らみ続けています。
また、18年間シングルマザーとして4人の子どもを育ててきた経験から、子育て世代や働く人たちが抱える苦労も身をもって知っていました。
いつか政治の世界に入り、そうした問題を変えたい。
そんな思いを持ちながらも、生活に追われる毎日のなかで政治活動を始めることはできずにいました。
そんな時、精神科医の和田秀樹先生からお声がけをいただきました。
「推薦」という形での立候補でした。
先生が掲げる「薬漬け医療にメスを入れる」という考え方は、私が長年抱いてきた「無駄な薬を減らし、医療費を適正化したい」という思いと重なる部分がありました。
今後、立候補の機会があるかも分からない、それなら、「今しかないかもしれない」と思い、立候補を決意しました。
そんな流れで立候補を承諾しましたが、戸惑いを覚えることもありました。
選挙公報やパンフレットが完成した時、そこには和田先生が長年訴えてきた政策が、「よしざわえりの政策」として掲載されていました。
和田先生の政策全てが、私の政策ではありませんでしたが、推薦を受けて立候補する以上、自分が背負うしかないと腹をくくりました。
仕事も辞めての挑戦でした。
期間中は毎朝8時に事務所へ向かい、帰宅は夜10時近く。
子どもたちはすでに成人していましたが、それでも家族とゆっくり食事をする時間はほとんどありませんでした。
周囲からは、
「初めての選挙で国政なんて無謀だ」
と言われることもありました。
今振り返れば、その言葉は決して間違っていなかったと思います。
それでも当選を願い17日間を走り続けたのです。
しかし、結果は落選でした。
応援してくださった方々への申し訳ない気持ちと、「もっとできることがあったのでは』という自分に対する悔しさがありました。
その時は、「諦めずに頑張ろう」と考えていましたが、私のその気持ちを打ち砕くような出来事がありました。
選挙後、陣営の中のある方からこう言われたのです。
「政策も悪くないし、和田先生が推薦したのに票が集まらなかったのは、他の女性候補に比べて見た目の問題だと思うんですよ」
もしかしたら悪意はなかったのかもしれません。
冗談半分だったのかもしれません。
それでも、その言葉は私の胸に深く刺さりました。
なぜなら、その一言で私がこれまで積み重ねてきた人生まで否定されたように感じたからです。
薬剤師として35年働いてきたこと。
シングルマザーとして4人の子どもを育ててきたこと。
医療現場の問題を変えたいと思い続けてきたこと。
仕事を辞めて選挙に挑戦したこと。
そのすべてが、「見た目」という一言で片付けられてしまったように思えました。
私は、見た目ではなく、経験や知識、人として積み重ねてきたものにも価値があると信じて生きてきました。
それだけに、その言葉は想像以上に私を傷つけ、じわじわとその傷は広がり、鬱傾向になっていたと思います。
さらに追い打ちをかけたのが生活への不安でした。
選挙に出るため仕事を離れていたこともあり、選挙後は仕事が大きく減りました。
フリーランスの仕事は、一度離れるとすぐには元に戻りません。
「来月は大丈夫だろうか」
「この先、生活していけるだろうか」
そんな不安が毎日のように頭をよぎりました。
ブログもそんな状況のなか、何を書けばいいのかわからなくなり、どんどん書く頻度が少なくなっていきました。
そんな苦しい時期も支えになったのは仕事でした。
少しずつ仕事は戻り、仕事を依頼してくださる出版社の皆さまには、本当に感謝しています。
広告などの仕事をくださった医療機関の先生への恩も忘れません。
また、薬剤師として働ける職場を探してくださった紹介会社の方々にも支えられました。
仕事があること。
働ける場所があること。
それは決して当たり前ではないのだと、この一年で改めて実感しました。
そして何より感謝しているのは、読者の皆さまです。
ブログやSNSに励ましのメッセージをくださった方々。
選挙後も変わらず応援してくださった方々。
「大丈夫ですか?」
「記事を読んでいます」
「また発信を楽しみにしています」
そんな言葉に、どれほど救われたかわかりません。
この一年を振り返ると、多くの方に支えられてここまで来ることができたのだと思います。
おかげさまで、ようやく元気を取り戻してきました。
そして今は、もう一度前を向いて頑張ろうと思えるようになっています。
選挙という挑戦は終わりました。
しかし、私が取り組みたい課題は何一つ変わっていません。
医療のこと。
子育てのこと。
社会保障のこと。
薬剤師として。
医療ジャーナリストとして。
4人の子どもを育て上げた母親として。
これからも、自分にできる形で社会に声を届けていきたいと思います。
そして、誤解のないようにお伝えしておくと、私は政治家への道を諦めたわけではありません。
今回の選挙で落選したことは事実です。
しかし、それは私にとって終わりではなく、一つの経験であり学びでした。
むしろ、政治の世界を実際に経験したことで、見えてきた課題や現実もたくさんありました。
今後も無所属という立場で、政治活動を続けていこうと思っています。
どこまでできるかは分かりません。
それでも、医療現場で35年間感じ続けてきた問題や、子育てを通じて経験してきた課題を、少しでも社会に伝えていきたい。
それが今の私の率直な気持ちです。
この一年、支えてくださったすべての方に心から感謝しています。
本当にありがとうございました。
そして、これからもどうぞよろしくお願いいたします。
