「さて、どうしたものかのう…」
木の上であった。
背中に笈を背負った人影が二つ。
枝に腰を掛け、考え事をしている。
白髪の交じった長い髪。
額には二つの角、口元には牙が見える。
どう見ても人ではない。
一人は女の青鬼、後鬼であった。
「真魚殿のこと、何か考えがあるのじゃろ…」
もう一人は、髭を蓄えた男の赤鬼…
前鬼である。
「小角様の経塚…」
「確かに…この役はうちらしか出来ん…」
「小角様を手伝ったのは、うちらじゃからのう…」
後鬼が晴れた空を見て言った。
「しかし…」
「真魚殿は一体何をするおつもりじゃ…」
後鬼にはさっぱり分からないようである。
「真魚殿は、見てこいと言ったのじゃ…」
「場所は分かっておる…」
「とにかく…一回りするしかなかろう…」
前鬼が後鬼に言った。
「それも、そうじゃが…」
「ん!」
突然、後鬼の表情が変わった。
「まさか!!!」
前鬼と後鬼が同時に声を上げた。
「うちらにしかできん…」
「真魚殿はそう言うておった…」
後鬼には、何かが見えたようであった。
「確かに…儂ら以外には無理かも知れぬ…」
前鬼がそう言いなら、蓄えた口ひげを撫でた。
何かが浮かんだ時の、前鬼の癖である。
「ならば、急げじゃ!」
後鬼がそう言って、木の上から跳んだ。
「そういうことじゃな…」
前鬼がその後に続いた。
目の前に小高い丘がある。
木々に覆われた森の丘であった。
「ここか…」
真魚は恐れもせず、森の中に分け入った。
「真魚、俺はここまでにしておく…」
嵐がそう言って、その場に寝転んだ。
子犬の姿でも、それだけ影響がある。
ここにいる存在の力…
それが大きいと言う証でもある。
真魚は更に森の奥に入っていった。
丘の頂上付近。
ぽっかりと空に向けて、木々が口を開いている。
そこから射し込む光が示す…
それが、目的の場所のようである。
「ご丁寧に…」
真魚が笑みを浮かべた。
そして…
どしっ!
突然、地面に棒を立てた。
その瞬間、大地が揺れた。
真魚は手刀印を組んで目を閉じた。
漆黒の棒が虹色に耀く。
同時に広がっていく波動。
その耀きが全てを示す。
全てがここにある…
まるで、自らの全てを見せている。
見る者が見れば…
そう見えたことだろう。
すると…
突然、目の前の地面が割れた。
光が地面を二つに切り裂いた。
気がつくと…
そこは金色の世界…
金色の光の柱が、全てを包み込んでいた。
『我を起こしたのは、貴様か…』
目の前に光を纏った存在が現れた。
「さようでございます…」
真魚は珍しく、頭を下げた。
『お主の様なものが、何の用じゃ…』
『そんなことか…』
言葉ではない。
真魚の中にその声が響く。
この存在の前で、隠し事など出来ない。
全てを見抜かれている。
問いと答えが同時に存在する。
それが、その証である。
『お主の考えは、間違っておらぬ…』
それが、ここまで来た理由である。
「では、それで構わぬと…」
真魚がそう言った。
『好きにするが良い…』
『あれはそういうものだ…』
『それにしても、お主は面白い…』
『美しい神…神の法具…それに鬼か…』
真魚の全てを一瞬で見た。
そういう事になる。
『久しぶりに面白いものを見せて貰ったわ…』
『何かあれば呼べ、力になろう…』
荒ぶる神…
自らは名乗ることはない。
「では、よしなに…」
真魚がそう言った途端…
元の世界に戻っていた。
次回へ続く…
スピリチュアルな記事はこちらにも↓
『そらうみガイドブログ』はこちらから!
『そらうみガイド』お申し込みはこちらから!

