嵐を先頭にして、森の中を歩いている。
嵐の後に昴、阿瑠、そして舞衣が続いている。
しんがりは真魚が務めていた。
「5人ほど…」
昴は既にそれを感じ取っていた。
その感度は更に上がっている。
人の能力にも個性がある。
この力は昴の個性であった。
「失敗を、改めぬ奴等じゃな…」
先頭の嵐が、つぶやいた。
「相変わらず…すごいものだな…」
阿瑠が呆れている。
「後鬼の煙玉は、無駄だったかも知れぬな…」
嵐がうれしそうに言う。
「少なすぎる…」
真魚がつぶやいた。
「そういえば…そうかも知れぬ…」
阿瑠が何かを考えている。
帝のやり方は良く知っている。
一度、ぐらいでは曲げることは無い。
蝦夷との戦いが、まさにそうであった。
「その気配は…闇と戦った辺りだな…」
真魚が昴に、確認を入れた。
「はい…」
昴は、その方向を気にしていた。
「これは、誰が拵えたのじゃ…」
謎の式盤を見て、後鬼が言った。
「古の神の力…としか言えませぬ…」
美鷺が後鬼の前にいる。
前鬼と後鬼、美鷺が村に残っていた。
「遙か遠い昔…滅んだ世界があった…」
「この辺りは、その一部だったかも知れませぬ…」
美鷺が話を続けた。
「滅んだ…世界…」
後鬼が眉を顰めた。
少なくとも、後鬼の生きている間の話では無い。
「”れむりあ”と…」
美鷺がその名を口にした。
「勿論、私らは古の文字は読めませぬ…」
「波動で教えて頂いたのです…」
「面白い話じゃな…」
二人の後ろに、前鬼が座っている。
「先ほど一部と言っておったが…」
前鬼が、美鷺に尋ねた。
「今は、ほとんどが…海の中ですな…」
その海とは、熊野灘という事になる。
「そうすると…この倭も含まれていた…と言う事か…」
前鬼は、そう推測したようだ。
「では…これ以外にもあるのか?」
後鬼が謎の式盤を見ている。
「私達が見つけた物は、これと同じ物がもう一つ…」
「それと…王の証、剣、鏡、勾玉…」
「探せばまだ…あるかもしれませぬ…」
美鷺が笑みを浮かべた。
「まだ、未知の力が眠っている…」
「そういうことか…」
前鬼が驚いている。
「古の世界の生き残りが…、王の証を受け継いだのか…」
後鬼が考え込んだ。
「その可能性はあるが…時が合わぬ」
「別々に存在した…と考える方が納得出来る…」
前鬼が自らの考えを伝えた。
「ひょっとして…」
「お主らが…王の証を受け継ぐ者達か…」
後鬼が美鷺を見た。
「それは…答えられぬ…」
美鷺が笑っている。
「そういうことか…」
前鬼の中で何かが繋がった。
美鷺の笑みは、否定ではない。
言えないだけなのだ。
「神の力の地、受け継ぐ者、導くもの…」
「三つの力が…一つになって…」
「この地より飛び立ったのか…」
後鬼がつぶやいた。
「八咫烏も…三本足じゃったのう…」
前鬼が、神話の一部を思い出している。
「ここに一度止まり…融合した…」
「その後、この地を抜けて行った…」
「そういうことなのか…」
前鬼の中で、全てが繋がって行った。
続く…
-この物語はフィクションであり、史実とは異なります。
実在の人物・団体とは一切関係ありません-