「だが、人は物を創る事が出来る…」
「帝が持つ三種の神器は、どうだか…」
真魚が笑っている。
「倭にもそれがあるの…」
昴は明らかに、何かを感じている。
「本物か、偽物かは見れば分かる…」
真魚が苦笑いを浮かべている。
昴はその言葉の意味を、理解していた。
「だったら…王の証も同じではないの?」
昴はそう感じた。
「そうだ、偽物でも本物だと言えばいい…」
「帝の力がそれを本物に替える…」
真魚の言葉は、その力の危うさを示している。
「だったら…どうして…」
昴はそのことに関わっている。
気にせずにはいられない。
「この村から、ある者が逃げた…」
「王の証が、帝の知る事実となった…」
真魚が、お珠から聞いた事実。
「それで…阿瑠たちが…」
昴の中で何かが繋がっていく。
「あるなら…欲しいと思わないか?」
「王の証だぞ…しかも、大地の王だ…」
背中の真魚の笑みは、二人には見えない。
だが、二人にはそれを感じていた。
「
義沙
…」
昴がその名を言った。
「この世に本物が存在し、それを知る者達がいる…」
「真の神の血を受け継ぐ者は、自分でなければならぬ…」
「だが、自らの血とは別に、世界の王となる神の血が存在する…」
「そして、その証が存在する…」
「あの男なら…それは、許せない事実だ…」
真魚が、全ての答えを告げた。
「全てを手にすれば…ひとつになる…」
舞衣がそう言った。
「そういうことだ…」
真魚が話を閉めた。
だが、その裏にあるお珠達の狙い。
その事に気付いているのは、真魚だけであった。
「話は終わったようだな…」
嵐が動きを止めた。
「この大地を歩き、船を使えば出来ぬ話ではないな…」
「俺ほど速くは進めぬがな…」
嵐が笑っている。
嵐にはどうでも良いことである。
だが、一言、自慢をしておきたかったようだ。
二人は大地の耀きに目を移した。
しばらく…無言の刻が流れた。
「本当にきれい…」
昴の瞳がそれを映し、輝いている。
闇に浮かぶ生命の光。
それを、受け入れている。
そこにあるのは、見えているものだけではない。
「二人とも」
「目を閉じて観じてみろ…」
真魚の言葉で、二人が目を閉じた。
真魚の身体が、耀き始める。
二人にその波動が伝わっていく。
「これって…」
舞衣が驚いている。
「大地が…耀いている…」
昴の瞳から、光がこぼれた。
遍く散りばめられた生命の耀き。
その波動が、心を揺らす。
「なんて…美しいの…」
舞衣は、その全てを感じ取ろうとてしていた。
続く…
-この物語はフィクションであり、史実とは異なります。
実在の人物・団体とは一切関係ありません-