
フィリピンのクリスマスは9月からカウントダウンが始まる。
日本ではまだ残暑の残る、紅葉も始まらない時期にフィリピンのラジオからはクリスマス・ソングが流れ、街にはちらほらとイルミネーションが輝き出す。
アジア唯一のカトリック国家・フィリピンはアジアで最も盛大にクリスマスを祝う国として知られ、また世界で最も早くからクリスマスを祝う国としてクリスマス・マニアの間では密かに有名らしい。
私の勤める日本語学校の向かいにはホテルがあって、いつもそこのレストランで食事をするのだが、9月に入ったとたん、ウェイターに「メリークリスマス!」と陽気に挨拶され驚いた。
四季がないため季節感がさほど重要ではないことも影響しているかもしれないが、夏休みが終わると同時に来年の夏休みを待ちわびる子どものように、フィリピンの人々にとってクリスマスは心躍る、そして大きな意味のあるイベントなのだ。
もちろん日本のように恋人同士が高級レストランで食事して夜景を見る、などという怪しげな風習はなく、家族みんなで教会に行き、家族みんなでお祝いをする。
クリスマスのごちそうと言えば日本ではフライドチキンが定番だが、アメリカは七面鳥だというし、コロンビアではブタだった。ここフィリピンでは『ケソ・デ・ボーラ』と呼ばれる丸くて大きなボール状のチーズとハムだ。その他スペイン風、アメリカ風、そしてローカル料理がミックスされたフィリピンのクリスマス・ディナーは、まさに真の多国籍料理と言えるだろう。
大晦日の縁かつぎの風習もおそらくはスペイン由来のユニークなものが多い。
例えば、12種類の丸い果物をカゴに盛る(丸くなければダメ)。そして12時の新年を迎えたら、その果物やコインを玄関先から外にどんどんほうり投げる。投げられた果物やコインは、通りで待ち構える子ども達や貧しい人が拾う。
また日本の年越しそばのように麺類を食べるという習慣もある。麺類ならスパゲッティでも焼きそばでも何でもいいそうだ。
あと子どもたちは新年にジャンプすると背が伸びる、と言われているのでピョンピョン跳ぶ。
ちなみにコロンビアでは大晦日、女性は黄色いパンツを裏返しにはく。ウンがつく、らしい。さらに新年と同時に旅行かばんを持って家の周りを一周する。その年、旅行がたくさんできる、らしい。
習慣や行動は様々だけど、新しい年にいいことがありますように、家族が健康で幸せでありますように、と願う人間の心は世界共通だ。
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◆ゲストライター:かおり

寒さが苦手でたいてい南の国に逃亡している軟弱な道産子。初海外はマダガスカル。
その後JICAボランティア関係でパラグアイ、コロンビアとベサメムーチョな南米暮らしが続き、現在は流れ流れてフィリピンの田舎で日本語を教える日々。最近ハマっているモノはハロハロ(フィリピン風具沢山カキ氷)とレチョン(子豚の丸焼き)。
「ワイフ」や「ママ」とはほど遠い人生裏街道をクラゲのように漂いつつも、まだ見ぬ夫と我が子のためにSoLで修行しておこう、と決意する。