長女出産から1年余り、それまでの職場から、かつていた古巣へ職場復帰した時、私は打ちのめされていた。仕事のことよりも、若くてかわいくて仕事ができる後輩がぞろぞろいたからだった。

育児休暇の間、すっぴんで髪はぼさぼさ、服を買う余裕もなく、「母」になろうと必死で、「女」でいようと思う余裕もなかった。「女」であってはいけないような気がしていた。

それが、通勤で地下鉄に乗れば、華やかな同年代の女性たちがいやでも目に入り、職場で飲み会やプライベートの話で盛り上がる後輩を見るにつけ、どんどん自分が惨めに感じてきた。そりゃ、20代後半で子持ちで、今が花!という独身女性と比べるのも間違っているが、それでも、自分を女として見てほしいという気持ちがむくむくと沸きあがってきた。

まずはファッション誌で研究しようと、キャリア女性向け雑誌を購入。次にデパートに行き、雑誌掲載ブランドの店に入ってみた。値段の高さにクラクラ、もさっとした自分の服を見てまた目眩がしたが、たまたま店員さんが親切にアドバイスしてくれ、気に入ったので思い切って購入。値が張るだけあって、洗ってもよれにくいし、色合いなどもちょっと違うのに大人心をくすぐられたことと、店員さんが私のことを覚えてくれていたので、その後も通うようになった。さらに、メイクにも力を入れるようになった。

若い子に負けぬ美しさを求め、ファッションにはかなりの額をつぎこんだ。勢いで買い、「買わなきゃよかった」と思ったことも多々ある。それでも、新しい服を買ったり、店員さんに薦められて自分じゃ選ばないような服にチャレンジしたり、また、化粧品カウンターで新色をタッチアップしてもらって、鏡の向こうに映る新たな自分を見つめるのは楽しかった。自分の中に眠っていた「女」がゆっくりと開いていくのが感じられた。私も、女だったんだ、と。

そしてもういい加減、若い子に張り合うのに疲れてきたある日、同じ職場の先輩女性から言われた一言に耳を疑った。

「ズバーンさんっておしゃれだよね」

その言葉で、服への依存心がすっと抜け落ちた。5年がかりで、「服に着られる」自分から、「服を着こなす」自分にやっとなれた気がした。

対抗心から始まった私のおしゃれ道。
現在も、男性上司に「おっ、それはチャンピオンベルトか?」「首からぶら下げているのはお遍路さんの数珠か?」とからかわれつつも、30代ならではの美しさを追求する日々が続いている。

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◆ゲストライター:ズバーン

ズバーン

5歳と2歳の娘を持つワーキングマザー。 某マスコミ勤務。
子供がいたってキレイでいたい!とおしゃれな母を目指しつつも、6歳年上のオタク夫に感化され、腐女子への道まっしぐら。 流行のJ-POPやバラエティにはついていけず、アニメの話になると目が輝き、ポケモンの映画で涙する。趣味は昼休み中のデパート通い。