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【お便り・ご相談】自分に正直になりたい

今回のお便りをくださったSさんは、

「これまでは周囲に合わせて生きてきたけれど、自分の本音を大切にしたいという気持ちが強くなってきた。しかし、自分に正直になろうとする結果、周囲の人を傷つけたり、離れていったりすることに戸惑っている」

というご相談を送ってくださいました。

 

自分に正直になるという「脱皮」のとき

蛇が脱皮をする時、古い皮は役目を終えます。

木が成長する時も、去年までぴったりだった樹皮が窮屈になります。

私たちも同じです。

人生のある時期になると、それまでの自分ではいられなくなることがあります。

今までは我慢できていたことが我慢できなくなる。

今まで笑って受け流していたことが苦しくなる。

今まで人に合わせることで成り立っていた関係に違和感を覚える。

それはわがままになったのではなく、自分自身との距離が近くなってきたということなのかもしれません。

 

「合わせること」と「優しさ」は違う

Sさんはこれまで、周囲から「優しい人」「穏やかな人」と思われてきたとのことですが、ここで立ち止まって考えてみたいのは、「周りに合わせること」と「優しいこと」は必ずしも同じではない、ということです。

 

誰かに合わせる姿勢は、一見すると相手への「優しさ」や「配慮」のように感じられます。

しかしその裏側には、実は「嫌われたくない」「波風を立てたくない」という恐れが隠れていることも少なくありません。

 

Sさん自身、本質的にはとてもお優しい、周囲への温かな気持ちを持った方なのだと思います。

 

だからこそ、かつて幼少期などに
「周囲の雰囲気と合わないこと」をして傷ついた経験や、仲間外れにされたり、ひどく怒られたりした痛みが、どこか心の奥に残っているのかもしれません。

 

 

「嫌われたくない」「波風を立てたくない」という恐れは、過去の傷つきから自分を守るための、大切な防衛反応でもあったのだと思います。

 

もちろん、周りに対して穏やかで、あえて自己主張をしない生き方もあります。元来そういう気質の方もいらっしゃいます

(エニアグラムのタイプ4やタイプ9などのように、静かに見守る調和的なタイプ)。


けれどもし、「周りの空気を乱したくない」という思いから穏やかでいる(静かでいる)のだとしたら、それは「無理をして周りに合わせている」のと本質的には同じです。

 

これは私自身がそうだったから痛いほどわかる。

 

実は私自身、少し個性が強いせいか、昔から周囲の話題になかなか馴染めなかったり、雑談についていけないことが多々ありました。

 

かつては、周囲の輪に加わるために無理をして時間を作り、自分にとってはあまり関心のない情報まで必死に集めていた時期もあります。

 


でも、そうして無理に合わせた結果、
自分自身をすり減らし、
傷ついてしまうだけだと気づいたのです。

 

本来の自分が必要としていないことに時間やエネルギーを注ぎ続けるのは、やはりどこか自然ではないのだと感じています。

 

人間関係の変化と、役割の終わり

このように、無理に合わせることをやめ、

自分の本音を大切に生きようとするとき、

私たちは自分自身との関係を取り戻し始めています。


ただ、そうした「自分自身の変化」のプロセスには、

避けては通れない厄介な側面があります。

 

自分が変わると、人間関係も変わるのです。

(全てではありません。ただ概ねそういう感じになっていく)

 

私たちはつい、

「本当に良い変化なら、みんなが喜んでくれるはず」

と思ってしまいます。

 

でも現実はそうとは限りません。

例えば、これまで何でも引き受けていた人が断るようになったらどうでしょう?

 

いつも周囲に合わせていた人が、
自分の意見を言うようになったらどうでしょう?

 

変わった本人にとっては健全な変化でも、
それまで関わってきた周囲にとっては居心地の良かった関係が変わることになります。

 

繰り返しますが、全ての関係性でそれが起きるわけではありませんよ。しかしこれはコントロールできないことです。

 

時には、相手が戸惑ったり、
怒ったり、離れていくこともあります。

 

それを見て、「やっぱり私が間違っているのかもしれない」と思ってしまう人も少なくありません。

 

でも私は、人が成長する時に起きる
別れや摩擦を失敗とは考えないようにしています。

 

人生には、「その関係の役割が終わる」

という出来事があります。

 

子供の頃なら卒業・入学という節目がありました。


大人になってからはそういう節目はありません

 

自分でそういう環境を作るか、
あるいは人生の流れが、そういう状況になっていると気づく必要もあるのだと思います。

 

もちろん、だからといって
好き勝手に振る舞えばいいという話ではありません。

 

ここで大切なのは、自分の正直さを誰かにぶつけることではなく、自分の正直さを自分が受け止められるようになることです。

 

実は多くの場合、

私たちは他人より先に、
自分自身を怖がっています。

 

嫌われるかもしれない。
否定されるかもしれない。
わがままだと思われるかもしれない。

 

だから本音を飲み込みます。

けれど本音を飲み込み続けると、

今度は自分自身との関係が苦しくなっていくのです。

苦手だったものの中に、自分の一部を見つける

今回のお便りの中で印象的だったのは、
相談者さんが昔は苦手だったお母さんの中に、

自分と似た部分を見つけたということでした。

 

人生には不思議なところがありますね。

 

若い頃に嫌っていたものが、
後になって自分の中にもあると気づくことがあります。

 

もちろん同じ人になることはないし、
そうする必要もありません。

 

拒絶していたものの中に自分の一部を見つけられた時、
人は少し大人になるのだと思います。

 

光だけではなく影も。
優しさだけではなく強さも。
合わせる力だけではなく主張する力も。

その両方が自分の中にあることを
認められるようになるからです。

まずは自分との関係を育てることから

だからもし今、自分を変えることへの怖さがあるなら、まずは周囲の評価よりも、自分自身との関係を育ててみてください。

 

今日は少しだけ本音を言えた。
今日は少しだけ断れた。
今日は少しだけ自分の気持ちを優先できた。

 

そんな小さな出来事を
自分自身が見つけてあげるといいと思います。

 

人生は誰かの期待通りに生きるためのものではありません。

けれど、自分勝手に生きるためのものでもありません。

その間にある、

自分の本音と責任を引き受けながら生きる道を探していくこと。

 

それが「自分らしく生きる」ということなのかもしれません。

 

そして、その道を歩き始めた時に
離れていく人もいれば、新しく出会う人もいます。

 

人生とは不思議なもので、本当の自分に近づくほど、
本当のご縁もまた近づいてくるように感じます。

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