第五章 カスター国立公園からパインリッヂ居留区へ 

カスター州立公園のカスターとは1800年代後半にアメリカ連邦政府軍を率いていた将軍で、先住民との戦争で有名なリトルビッグホーンの戦い(1876年)で名を知られている。シッティング・ブルというこれまた有名なラコタ族長やクレイジー・ホースが参戦し(ラコタ族、シャイアン族、アラパホ族の連合軍)カスターは惨敗した戦い。

反インディアンの人々からはこの戦いをインディアンによる虐殺だとしてカスターを英雄にしたのだった。

後に1890年のウンデッドニーの大虐殺へと傾れ込むようにして戦いが続いたわけだが、今もって白人側とネイティヴ側でウンデッドニーの出来事が『戦争』か『虐殺』か、真っ
向意見が対立しているのも、このリトルビッグホーンの戦いがあったためだと推測される。
いずれにせよ、カスターという名前は州立公園の名前として残ったのだった。*ちなみにリトルビッグホーンはモンタナ州

名前はともかくとして、この州立公園は東京都程度の広さがあり、中で暮らしている動物達は皆野生だ。生態系を崩さないためにいっさい餌付けをしてはいけないが、一種類だけ人間が持ち込んで以来野生化したロバだけは餌をあげてもいいのだそうだ。

ビューエリアなどで車を降りるのも可能。しかしそれ以上は近付いてはいけない。ビューエリア内のみ限定。

この公園の名物であるバッファローは1500頭ほど生息している。時折道すれすれにいたりするため、不用意に近付くと驚いて突進してくる。草食動物だが体当たりされたらひとたまりもない。実際、年間に3人くらいは死亡者が出るという。

ここにいたるまで長い道のりだった。この公園にはルートがいくつかあり、最初はメジャーなルートを通っていった。途中鹿に出会ったり、ロバにおねだりされたり、プレイリードッグや野兎などの小動物、鷹などを目撃したのだが、肝心のバッファローがいない。

この季節には珍しい晴天続きにより、あまりの暑さで出てこないのではないか?
出口付近で車を降りて、干涸びたバッファローの糞を見ながらそう思った。

しかし私はバッファローが絶対に現れるという妙な自信があった。Tomoさんが途中まで引き返して別のルートで行きましょうと言った時、その自信が確信にかわったような気がした。

上の写真のバッファローも実は道すれすれに6頭くらいが日向ぼっこをしている最中だった。当然車からは降りられず、窓からの撮影。


元来た道を三分の二ほど戻るため、またロバに遭遇。しかもさっきより頭数が増えていて道を通るのも一苦労なのだが、愛嬌があってかわいい。やがてメジャールートを逸れて細道に入ってしばらくしたところでバッファローに出会えた。

さらにもっと先に進むと鹿とバッファローの群れ。その中に子供のバッファローも見ることができた。いずれも暑さのため、走ってこそいないがちゃんと見ることができてよかった。

その後カスター州立公園から一路南東の遥か先にあるパリンリッヂ居留区へと向かう。その道すがらカフェで休憩。

いかにも西部の片田舎にあるカフェらしく、近所のおじさん連中が世間話中。ウェイトレスのお姉ちゃんもその会話に参加するといった映画でも見たことのあるような情景。そこでコーヒーとチョコレートシロップがたっぷりかかったタートルチーズケーキを食す。ちなみにコーヒーは40セント。お代わりは自由。これアメリカでは当たり前のこと。

アメリカ人旅行者が日本でコーヒーの二杯目を頼んだらお金を二杯分とられたと言うそうだが、お代わり自由なのはアメリカらなではなのだろう。ただし味は薄いが。
 

この写真はこの日の前日に撮影したのだが、いわゆるゴーストタウン。
開拓者が西に行くためにいったんここに町をつくり、西に町ができた時にこの町ごと置き去りにして西に行ってしまった跡だ。今は観光客が来るため、保存した状態でペンキも塗って綺麗になっている。もちろん店はやっていない。

この写真は1900年代初頭のもので、ブラックヒルズで一攫千金を目指した人々の憩いの場。この近くには1800年代のゴーストタウンもあり、そこには学校や警察署と思しき小屋もあった。

サウスダコタにはこのようなゴーストタウンがいまでも沢山残っている。

パインリッヂまでの道のりは何もない大平原を走る。ホピの時もこんな情景が3時間ほどつづいたが、ここもそれくらいは走っただろう。

いざパインリッヂへ!!と意気揚々としたいところだが、この時私は少しばかり居留区の現実を知ったが故の落ち込みにもにた感覚に捕われていた。


前日の帰りに少しラピッドシティの土産物屋に寄ったのだが、その帰りに奇声を発している酔っ払いを間近で目撃して閉口した。いわゆるホームレス風の男だったが、実はそれが現在のラコタ族の現状だと高木さんが言う。もちろんごく一部の人のことを指すのだが、そうなってしまう現状が彼等の大きな問題となっているのだ。それは日本ではまず無いだろう複雑な問題だった。

以前ラコタの神話や哲学に関する勉強をした時、その教科書を私に与えてくれたリトル・エルクの書いたその本の後半は、ラコタの現状と問題について書かれており、文面上では知っていたものの、実際目の当たりにして、ただ驚くしかなかった。

居留区に到着する頃には日がすっかり傾いていた。宿泊する事になっているティピの設営場所まではさらに南下しなくてはならない。


ラコタの地で見る夕焼けは真っ赤だ。セドナで見た夕焼け以上にひたすら赤くなっていく。そして東の空は見事なグラデーション。

*サウスダコタ~パインリッヂ居留区オグララ・スーの聖地で過ごした魂の旅日記 PART 1は2006年に別のブログに掲載していたものをアメーバ移行に伴い、再編集しておとどけしています。

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