整体で分析 うまい酒とやけ酒の体運動の差 | 新大阪|心と体が喜ぶ健康づくり『進化体操』

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前回からの続きです。(前回の記事はこちら→

しかし、日本酒のCMはそうはならない。飲む瞬間には、上くちびるが杯を迎えにいく。顔はやや下向きになる。松竹梅を飲む渡哲也を思い出して頂ければ一目瞭然である。





顔を下に向けると、下あごは絶対に開かない。運動としては開くことは開くが、その口元に飲み物があれば、開かない。なぜか?顔を下に向けながら下あごを開いたら、口に注いだ液体はこぼれてしまうからである。

いきおい上くちびるで迎えにいき、口中のきわめて前の部分に迎え入れる。口の下を舌で覆って、その舌と上あごで液体をはさむようにする。すると液体は舌と上あごで味わった後、口の中を広がり、引力によって下側に落ちていき、ゆっくりとのどに到達する。その口中の液体がゆっくりと広がるような飲む運動が、観ているものにとっては「うまそう」と映るのである。

したがって、ビールは顔が上を向き、勢い良く注ぐほど「うまそう」に見え、日本酒は顔を下に向ける時間と程度が長いほど「うまそう」に見える。

日本酒を飲んでいる情景でも「味なんかどうでもいいんじゃ!」という時もある。やけ酒である。

「なんで~、あんな女。あいつばかりが女じゃね~よ~!」とか

「なんじゃあ、あのくされ上司め。あんなバカが上にいたんじゃ、ばかばかしくってやったられね~よ」

と、わめきちらしながら、その飲み手がじっくりと顔を下に向けたとすると、どう見てもその情景は「やけ酒」には見えない。その瞬間は怒りを忘れ、酒を味わっているように見える。

やけ酒には、我が身を破壊するかのような心情と、それにともなう体運動がなければならない。だから顔を下に向け、舌の上に酒をころがすような「味わいステップ」があったのでは「正しいやけ酒のための体運動」にならない。そこで「味わいステップ」を省略し、ビールよりもはるかに高濃度のアルコール溶液を、ダイレクトに喉にぶつけるという体運動へと変わる。


「味なんてどうでもいいだから、俺は酔いがほしいんだから」

と言うときには、顔は上を向く。「酒をあおる」というような表現がぴったりとする。


したがって、ぐっとあごを引くような渡哲也を見て、人は「松竹梅は美味しそうな酒なのね」と潜在意識に入るのである。もし仮に渡哲也が、正面からのどが見えるように松竹梅をかっぽかっぽと飲んだとする。見る人の潜在意識には「やけ酒の時に最適、松竹梅。よし、こんど女性に振られた時には、ぜひ松竹梅を飲むことにしよう」と刷り込まれるに違いない。

したがって、「やけ酒に最適!」という新製品を発売しようとする酒造会社があれば、そのあたりに気をつけて広告を制作されればと思う。

コーヒーカップにティーカップ。杯、ぐい飲み、ビアーグラスにジョッキ。湯飲み茶碗。はやりすたりに関係なく、その形状が固定化され今後変わりそうもない形状の「うつわ」というのは、その器に入れる飲み物を、「こういうふうに飲みたい」という体運動が、最もしやすい形状になっているものだと思われる。









ちなみに「コーヒー」というのは、「上あご系/日本酒ちびちび類似/味わい体運動」に属するようである。麦茶というのは「下あご系/ビールごくごく類似/のど越し体運動」に属するとようである。

前回、コーヒーだと勘違いして麦茶の濃いのを飲むというのを、体運動的に分析すると「下あご系/ビールごくごく類似/のど越し体運動」で飲まないとうまくないものを「上あご系/日本酒ちびちび類似/味わい体運動」で飲んでしまった、ということになる。

麦茶を杯でちびちび飲む人はいない。コップでごくごく飲む。つまり、舌の上で味わいたいという欲求は麦茶に対して、人は持っていないということである。それを味わい系の飲み方をしてしまった。予測と違う味を、もろに食らったのである。これが私の分析する「なんでこんなにまずいの?」とうい事件に関しての分析である。

うつわを変えると、飲み方の体運動が規制される。杯はちびちびしか飲めないし、ジョッキはぐびぐびしか飲めない。ということは、飲み物のうつわを変えれば、味は変わるということである。

手っ取り早いのは、缶コーヒーをコーヒーカップで飲んでみる方法である。まったく違う味になる。


今回は「飲む」という行為と体運動を関連づけて考察したが、これは「味わい」と「体運動」の関係とも言い換えられる。

「味わい」は別に飲み食いだけではない。「人生の味わい」を深めるために、カラダの動きという面を今一度見直していただく一助となれば、幸いである。味わい方によって、味わう際の身構えによって、うまくもまずくもなるのである。


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