ここのところ堅い話が続いたので、ちょっと息抜きで城の話。
この二つ、どっちが本物、偽物にみえます?
上が伏見城 京都
下が松前城 北海道
答えは下が本物。
伏見城が模擬天守で松前城が再建天守閣。
みえみえなので答えはわかったかもしれませんが、伏見城の方が堂々としていてお城っぽくないですか?
伏見城は絵図が最近発見されたとの事ですが、城跡近くに作られたレジャー施設で大坂城絵図などを参考に桃山/太閤秀吉のイメージで作られたかなり怪しい偽物です。言われてみるとやたらと派手だったり、軍事施設と言うより宮殿のような外観。
松前城はコンクリートの再建ですが、オリジナルは戦後も残っていてこの再建天守は写真などに忠実なものなのです。松前城は日本で最後に建てられた城の一つで、この頃は軍事的な意味はほとんどなく天守閣もほんとにお飾りだったのです。そして天守閣自体も簡略化されたシンプルな物になっていました。天守閣で威厳を見せると言う時代が過ぎていたのですね。
次はちょっと難しいかも。
よく似ていますが次の三つのうち本物はどれでしょう?
答えは二つ目。
三つ目の墨俣城は最上階のガラスの感じとか、いかにもうそっぽい感じがするので偽物とすぐにわかるでしょう。
一つ目は郡上八幡城で山の上にあってかなり堂々としたもので、木造ですが模擬天守。
二つ目は大垣城で戦災で焼失した物をコンクリートで再建。焼失前は国宝でした。
なので外見での本物は大垣城と言えます。他の二つは大垣城のコピーです。天守閣の4階建ては珍しいのでちょっと詳しい人にはコピーとわかります。しかもこの三つは大垣周辺のかなり近い地域にあるのです。まったく節操がない…。
郡上八幡城と言うのがなかなか悩ましい存在です。これ木造による最古の再建なんですね。大垣城をコピーしているのですが、水の小京都とも呼ばれる郡上八幡内から目立つ山上に建っていて、町の重要文化財に指定され、なんとかの名城100選にも選ばれてます。つまり、伊賀上野城にも似た、かなり愛されている存在なのです。
オリジナルの大垣城はコンクリートでの再建の上、写真は改修後ですが、改修前は最上階が墨俣城のように大きな窓に改変されていて、ちょっと怪しい感じだったのです。するとどっちが本物とはいえず、むしろ郡上八幡の方がそれらしく堂々としているのですね。
お城好きだった若い頃、富山城なんかとともの好きだったのが伏見城です。派手でかっこいい。でも松前城も小さくて可愛くて結構好きです。
伏見城はレジャー施設キャッスルランドが閉鎖になって耐震性に問題があるので取り壊しされるはずでしたが、惜しむ声が上がって取り壊しを免れたのです。
伏見城は造形的に基本形態が美しい。初期の大天守閣の基本をきちんと踏まえてます。それでいて色彩や装飾など他の城にない個性があります。コピーをほんの少し超えているのです。そして私たちが城に抱く凡庸なイメージも少し超えている。ある意味、過激で過剰とも言えます。この過剰さは娯楽施設だからできたと言えます。
その部分がオリジナルを超えていて価値があるのではないかと思います。
人々の欲望が結晶化して過剰を生み出した創造、アニメやフィギュアのサブカル的クリエイティビティに通じるしディズニーランドのシンデレラ城とも似た存在でしょうか。
松前城は本物ですが、天守閣自体がコピーを繰り返して摩耗した時代の産物で、その造形的な美の力を失っているように思います。(もちろん魅力はありますが)同じ三層天守でも全盛期の彦根城などと比べるとその造形美はやはり格段の差があります。
郡上八幡城は本物志向でオリジナルに近づこうとした努力の賜物でしょうね。完コピの世界。オリジナルを超えるとは思いませんが、オリジナルが損なわれた場合、局所的には価値が生まれますね。クイーンやツエッペリンの完全再現バンドとかあういうの。これはこれで価値があるとは思います。
コピーを前提で、始めるならそれを超えるくらいのつもりで行く、ということはそれはもうコピーとは言えないわけですね。これが「遺題」でも書いたリレーの精神ではないでしょうか?
さて、オリジナルの城を完全に超えた偽物の城はないのか?
まあ、もともと軍事施設で宮殿ですし、当時の大名が威信をかけて作った物ですから、現代の娯楽施設、自治体のシンボルでは勝ち目がないでしょうね。
ただ私は一つだけ見つけました。バーチャルな世界で。
IXA(戦)というゲームに使われている城の画像。
安土城をベースにしてますがこれはオリジナルの城を超越しているように思います。中国の宮殿や寺社建築を大胆(節操なく?)に取り入れている。
ゲームですから一応軍事施設、ゲームはやってないのでわかりませんが宮殿でもあるかもしれません。これにはちょっと驚きました。バーチャルな世界で生まれているというのが面白いですね。現実に建てたら.....まあ馬鹿な物作ってと言われそうですが。





