西田敏行さんが亡くなられました
「笑いとペーソス」この言葉を確実に体現できる日本を代表する俳優さんでした
西田さんとの間には、何年経っても
忘れられない思い出があります
あれは12年前、石井光太さんのノンフィクションルポを原作とした
映画「遺体 明日への10日間」のインタビュー
主演の西田さんは、東日本大震災の遺体安置所でご遺体に寄り添う民生委員・相葉さん役でした
私は震災二日目に現地入りし
遺体安置所をいくつも訪ねました
しかし、あまりにも悲惨で「ここに部外者の自分が入っていいのか」と躊躇する日々を送っていただけに、映画には衝撃をうけました
遺体安置所は体育館の中にありました
冷たい床の体育館のなかに入る時
あの寒さの中、西田さんは靴を脱いで“裸足”で作業をしていたのです
当時現場は、靴を履くのが当たり前でした
「ありえない」
原作にも「民生委員の相葉さんが裸足になる」という記述はありません
私は西田さんに聞きました
すると西田さん
「台本にもありませんでしたが、私が『靴を脱がせてほしい』と監督に頼んだのです」
おそらく、ご遺体の前で土足のままでは失礼である
それ以上に
ご遺体に寄り添うには、自分はここで土足ではいけないと西田さんは考えたのでしょう!
事実に忠実な作品ですが、君塚良一監督はその思いを汲んで、事実にない
“靴を脱ぐシーン”をスクリーンで強調してみせました
西田さんのモデルとなったご本人に映画の感想を聞くと
「西田さんが靴を脱いでいましたね。実は、私も、ああしたかったんです。それを西田さんがやってくださった」
この映画が“事実”を超えて“真実”に迫った瞬間でした
私は西田さんの話を聞きながら、はたと気づきました
「西田さん、そうか。靴を脱げばよかったんですね。僕も靴を脱げば…」
そこから私は涙でインタビューを続けることが出来ませんでした。
震災後わずか2年で作られた
西田さん、君塚監督、入魂の一作
「遺体 明日への10日間」
西田さん、そしてお亡くなりになった震災犠牲者の皆さんへの追悼の意味もふくめて、ぜひご覧いただきたいと思います
西田敏行さん、人の心がわかる本当に素晴らしい俳優さんでした
@映像は全て「遺体、明日への10日間」より





