困難や逆境の中では、
誰もがストレスを経験します。
そうした状況にあって、
なかなか回復できない人もいれば、
いち早く立ち直る人もいます。
失敗してもすぐ切り替えられる人、
嫌なことがあっても前向きでいられる人、
落ち込んでも立ち直りが早い人…、
この違いは、
いったいどこから
もたらされるのでしょうか。
その鍵となる概念のひとつが、
「レジリエンス」です。
レジリエンスとは、
困難や喪失、逆境に直面しても、
しなやかに適応し、
再び立ち上がる力を指します。
イメージするならば、
強風にさらされた時に
しなやかに曲がり折れない竹と、
ポッキリ折れてしまう木に
例えることができるでしょう。

心理学者のタガデと
フレドリクソンの研究では、
レジリエンスの高い人は、
ストレス状況にあっても
ポジティブな感情を
多く経験する傾向があり、
そのポジティブ感情が
心拍などの生理的覚醒からの
回復を早める働きを
担っていることが示されました。
ポジティブな感情は
一時的に気分を良くするだけでなく、
思考や行動の幅を広げ、
心身の回復を促す機能を持つと
考えられています。
また同研究では、
出来事を「脅威」ではなく
「挑戦」として捉え直すことで、
レジリエンスの低い人でも
回復が早まることも示されています。
例えば、
失敗したときに
「もうだめだ」と思うのか、
「ここから何を学べるだろう」
と捉え直すのか。
この違いが、
心の回復力に
大きな差をもたらします。
自らの経験に対する
前向きな再評価は、
ネガティブな感情によって
高まった身体反応を和らげ、
次の一歩を踏み出す
エネルギーを与えてくれます。
レジリエンスは
固定されたものではなく、
働きかけによって
変化しうるものです。
「良かったことに目を向ける」、
「支えてくれる人とつながる」、
「意味を見出す」、
というような日々の実践が、
レジリエンスの育成に
つながる可能性があります。

困難がまったくない人生は、
おそらくありません。
けれども、
困難からより早く立ち直る力を
培うことはできます。
ポジティブ感情を上手に活かし、
しなやかに回復する力を育むことは、
心理的・身体的なウェルビーイングを
支える大切な土台となります。
どんなに小さなことでも良いので、
今日の様々な経験に含まれる
「よかったこと」を探してみませんか。
それがあなたの
レジリエンスを育てる種に
なるかもしれません。
〈参考文献〉
ugade, M. M., & Fredrickson, B. L. (2004). Resilient individuals use positive emotions to bounce back from negative emotional experiences. Journal of Personality and Social Psychology, 86(2), 320–333.
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