アメリカは10月の終わりのハロウィンからクリスマスへ向けてイベントモードまっしぐら。街は華やぎ、人々は浮かれ始め、さぁ、お正月だ、というめでたい時には、2日から出勤ですけどナニカ?とまぁ、ないがしろニューイヤーなのである。

 

アメ横の明らかなおばちゃんに「おねぇさん」という、言う側も言われる側も誰もそれを信じていない言葉を飛ばしながら、かまぼこや数の子が飛ぶように売れていくあのシーンをテレビで見ながら、なんとなくせわしない年の瀬にわくわくする、そういう中で生きて来た者にとって、アメリカのお正月は、一歩外に出るとその他の平日と同じ、365分の1感がすごく、せめて家の中でも正月気分を!と必死だったのである。

 

今年、日本でそのせわしない年の瀬のわくわく感と共にお正月をついに迎えることがでた。そしてお正月休み明け、スーパーへ行くと、七草セットが売られているのを発見。絶対アメリカのあの砂漠では手に入らなかったこの食材に

くそぉシャネルのバッグより嬉しいじゃねぇか

 

と、向こう側から会いに来てくれている七草パッケージに目を輝かせながら、手を伸ばしたのである。

 

家に帰ると、その日はみな一様にお腹がすいていないという。ならば、冷凍ご飯を使ってさくっと七草がゆにして、みんなで楽ちんしようか、となったのである。

 

お鍋に冷凍ご飯とお水を入れ火にかける。ふつふつとなり始めたので、木べらで軽くほぐし始めたその時だった。とても、とても懐かしい感じがしたのである。

 

なんだ、このなつかしさ・・・と思っていると、少しずつその懐かしさを裏付ける映像が浮かんでくるのだ。

広い空、青い海、黄色いテント、バイク、ヤシの木、額縁入りの王様、ゴーゴーバー まさか・・・

 

そして奥の部屋から聞こえて来た「あれ?今日、カオパットにすんの?」のムスコのガル男の声で確定。

 

しもた、これタイ米やった~

 

我が家には、これまで滞在した国を色濃く反映する食材が常にある、あり過ぎる。そう、ワタシはうっかりタイ米を取り出してしまっていたのである。

 

せっかくのやっとの七草がゆをみるみるうちに東南アジアの香りが包み込む。しょうがないと、少しの鶏ガラスープの素を入れ、味を調整して出来上がったのは、もはやタイのお粥、カオトム。

 

ちゃうねん、そうとちゃうねん。なんで目の前に全ての本当の食材がそろっておきながら、海外生活の駐妻の基本、「食べたければ似たような食材で創意工夫を発揮しろ」を帰国してまでやっとんねん。そっくりさんいらんねん

ご本人登場させろや~!

 

こうして目の前にある絶好のチャンスを逃し、本当の七草がゆは

来年までお預けとなってしまったのである。

 

新年早々のおっちょこ噺。

 

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