毎週土曜日は
息子のフットボールの試合とその応援をする娘を見に行く。
今日のシカゴは8℃くらいではあったが、風が刺さるように吹き、体感気温はさらに2、3℃下がっていた。
シカゴの天気予報は、風が激しいこともあり、通常の気温と体感気温の2つを表示していることが多い。
ハーフタイムに温かいものを買いに売店に行った。
1つの窓はオーダーし支払う窓。
横の窓がオーダーしたものを受け取る窓だった。
寒さゆえ、長蛇の列。
するとふら~っと白髪の初老といった感じの小太りのおばちゃんが歩いてきた。
列の先頭まで行ったもんやから、みんながちらちら見ていたところ、2番目に並ぶ高校生の子に、メニュー見ようおもってね、と一声かけた。
長蛇の列、なんやそうかいな
と安心した雰囲気になる。
はいはいはい、ポップコーンあるんやね、とおばちゃん。ほな、あれとあれを買おうか、という動きを見せて、私と高校生の間にしれーっと入り込んできた。
しかし、体半分は列から出ている。
しかもメニューをさらに覗くような動きまで見せる。メニューを見るために列にちょっと体半分入ったとも取れる。
高校生のオーダーが終わると、すかさずおばちゃん、前へ進む。この時点で列のみんなが、このおばちゃん、やりやがった、と気づいたのだ。
おばはん、なんぼ巧妙やねん。
小芝居までうつとは完全確信犯やん。
やや苛立ちと憎しみも込めて
「おばちゃん、堂々とよう入り込んだもんやな」
とおばちゃんの後頭部に向かって日本語でぶつけといた。
わたしができるささやかな抵抗、この程度…
私もオーダーし、横の受け取りの列に並びに行く。おばちゃんがその列に来ない。
その受け取りの列には友達の父ちゃんがいた。
「ポップコーン2つを待ってるねん」
と言う父ちゃん。
1つ目が出来上がり、受け取る父ちゃん。
2つ目が出来上がるまでもうちょいかかると、寒すぎる天気談をしていると、ピーと電子レンジの音がなった。
「ちょっと、あたし、あんたより前に注文して待ってるんや。このポップコーンあたしのんでしょうが」
と急にあのおばはんが現れ、言い放ったのだ。
ただでさえ寒いシカゴが一瞬にして凍りついた。
売店のおねぇさんも
そのおばはんの凄みからポップコーンをおばはんに渡してしまう。
去り際、友達の父ちゃんに
「ほんま、油断も隙もあったもんやないわ」
と捨て台詞を吐いて行ったおばはん。
油断も隙もないんは、お前やろがーーー!!!
と全員が思ったはずだ。
この後どうなったかというと…
売店周りにやさしい一体感誕生。
おばはんのおかげで、知らん人と微笑みあうというおもろい空間が出来上がった。
ゆったりとした心の初老になろうと思った一件でありました。
シカゴの風は、カイロを3つ貼っても寒さが勝つ。耳あてをクローゼットから出そう。ポチっとおおきに。