今年2020年の入試問題の中で、私の中で一番のお気に入りは東大寺の最後の問題、大問4番『場合の数』です。解いていて、今年一番の気持ちよさを感じました。
こんな問題です。
太朗君と花子さんが1,2,3,4,5,6の6種類の数字だけを並べて整数を作ります。ただし、同じ数字を何回用いてもよいとします。たとえば3けたの整数を作るときは222や353などの整数も作ることができます。太郎君の作る整数をA、花子さんの作る整数をBとするとき、次の問いに答えなさい。
(1)
① 2人とも2けたの整数を作るとき、B=2×AとなるようなA,Bの組は何組あるか答えなさい。
② 2人とも2けたの整数を作るとき、B=2×A+1となるようなA,Bの組は何組あるか答えなさい。
(2)
2人とも3けたの整数を作るとき、B=2×AとなるようなA,Bの組は何組あるか答えなさい。
(3)
2人とも5けたの整数を作るとき、B=2×AとなるようなA,Bの組は何組あるか答えなさい。
答えを出す、という意味では、色んなやり方があるんだと思います。
ネット上でもこの問題の解説は色々と見かけます。
例えば、成基学園さんとか
少なくとも私とは、この問題に対する見方も、そして解法も、大きく異なります。
時間制限無視すれば極論、全部書き出して答えを出すのも、立派な解法なのかもしれませんし、すべての解法を尊重したいです。ただ、ぜんぶ書き出したりなど私はやりたくないですが…(笑)
私は算数数学の単元の中で、みんなが嫌いな『場合の数』が一番好きという、ちょっとした変態なんですが、そんな場合の数マニアの私から見ても、この東大寺の問題は解いていて非常に気持ちの良い問題でした。名作、超良問に分類したいですし、作品として仕上げてくる出題者のアーティスティックさには敬意を表したいと思います。(たぶん出題者はK先生)
私は解いていてなぜ気持ちが良いと感じたのかと言いますと、この小問の流れから出題者の意図がおそらくこうではないか、こう解いてほしい、これに気づいてほしいという思いで作られたのではないか、という部分に触れたような気がして、そしてそれはおそらく誰もが辿り着けるわけではないだろう境地だったりして、それに気付くことが出来た限られた人間と出題者の中だけでのみ成り立っている会話があるような気がして、その瞬間に至上の幸福を感じられるわけです。まさに、美術館でアートに見入ったり、落語の深みに聞き入ったりするのと同じような感覚です。
それは、ある意味自己満足なんだと思います。場合の数マニアな自分だからこそ触れられている意図なんだと、思い込みたいだけなのかもしれません(笑) 出題者の意図がどうだったのかは本人に聞いてみないと実際には分かりませんし、先ほどの成基学園さんの解説の方が出題者の意図に近い可能性もあります。しかしそこには見られない、問題の『気の流れ』みたいなものを感じられるのは、場合の数に対する愛情があるからこそ見える、確かなものなのかなと思っています。
だからこそ自分の中だけで、自己満足として、心の中にしまっておきたい気持ちも強くあるのですが、周囲の反応はどんなものかなという興味もあって、この問題の解説動画、作ってみました。
こういうの一つ作るのに普通に4時間ぐらいかかるんで、皆さんにとって有益なものでないなら何やってんだって話(笑)なんですが、まぁ趣味の範疇ということで。すべて自己満足です(笑)
ただ、中には小学生にせよ保護者の方にせよ算数を教える立場の方にせよ、特定の方に対して何かしらのインプレッションをお贈りすることはできると思うので、誰かにこの気持ち、届けば良いな~と思いながら、この動画アップさせていただきました。
今日のお話は、ただただ私の自己満足にお付き合いいただく内容に終始したように思います。ここまで読んで頂いた方、ありがとうございました。
最後に、一部の方のご指摘にありました、拙著『算数の基礎121テーマ』が楽天とAmazonで在庫切れになっているということでしたが、
楽天では在庫復活、購入可能になっております。算数の基礎基盤強化、確認のため1冊お手元に置いておいて頂いて損はない内容になっていると思います。すべての中学受験生のバイブル書としてぜひご活用ください。
コロナによる自粛期間もまだまだ続きそうですね。
皆さん、お体ご自愛ください。
■■算数ソムリエ■■