海のほとりでヘッセ『シッダールタ』を読みまして、時間が止まる龍宮城へ | 山里リトリートねこ福 ✢✢ 時間が止まる龍宮城へようこそ ✢✢ 大阪高槻 神峰山の郷

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ヨガ先生のご自宅の本棚で見つけた本を読んでみました。

 

ヘッセ『シッダールタ』

ヘッセ著「シッダールタ」の書影

 

ヘッセの何を知ってる訳ではなかったけど「ヘッセと釈迦」というのが意外で、どんなふうに語られるのかが気になりました。

 

 

シッタールダといえば釈迦の名前。だけど、この話では別人で、釈迦と同時代を生きたもう一人の求道者。

釈迦の説法を聴くも決別し、独自に探究の道を進む物語でした。

 

いやぁ、めちゃくちゃおもしろかった。

 

 

主人公には敬愛しつき慕ってくれる親友がいたのだけど、彼のことを「ぼくの影」と形容した。道をたがえて釈迦に帰依することになった彼を「釈迦の影」と呼んだ。

 

そうなのよ、誰かに教えを乞い続ける限り影の存在であり続ける。俗だと…金魚のフンってとこか

 

「自分で気づく」ことでのみ辿り着ける境地があると、この小説は主張している。

 

 

時に苦行に身を置くことも、世俗にまみれて欲を満たすことも、真我に至るに必要な経験。

 

重要なのは、その場で自分がどう感じているか、そもそも辿り着きたかった境地に近づける手段になってるのかを自問し続けること。

 

悟りに至る道筋は人の数だけ用意されてる。誰かの言葉を聴いて到達できるものではない。

 

そのようなメッセージを受け取りました。

 

 

 

自宅では読書時間を確保するのが難しい。

 

先日、温泉宿でオーシャンビューの部屋が取れたので、話に浸ると決めてこの本を持っていきました。

 

ヘッセ『シッダールタ』と海を望む部屋

ビール飲みながらとかバチ当たるやろか…、いやいや欲を解放してこそということに

 

 

主人公シッタールタは後半生を川のほとりで暮らし、川から多くのことを学び悟りを開きます。

 

「時は存在しない」という概念を、川を見つめていると納得できたといいます。

 

川はどこでも同時に存在する。水源においても河口においても(略)

川は現在があるのみで、過去の影も未来の影もない

川はこんこんと流れ、常にそこにある。大昔から同じでありながら、どの瞬間も新しい!

苦しむのも、恐れるのも、すべて時間に起因する

時間を克服し、時間を考えずにすめば、この世にあるどんな困難も、いかなる障害もなくなり、解決するのではなかろうか?

 

こうして書き写すと、再び『へ?』となりそうですが、言葉にすると別のものになってしまうということも別の箇所で書かれてました。

 

だからこそ、川の一部である海の傍でこの本を読み切れたのは、なんともいえないニュアンスで説得感がもたらされ超ラッキーでした。

 


オーシャンビューの宿と海

 

読みながらも、読み終えてからも、静かで無限に広がる余韻が続いていて、とても心地よいです。

 

ちょうど眼下に広がっていた膨大な水を湛える内海が、それを視覚化してくれてました。

 

 

 

釈迦にせよキリストにせよ、世に流布する教えを聞くより、こうしたそもそも論に立ち返る始祖の話のほうがスーッと馴染みやすい。

 

映画『リトル ブッダ』や宮本輝のインド紀行を観た後と同じ清々しさに浸っております。

 

 

 

 

訳本はたくさんあるようだけど、光文社 酒寄進一訳がオススメかも。

 

注釈が絶妙で、インド哲学(ヨガ)の入門者でも読み進められるようにさらりと解説が付されてる。

 

しおりには登場人物の紹介が。これがあると、この人誰?っと何度も頁を戻る必要もなし。

 

心遣いが憎すぎる。出版もここまで顧客寄りの工夫をする時代なんですね…

 

ヘッセ『シッダールタ』と手書きノート

 

いくら名作でも日本語訳で響きはまったく変わってしまう。

あとがきに訳者の苦労談が披露されてるのだけど、こだわりが凄い。

 

心を砕いて綴られた文章、現代人がつっかえなく読めて、原文の本質に集中できます。

 

 

 

そういえば、

 

超能力←見えるとか気を扱うとかをもってることと悟りが開けていることは全くの別物だということも、文面から確認できました。

 

ほんとそうだよね。混同しがちだけど、気をつけるべき重要ポイントだなと。