7月30日のホスピス音楽ボランティアで、私は偶然、母校の先輩に会った。
いつも通り私がピアノ演奏や弾き語りをしている広間。
その片隅に一人、車椅子に座って窓から外を眺めている女性がいた。
とても小柄な女性で、年齢は私より二回り以上上なようだった。
「こんにちは。綺麗な景色ですね」
私が笑顔で話しかけると、彼女はこちらを向いて頷いてくれた。
そこから話がはずんで、話していくうちに、彼女が中高の母校(札幌)の先輩だと分かった。
彼女も「こんな所で○○の子(母校の名前)に会えると思わなかった」
と喜んでいた。
彼女は末期ガンだったけれど、後輩の私に色んな事を教えてくれた。
「たくさん恋をしたらいい。
幸せはいつも自分の心が決める。
私は今、ガンも末期だけど、幸せだよ。
愛されてない人はいない」
中高の校歌、覚えていますか?
と聞くと、覚えてないと言うので、ピアノで前奏から入って一緒に校歌を歌った。
普通の人生を三周するぐらいの一生を送ってきたのだという。
苦しい経験からたくさんのことを学んだ、
つらい経験からしか学べないこともある、と言っていた。
「幸せはいつも自分の心が決める」
彼女が言ったそのセリフは、詩人の相田みつをさんの言葉で、
今までいろんな人から耳にした言葉だった。
でも、末期ガンの彼女から聞いた時ほど説得力があった瞬間はなかった。
お金、健康、容姿、どんなに恵まれた環境にあったとしても、
本人が幸せじゃないと思えば幸せではないのだろう。
でも彼女のように、
例えどんな状況であったとしても、自分が自分の人生に、責任を持って生きていこうと決めて、
自分で自分の中を愛で満たしていれば、
私たちはどんな時でも自分を幸せだと思えるのではないだろうか。
私たちが人生における全ての選択、および行動に、
積極的に関わっていけば、
自信を持てるようになり、どんな状況でもどんな瞬間でも幸せでいられるのかもしれない。
そして、失ったものではなく、恵みを数える。
札幌から遠く離れたこの地で母校の先輩と過ごした時間、
忘れられない時間だった。