⇒前回の話
クス男が握っていたかるたには、
ダイイングメッセージが記されていた。
11+1〒T
みんなでこの意味について必死に考えたが、
解読できた者はいなかった。
「ダイイングメッセージのことはいったん置いおいて、まずは婚活かるたの謎について考えてみませんか?」
M田が提案する。
「そうね。もういちど、3人が手にしていたかるたについておさらいしてみましょう」
莉多子は、3人が持っていたかるたの読み札を並べてみた。
ハブが持っていたのは「し」の取り札。
信じるな!イケメンの甘い言葉
貴子が持っていたのは「ね」の取り札。
年賀状にもやっとする
クス男が持っていたのは「う」の取り札。
うそっ、あいつ既婚者だったの!?
「確かにハブはイケメンだし、クス男には既婚者疑惑があります。しかし、貴子さんの年賀状の意味がわからないですなぁ」
首をかしげるM田。
「そうですね。私と違って貴子に年賀状を出す習慣はなかったし、今まで年賀状のトラブルは聞いたことがないです」と、和歌子。
「年賀状といえば・・・和歌子さん、合宿中に年賀状の撮影会する!って張りきっていたわよね」
莉多子の問いかけに悲しそうな顔をする和歌子。
「ええ。せっかくヒマダナ山脈に来たから年賀状用の写真を撮りたかったんです。でも、こんな事件が起こってしまったので・・・もう、撮影どころじゃないです」
「そうよね・・・。みんな合宿を楽しみにしていたのに、まさかこんな事件に巻き込まれるなんて・・・。主催者として、責任を感じちゃうわ」
うなだれる莉多子。
M田は、3つのかるたをジッと見つめていた。
「私は当初、二つのかるたの頭文字で『しね』という意味だと思っていたんです。しかし、新たに『う』のかるたが出てくるとは。し、ね、う。う、し、ね。・・・ね、う、し。あっ、もしかして、干支を表しているのではないでしょうか?」
突如、閃いたM田に、驚く参加者たち。
「干支!?」
「ええ。貴子さんの年賀状の札は、かるたの頭文字を繋げると干支になることを示唆していたのかもしれません」
「なるほど、カモさん、冴えているわね。ねうしは、子丑のことかしら?」
「おそらく。ちなみに、みなさんの干支は何ですか?実は私、丑年なんです・・・」
M田がおずおずとカミングアウトする。
「私は午年生まれよ」と、莉多子。
「私は申年です」と、和歌子。
「私は戌年よ」と、翔子。
「私は亥年です」と、加山。
「私以外に該当する人はいなそうですね。あっ、ちか子さんは?」
「ごめんなさい。私、海外育ちなので干支がよくわからなくて・・・」
「そうなのですね。今、ちょっと調べますね!」
スマホを取り出すM田。
「ちか子さんは今年27歳だから、戌年ではないでしょうか?」
「あっ、そうなのね。翔子さんと同じ干支ね♪」
「あら、私とひと回りも離れているようには見えないわね」
一瞬、二人の間に火花が散ったように見えた。
「ついでに、亡くなった方たちの干支も見てみましょう。貴子さんは和歌子さんと同じ申年ですね。ハブは丑年、クス男は酉年ですね」
「ということは、ハブとカモさんが丑年で、子年は誰もいないってことね。なんだか複雑すぎてよくわからなくなってきたわ…。さすがに干支は関係ないんじゃないの?」
頭を抱える莉多子。
「確かに、我々がどんどん事件を複雑に考えているのかもしれません。事件の本質はもっと単純でシンプルなのかもしれないですね・・・」
M田はクス男のダイイングメッセージを手帳に書き写した。
その際に、あることに気づいた。
クス男が書き残したのは、記号ではなかったことに。
瀕死の状態で、咄嗟に暗号なんて考えられるはずもない。
クス男は、シンプルに犯人の名前を書き残したのだ。
「みなさん。たった今、クス男さんのダイイングメッセージを解読しました。私、犯人が誰だかわかりました!」
M田は興奮して叫んだ。
⇒続き
