⇒前回の話
クス男が死んだ。
昨日の事件は貴子が起こした無理心中ではなかったのか。
真犯人はクス男だったのか?
いや、もしかすると他に真犯人がいるかもしれない。
真犯人は、合宿参加者の中にいる!?
M田はふと翔子を見た。
視線が合いそうになって、慌てて逸らす。
合宿の参加者たちは、暗い表情でラウンジに集まっていた。
莉多子は婚活かるたの読み札を調べていた。
「クス男さんが握っていたのは、『う』の札よね・・・」
『う』の読み札を見つけると、
クス男が握っていた取り札と一緒にテーブルに並べた。
うそっ、あいつ既婚者だったの!?
「えっ、クス男さんって既婚者だったんですか・・・?」
和歌子が莉多子を問い詰める。
「えっと・・・一応本人は独身だと言ってたけど・・・」
和歌子の剣幕に圧倒され、慌てふためく莉多子。
「私は莉多子さんのブログを最初から読んでいたから知ってますが、莉多子さんも過去にクス男さんのことを既婚者なんじゃないかって疑ってましたよね。私は今回の合宿にハブさんとクス男さんが参加しているのが疑問だったんです。ハブさんは貴子さんに頼まれて招待したという事情は理解できました。しかし、クス男さんまで呼んだ理由がわからない」
M田も莉多子に疑問をぶつける。
「えっと、それは・・・」
莉多子は困ったように翔子を見やった。
「それは、私が莉多子さんにクス男さんを呼んでほしいとお願いしたからよ」
翔子が平然と言い放った。
「えっ、なぜです?」
「だって私、クス男さんからLINEをブロックされていて、連絡が取れなかったの。私はどうしてもクス男さんに会いたかった。だから、莉多子さんにクス男さんを呼んで欲しいとお願いしたのよ」
「それで、あんたも貴子みたいにクス男を恨んで殺したんじゃないのか?今回の事件に便乗してやったのか?」
加山が翔子に詰め寄った。
「やめてよ。私はただ、クス男さんのことが忘れられなかっただけ。やり直したかっただけよ」
「莉多子さん、クス男さんは合宿に翔子さんが来ることは知らなかったのですか?」
「ええ。クス男さんには、ただ『美女が参加する』としか言ってなかったわ。他に誰が参加するか聞かれなかったし。カモさんは他の参加者が気になるようだったから、事前に参加者リストをお送りしたけど、他の参加者には送らなかったわ」
「あ、私も美女が来るからって言われて参加しました」と、加山。
「そうなんですね。クス男さんは翔子さんが参加しているのを見て、さぞかし驚いたことでしょう。仲人として、このやり方はモラルに反しているのではないですか?」
莉多子に、正論をぶつけるM田。
「でも、理由も明かさず突然ブロックするのは相手に失礼だと思わない?私はいつだって、婚活アラフォー女子の味方なのよ」
「もう、そんなことはどうだっていいわ。それよりも、なぜクス男さんが死んだのか考えないと」と、翔子。
「さっき翔子さんが言ってたように、クス男さんが真犯人で、みんなにバレる前に自殺したのよ、きっと。私はもうこれ以上、被害者が出てほしくないもの……」
そう願う莉多子に、思わず反論するM田。
「でも……クス男さんみたいなタイプが自殺しますかね」
M田はクス男が持っていたかるたの取り札を無意識のうちに手に取り、ひっくり返していた。
「あれ?かるたの裏に何かひっかき傷みたいなのがあります」
見ると、線のような傷がいくつもついていた。
「これはきっと、部屋の鍵を使って札をひっかいたのね」と翔子。
「もしかしたら、ダイイングメッセージかもしれません!」
M田は目を凝らして、かるたの札のひっかき傷を読み取った。
11+1〒T
「数字と記号の羅列みたいですね。意味がわかりません…」
「もしかしたら、暗号かもしれないわね!誰か解ける人いない?」
全員、首をかしげた。
⇒続き
