事故から生還し、「これからは自分のために生きる」と決めた私。
けれど、長年纏い続けた「モノトーンの鎧」を脱ぐのは、そう簡単ではありませんでした。
そんなある日、運命の出会いが訪れます。
当時、私は趣味で「がま口の鞄」を作っていました。
その鞄に添える何かいいアイテムはないかと模索していた時、
友人から「フェイクスイーツ」の存在を教えられたのです。
目の前に現れたのは、まるで本物の小さなスイーツたち。
「これが、粘土でできているの……?」
衝撃でした。色のなかった私の視界に、
初めて鮮やかな色彩が飛び込んできた瞬間でした。
「楽しいから、一緒に作ってみない?」
友人のその誘いに、私は夢中で応えました。
鞄の飾りにするという本来の目的も忘れ、
ただひたすらに、粘土をこね、形を作り、色を乗せる。
それまでは
「いい年をして可愛いなんて思われたら……」
「私には似合わない」
と、心の奥に閉じ込めていた叫びが、甘いお菓子の形を借りて溢れ出していくようでした。
二人で教室に通い、技術を磨く中で、私はようやく自分に許可を出すことができたのです。
「私も、可愛いものを可愛いと言っていいんだ」
生きていなければ、この温かい感触に出会うことも、
自分の心を認めてあげることもできなかった。
もちろん、最初は恥ずかしくて、作品を販売する時は
友人に影武者を頼むほど臆病だったけれど(笑)
それでも、一滴のクリーム色がモノトーンに混ざり、
私の世界は少しずつ、確実に輝きを帯びていったのです。
(続きます。)



