最近は、おもちゃ病院で古いラジコン修理を預かることが多くなりました。
前回は60年前の学研のラジコンの修理を頼まれました。
で、またまたです(笑)
今回は近隣自治体でのおもちゃ病院で、例のベテランドクターから今度は40年前のラジコン
修理を依頼されました。
ほぼほぼ修理は終わったのだが、電源ONで送信機からの信号がなくても、車輪が回ったり、
操舵が右に切れたり、左に切れたりするとのことです。
外部電源を接続して、現状の動作確認をします。
ボディは外して、シャーシだけ裸で預かったので、いろいろと壊す心配はないですね。
4輪駆動なんです
送信機は40MHz帯とのことです。送信周波数は40.68MHzと裏に書いてました。
前回の60年前の1CHラジコンと違い、今度は複数CHの出力ができるようですね。
でも、左右の操舵については、前進・後進の信号が入っている時しか有効にならないゲナです。
なんででしょうかね? 昔のラジコン、今のラジコンに比べて縛りが多いですね。
電池も単三 6本も必要です 🤣😂
さて、受信側の基板を見ていきましょう。
先輩が作った部品配置図をみると、
真ん中に東芝のラジコン用のTA7657PというICが鎮座しています。
左下はコイルがあるので、超再生受信回路ですね。
上側はモータを前進/後進で駆動するためのHブリッジ回路ですね。
右下はよくわかりませんが、駆動制御回路でしょう。
(あとで3CHの受信ICで前進/後進を切り替えるための位相検知回路と分かりました)
受信回路はいつもの超再生回路ですが、今回はゲルマオランジスタではなく2SC380とれっきと
したシリコントランジスタを使っていました。
まず、受信回路の動作をオシロで見てみましょう。
古いラジコンは、同調周波数がズレていることが多いです。
CH1は超再生のクエンチ出力。回路図のコレクタにプローブをつないで測定します。
本当はアンテナかベースのところで測定したほうが、プローブの影響が少なくていいかもです。
CH2は、超再生受信回路の信号出力です。TA7667Pの信号入力 2ピンに接続されてます。
クエンチの周波数を拡大してみてみます。オシロの周波数測定機能で発振周波数を合わせます。
当初は38MHzくらいだったので、コイルのコアを回して40MHzに合わせました。
パラフィンで固められていたとのことで、ブロアーで少し温めるとコアが動かしやすく
なりました。
基板の裏面はこちら
この基板の回路を解析するとなると、気が重くなりますね。
なんか現代のラジコン基板に比べると、いっぱい詰まってます。
水戸黄門の主題歌を歌いながら(笑)、回路図をトレースしました。
手書きで見にくくてすみません。超再生回路は、一般的なものだったので助かりました。
次にTA7657Pのデータシートを見てみましょう。

電源電圧は9V、超再生受信回路にLDOで5Vを供給し、受信回路の出力を2ピンに入力し
アンプと積分回路で波形を成形し、3CHのON/OFF動作を行うアナログICのようです。
ラジコンの操作モードと応用回路はこちらです。
送信側はTA7333PというアナログICあり、これとペアで使うようです。
無信号のときは、どのCHもONしない仕様ですが、どうもノイズが入って誤動作するようです。
アンテナを触っただけで、車輪が回ります。
まず現物の基板の動作をオシロで確認します。
送信機の前進を押した状態です。
CH1はTA7657P ラジコン受信ICの2P 信号入力です。
CH2はTA7657P の9、10、11PのCH出力のうち、前後進を制御する11Pの出力をみます。
CH3はTA7657P の左操舵を制御する10Pの出力に接続します。
CH4はTA7657P の右操舵を制御する9Pの出力に接続します。

2mSくらいの周期の50%デューティのパルスが2Pに入力されていますね。
11Pの出力が”L"になって車輪が前進で回りました。
次に送信機の後進を押した状態です。
今度は0.8mSくらいの短い周期の50%デューティのパルスが2Pに入力されました。

前と同様に11Pの出力が”L"になって、今度は車輪が後進で回りました。
11Pの出力と、この信号の周期を見て、前進/後進と切り替える回路があるようです。
今度は送信機の左右のレバーを左に押します。同時に前進/後進を押さないと動作しません。
今度は0.8mSくらいの短い周期の”H"が20%デューティのパルスが2Pに入力されました。

今度は10Pの信号が”L"になって、今度は回転すると同時に車輪が左に動きました。
最後に前進と同時に、送信機の左右のレバーを右に押します。
今度は2mSくらいの周期で”H"が80%デューティのパルスが出ています。
今度は9Pの信号が”L"になって、今度は回転すると同時に車輪が右に動きました。
TA7657Pのデータシートを見ると、デューティの違いで検出しているようです。
H周期が80%のとき、9P(右操舵)がON、50%のとき11P(前後進)がON、20%のとき
10P(左操舵)がONするようです。周期が2mS、0.8mSに変わるのは前新/後進を制御する
のためのようです。
3CHしかないので、前後進は基板上に周期検出回路があって、制御しているようです。
ICと制御回路はちゃんと動作しているようですね。
あとは、超再生回路のノイズで誤動作しているとの見立てを立てました。
入力信号がないときに、前進/後進が動いてしまうようです。
いろいろと見てみると、どうも検出するパルスはTA7657Pの5ピン、積分出力にでていました。
オシロのCH4につないでみてみましょう。
2mS周期の50%デューティで信号が出ています。
0.8mS周期の50%デューティで信号が出ています。
ノイズのような信号が5ピンにでていますね。これが誤検知の原因になっているようです。
もとのラジコン受信回路の超再生のノイズが原因で、簡単に取り除けそうにありません。
発振レベルを抑えるしかなさそうです。
どうしようか?と悩みながらトレースしていた回路図を見て、「超再生回路のベース電圧を
調整する半固定ボリュームがある!」と気づきました。
前にマスタングの回路を見たときに、ここは50kΩの半固定が付いていました。
今回は6.8kΩの固定抵抗が実装されてますが、基板上のシルクには半固定抵抗のマークがつ
いてます。
ベース電圧は、もとの回路では4.7kΩと6.8kΩで分圧されていたので、5x4.7/11.5=2Vです。
これで約1.5V~5Vまで可変できます。
もとのクエンチ波形です。8uS周期(120kHz)で間欠発振しています。
CH1がトランジスタのコレクタ波形、CH2がIC 2ピンの入力、CH3がIC 11ピン(前後進)出力です。無信号時の入力のノイズが大きいので、11ピンが”L”に誤動作しています。
半固定VRでバイアス電圧を下げていくと、発振とノイズの振幅が下がってクエンチ周期も変化
していきます。
誤動作しなくなったバイアス電圧レベルです。クエンチ周期は5..8uS(170kHz)に短くなりました。
CH1、CH2ともに振幅が小さくなって、CH3も”H"で誤動作しなくなりました。このままレベルを下げると発振停止します。
これで、今回のラジコン修理もファイナルアンサー! となったのでしょうか?
このおもちゃを委託したベテランドクターさんに返して、修理結果を評価してもらいましょう!
今回も前回同様にメチャ苦労したが、直ってよかった!!
古いラジコンの修理をされる皆さんの参考になれば、幸いです。
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