結婚相談所から申し込んだ11歳歳上の力石徹に似た方と結婚前提のお付き合いとなり、5回目のデートでキスでもしようかと言われる。
それはまだ少し早いので、心の準備も必要であるし、まずは抱擁でも致そうでは無いかと、
私はそう言って力石の方に身を乗り出した。
相談所入会時には、
お触り禁止と言われて判を押し合意した筈であるのに、己に自信があるのかまだ男でいたい男子は、どうも恋愛というステージで舞いたがる。
私の出逢う層がそんな男ばかりであるなら、男が舞っておるうちにそっと結婚の舞台に誘導して行くしかない、しかし一体どうやって。
そのような男をダメだ無駄だと切り捨てていたら、私の希望する結婚は一切遠のくので、1つずつ打開策を探って行くしか無いだろう。
補欠では無くもうコートに出ておるのだ、良い球だけを打てば良いのはルーキーだけ、どんな球も拾いに行けとコーチだって言うだろう。
そうで無ければベンチに逆戻りでは無いか。
それで力石にググッと近付いてみた。
それで分かったがこの男、体温はひどく上昇し顔を強ばらせて異様に緊張しておるでは無いか。
サラッと、キスでもしようかなどと言う割に、男子など実は緊張でこっそり震えておるものなのかも知れぬ。
力石の両肩に手を回し、顔を傾げて近付くと、力石の心臓は小動物のようにトクトクしており、何だか可愛いなと思う。
彼に回した腕をギュッとすると、その体は熱くまるで蒸発しそうだ。
これはしていいの?と、力石はゆっくりと私の背中に手を回して、まるで介抱するかのようにさする。
そして、彼は緊張しながらも、
キスもしとく?と言うから黙って離れる。
調子に乗らせる気は無い。