断絶 |      生きる稽古 死ぬ稽古

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ー毎日が おけいこ日和ー
        

うちの母親は居酒屋をやっておりまして、

私は小学生の頃から、そのお店を手伝っているので、

<飲み屋のネエチャン>キャリアは長いのでありますニコニコ

母の店は、いつ頃からか有線放送をひいていて、

いくつかチャンネルはあったようなんだけれども、

うちの店では歌謡曲のチャンネルに合わせて、

それをずっと流していた。

なので私は店にいる間、

歌謡曲をたくさんききながらいたわけだけれど、

ただきいていたというだけで、

その歌は誰が歌っていて、

何と歌なのか?ということなのかはまったく知らなかったのだった。

その頃の私は、有線放送のおかげで、

テレビで見るよりも少し早く、

ヒット曲を知ることができていたが、

そんな中で、

井上陽水の「断絶」は、一つの事件だった。

有線放送というのは、お客さんが電話をして

「この曲をかけてください」

というリクエストによって、流れる頻度が決定していた。

当時、「断絶」が流れるその頻度たるや、半端なものではなかったのだ。

その当時は、いったいどこの誰が歌っているのかわからない

得体の知れないこの歌が、

ともかくひっきりなしにかかっていた。

<何かが起こっている>っていう、そういう事件みたいな感じだった。

陽水の数あるヒット曲の中から、

あえてこの曲を選んだのは、

とんでもないヒット曲がうまれる瞬間の、

(あの事件はいったい何だったんだ?)

という気持ちによる。

その「断絶」を、

今の私はいったい、どんはふうにとらえるんだろう?



断絶
夜中にデイトした 近くの公園で
たしかめあっていた おまえと俺の愛
突然あらわれた おまえのオヤジが
「私の娘は嫁入り前です
近所でおかしな 噂が立ちます」といった

お前のオヤジには わかってもらえない
どこかへ逃げようと 相談していたら
またまたあらわれた おまえのオヤジが
「かけおち 家出は 絶対いけない
なぜなら 娘はまだまだ子供だ」といった

なんだか俺達が とっても悪い事
している様に見た つめたい顔で見た
どうして悪いのだ 愛している事が
いつでもそばに居て 愛している事が



これは若い男と、その男の彼女のおとうさんとの

間の「断絶」を歌った歌だ。

それまでの歌謡曲は、

まぁそのほとんどが男女の恋愛だったから、

若い男と、その彼女のおとうさんとの考え方の違いを歌にするなん

珍しいといえば珍しい。

でもね、何十年ぶりかで、この歌詞を読んで、

あれ? 論点がズレてない?

って、感じてしまったのだ。

この俺っていう男は、

(自分たちの愛情をわかってくれない)

って怒ったり嘆いたりしているんだけど、

一方のおとうさんは、

(子供なんだから家出なんかしちゃダメだよ)

って、言っている。

愛情を不純だとか、まがいもんだとか、

言ってるわけではないのだ。

ズレてないですか?

問題点は、愛情についてなのか?

若い娘の身の安全を心配するところなのか?

両者の話は食い違ってないですか?

今、改めて歌詞を読んでみると、

そんなところが気になってしまいました。

それから<つめたい顔で見た>っていうフレーズですが、

これね、思い込みである場合が多いのだよね。

その通りだったかもしれないし、

まったくの勘違いかもしれない。

この歌がヒットしている頃には、

そういうことは考えなかったけれどもね、

なんだかそんなところも気になりました。

それとね、私が隔世の感あり!!って痛感したのは、

近所でおかしな 噂が立ちます

というフレーズです。

田舎と都会とは違うだろうし、

家庭や環境によっても違うけれども、

この歌が世に出た1972年当時では、

近所でおかしな 噂が立ちました、たしかに(笑)

私の住んでたような保守的な田舎では、

まだまだ夜中に若い男女がデイトしていたら、

おかしな噂はたってました。

でね、今はどうなんでしょうか?

今はおかしな噂が立たないのだとしたら、

それこそが70年代と現代との

「断絶」なんじゃないかと思ったのでした。

それからね、もし自分が親だったら、

それが30年前だろうと、今だろうと、

とりあえず危ないよ

とは言うわねぇニコニコ

物騒な事件が多発していますからね。

そうしてね、もう一度考えたけれど、

昔だって、今だって、

親は子供に

「駆け落ちや家出は、しちゃダメ」

って言うだろうね合格

<若い俺>は、いったい何を断絶だと感じていたんだろうか?

自分の純粋さを踏みにじられたと思ったのかな?

いちいちウルセエ!と思ったのかな?

自分が同性として見下されたと思ったのかな?

青春真っ盛り、いろんなことが想像できるね。

理屈だけだと、圧倒的に分が悪いけれのだけれど、

グイ~~~ンと自分の年齢を当時に引き戻してみたならば、

わかってもらえない

っていう、漠然とした大人に対する不信感のようなものは、

たしかにあったわ。うん、あった、あったニコニコ

世の中のオトナたち、言ってることは間違ってないけど、

それ、すごく狭い世界からの発信デスヨネ

それ、自分の立ち位置からだけの見方デスヨネ

こっちからは、あなたの全身が見えますけれど、

あなたからこっちを見ようとしてないデスヨネ

みたいな気持ちがあったわ。うん、あった、あったニコニコ

フハハ、おもしろいねぇ。

こうやって、何十年もたってから、

もう一度、歌謡曲のことを考えてみると、

見えなかったものが見えてきたりするんだね。

陽水といえば、

この「断絶」は欠かせないので、この1曲にしましたが、

もっと好きな歌は他にある。

このシリーズが続くようなら、

その時に、またねニコニコ