うつ病と診断される少し前
----風邪か花粉症かわからない時期----
花粉症のわたしは内科の個人クリニックへ行った。
当時、離婚が成立したから、
頑張って稼がなきゃ!
と、忙しい業界の忙しい職種で働き始めてた。
内科は中年のぽわんとしたおじさんドクターで
いろいろと緩さを感じさせる人だった。
たとえば
会社なんかテキトーに休んじゃえば?
とか
社長もいる会議に出てるの?いやだねー(笑)
などと笑いながら言う。
風貌も、丸顔で小太り。
忙しいのが苦手だと言ってた。
振り返ってみれば、テキトーに休んじゃえば?なんて
たいしたこと言ってないよね。
普通。
でも当時のわたしは
えー?無理無理。休んでられないですよー
と答えてた。
そんな緩めのドクターの一言が
うつ病の早期発見につながったと思う。
ドクターは仕事の忙しさを聞いた。
何時まで会社にいるの?
→23時~24時
電車で帰れるの?家に着くのは何時?
→電車で帰れるのは途中までで、
そこからタクシーを待たなきゃいけないから、
2時から3時
寝るのは?
→お風呂に入ったら4時になる
出勤は?
→10時始業で、8時前に家を出る
昼ごはんを食べる時間はある?
→13時ごろ
誰と食べるの?
→上司と仕事の話をしながら
晩ごはんは?何時?誰と食べるの?
→上司と仕事の話をしながら
子どもは?
→いっしょに住んでる父と母がみてくれてる
わー、見事な頑張る教じゃん(笑)
わたしはマルチタイプのいわゆる前者で
なんでもそこそこできる。
ただ、体力がないから、あとは気力でカバーするしかない。
前任者は、誰もが一目置くほどものすごく
仕事ができる人だったとかで、
上司から露骨に言葉でプレッシャーをかけられていた。
内科のドクターが言った。
「うちのクリニックのそばにAとかBとか、大きな会社があるの。
知ってる? そこの若い人がたくさん来るんだ。
あなたみたいな働き方してる人もいるけど、
若くてもうつ病になっちゃう人がいっぱいいるんだよ」
その時わたしは、自分がうつ病なんかになるはずがないと、
心底思ってた。
「え、うつ病って忙しくてもなるんですか?」
「なるよー」
わたし能天気だもん。なるはずがない、ほんと。
そう思ってた。
「わたしがなるはずないですよお」
「そうだといいね。
とにかくちゃんと寝るんだよ。
ちゃんと休むんだよ。無理はダメだよ」
だから、朝起き上がれない日が続いたとき、
うつ病かもしれない……きっとうつ病なんだ
と、ぼんやりと浮かんだんだ。
病院へ行こうと決めたとき、真っ先に心療内科を探したんだ。
しらみつぶしに心療内科をあたったけど、
どこも数週間から2ヶ月待ちと言う。
そんなに待てるなら病院行かなくて済むじゃん。
なんとか当日診てくれるところを見つけ
父親にクルマで連れてってもらった。
その心療内科は、山奥に入院病棟を持つ
本格的な精神病院の駅前クリニックだった。
うすうすうつ病だろうと思っていても、
心療内科へ行くのは気が重かった。
まず、父親。「心療内科!?」と驚いていたし、
ショックを受けているように見えたのだ。