おぐの細道 その1 気仙沼 福よし | おぐりん呑み旅 ひとり旅

おぐりん呑み旅 ひとり旅

一人旅…。
それは 大切な時間
切符を持って 列車に乗れば
昨日までの
自分はちょっとお休み…
そう 私は旅人…
素敵な出会いを求めて…。


春立てる霞の空に、白河の関越えんと、そぞろ神の物につきて心を狂はせ、道祖神の招きにあひて取るもの手につかず…(奥の細道よりコピペ)

突然ですが
新幹線は揺れなくて良いですよね!
最後に取っておいた
とびきりの
お菜を掴んだ箸が 
大きく開けた
口の周りを 決して
彼方此方 踊ったりしません!
と言うことで
トンネルばかりで
車窓は 横目で ニタニタと微笑む
私を映すばかりですが…
安心して
弁当パクつき
スマホちょこっと弄りながら
1時間ちょっとで
私 ビュッと 
いつの間にか
白河の関を越えてしまいました…。

拝啓 松尾芭蕉様
此れが現代の
お気楽旅人の姿…
此れでは
道中 立ち止まり 空を見上げて
快心の一句も捻り出せませんね
どうも申し訳ございません…。

其れでも
旅立ちに当たって
心そわそわ
弾む気持ちは
今も昔も
偉人も凡人も
変わりないのですよ!

と言う事で
相変わらずのお気楽一人旅
今回は
白河以北への
オグの細道と参ります!

飯食っている間に
日本の鉄道技術の恩恵を受けて
時速約300キロで
東北をグングンと
北上している私…
膨れた腹抱えて早速
睡魔が襲って来ましたが
高速移動ですから
眠る間も無く
岩手県 一ノ関駅にて
新幹線やまびこを降車
早足で 
大船渡線に
そそくさと 乗り換えます

{0952B327-B98F-49F7-AD08-6CAF894A975F}

心地よい新幹線のシートから
ローカル線の硬くなった座席に変わり
車内のアナウンスが
聴きなれない駅名を告げます

後ろにゆっくりと
流れて行く
車窓は
人工物が少なくなった風景
其れを ぼんやり見ていると
旅心がじわじわと溢れて来るのですよ 

うーん 此れこそ
頑張ったご褒美ですね
はい!確認します!
今 一番幸せな時間を刻んでいるのですね …私‼︎

{579B459B-F0F5-4FE5-A18C-A03C391D0563}

東京から約4時間
ドアが開き
初めての街へ
足を踏み入れる瞬間

Tシャツの袖を微かに揺らしながら
通り過ぎる
少し冷ややかな
爽やかな風
どこか樹々の匂いのする
優しい雨…
数時間前には
感じられなかった
明らかに 新鮮な 空気です!
これぞ
乗り物に乗って
ピュンと旅をして来た
実感が湧いてくる瞬間ですね!
松尾芭蕉さん
高速移動も良いものなのですよ!

と…旅の始まり
自ら ジワジワと
テンション上げ捲った所で
17時38分
宮城県気仙沼駅到着。

列車を降りれば
いつしか 私も松尾芭蕉
初めての街では
兎に角 歩きたくなるのです
と言う事で
気仙沼港近くに有る
今夜の宿まで  
小一時間程 ぷらぷらと…

目に映る風景 
風に乗って耳に届く音 
鼻腔を抜ける 街の匂い
前を歩く老人に歩調を合わせ
ゆっくりと 
其れ等を
五感に 刻んで行きましょう

そして
いつしか陽は暮れて…

{2B9BD0EF-64B3-4661-8046-1FB1ECAABD09}

辺りは真っ暗闇でございます。
えっ?
旅の一日目のブログ
此の夜景で終わりですかって?

もう〜
時刻は午後7時ですよ
気仙沼に
この時間を狙って
何しに来たと思っているのですか!
私の事ですよ
あれじゃ無いですか!あれ…ゴクリ。
という訳で
チェックインをそそくさと済ませ
向かいましたよ
真っ暗闇の中
良い感じで
待っている
私を誘う灯を求めて…

{4B703A5C-8078-40C3-8D6F-654655E924CE}

漁場料理 焼き魚
福よし

告白します
私 昂ぶっております
そして 何故か
お初のお店での一人飲み
その緊張感が
久し振りに蘇って
来るではないですか
おかげで
お店の周りを そわそわと
3周程周ってしまいました…。

実は 此のお店
魚好きの知り合いから聴いて
10数年…
訪れる事を楽しみにしていた店なのです

{A3044308-6D1A-4638-90BF-BDF00B06981B}

凛と降ろされた
暖簾の前
静かな 暗闇に
少し抑えた様な
上品な 笑い声が
届きます
堪らなく
彼方側に 誘われる様に
今宵の酒の席へ……。

{2945A81C-4C96-4B54-ABA9-BCB2DF6902D9}

囲炉裏端を囲む
カウンターに 
私の席が作られて居ました

{7B32F00D-E6C3-4440-B271-B32422EF9185}

魚は好きか?
刺身は好きか?
採れたての魚を直ぐ捌いて食う
刺身は 堪らんよな!
では…
焼いた魚は好きか?
まあ…。
気仙沼行った事あるか?
食ってこい!
福よし
焼いた魚が美味いぞ!

{BE27E61B-4773-47A4-A6FF-79AA4BC6DCD7}

そんな酒の席での話から
10数年来…

{B9773B28-AB06-4DDE-B729-65A8BB7BB91D}

パチパチと音を立てる
囲炉裏の前
少し 燻られて黒ずんだ
福よしの
メニューを手に取り
旅の心地良い疲れが
じんわりと 木製の椅子に
解き放たれて行き
酒と肴を思案する時間に
辿り着いた喜び…
(暫し 此の男を そっとしておいてください
完全に行っちゃってますから)

うんうん!
此れだけで 堪らず
プレミアムモルツ
喉を唸らせて
一杯 行っちゃいました!
うーん
正に今日は
プレミアムな日じゃないですか

{5ECBE125-C905-4A47-9391-E81C16A57B3B}

アルコールが入って
今宵の口の準備が整った所で
改めて メニューを 暫し凝視…

料理おまかせコース(ふむふむ 成る程 )
今日のお魚いいところ 地元のもので(うんうん)
遠方の方には(其れ 私です!)
お店の方〜
私 決まりました!
全て お任せしちゃいますよっと!

此の日は
きちぢ 秋刀魚は売り切れ
其れではと言う事で
焼き魚は鰈をチョイスしましてと
4000円のコースで
遠方からの私を
何とかしてくださいませ!

{78C14C37-0CF2-4D48-A609-B30D27677D93}

無煙の紅と
青白い火炎に
照らされて
実に 艶かしい鰈じゃないですか!
あっ! お客さん
此の鰈ちゃんには
決してお手を触れないでくださいませね!
私のご指名 既に予約済なんですよ
そんな 可愛い鰈ちゃんに
約30分程 じっくりと 
魔法を かけて 
私好みに 変身させてくれているのですからね

と此処で
ビールグラス持って 
中腰で魔法を覗いている男に

お一人で淋しいでしょう…
只今 カウンターの席が空きましたので
お移りになりますか?
の声がかかりましたのです。
……
待ってましたね
此の時を。
という事で
良い気分に 出来上がって来た男は
大将の真ん前の特等席へと
ちょっぴり赤ら顔で
思わぬ 出世を果たしたのです

お初の店のカウンター
黙々と仕事をする短髪の主人と
素性の知れない
赤ら顔の客が向かい合います
将棋を指す様な心理戦と緊張感。
……
……
向こうの最初の一手は

{ED8ADF10-7DFA-4D6B-8717-4809EBAFB28F}

こう来ました!
上から時計回りに
鰹 モウカの星 秋刀魚 ヒラメ
正に 皿の上は
初秋の気仙沼の
海の訪れですね 此れは‼︎

思わず 満面の笑みを浮かべた私
其れを見た大将も頷きます
という訳で
囲むのは 将棋盤ではなく
美味しい料理なので
直ぐに 和やかになっちゃうのでした!

鰹は戻りで 抜群の弾力と
すうっと切れる脂が堪りません

ご主人曰く
此処数年 気仙沼では
秋刀魚は不漁という事ですが
出て来た秋刀魚の見事さ
ピンと口の中で
跳ね返る様なプリプリ感
噛み締めると 凝縮された旨味が
溢れ出します

そして モウカの星
何やら 
動物のお肉の様な赤身が目を引きますが
実は ネズミザメ(鮫ですよ)
の心臓なのだそうですね!
うーん しんの臓ですか…
ジョーズの 心臓ですか…心臓。
ちょっと 躊躇いますが
ご主人も横目で見ている事ですし
パクッと
……
……
何でしょう  此れ!
絹ごし豆腐の様な舌触り
歯をサクッと入れると
コリコリと 刺激が伝わります
見た目程 血生臭さは全くなく
美味い!と言うより
噛み締める楽しさを感じる食材ですね
思わず もう一枚!
と言いたくなりますね!

{81C49399-B493-49DA-BE60-39E60A02F9CF}
生うに

三陸産のワカメが添えて有り
磯の香りプンプン
生ですから 醤油はご法度!
あ〜私が酒飲みでなかったら
ご飯に乗っけて 
ワシワシ行きたい所なのですが…
脳裏に 此の旨さを焼き付ける様に
一切れ 一切れ 大切に味わいましょう

柔らかなウニが
ねっとりと 崩れて行き
舌の表面に
コーティングされて行くのです
報告 只今
口の中が 三陸海祭りとなっております!

{62991968-1A3B-4760-8491-F7045EC80079}
イカ腑味噌焼き

酒飲み泣かせの逸品が
此処で登場して参りました
陶板に火をかけて
焦がさない程度に
好みに焼きながら頂くのですが
イカは旨味の宝庫(スルメが美味いですものね)
其れに 腑の濃厚なコクが加わり
此れが 火を通る事で
美味しさ 増し増し
其れにしても
イカを焼く匂いって
酒呑みを 新たに覚醒させますよね!
酒のペースを 乱しやがって
此の野郎‼︎

{DCD278E8-B5C7-447C-8684-EC22365B34F9}
鯖味噌煮
ふうっ〜 此処までで 既に
ボリューム満点ですが
然し乍ら
此の後に
変身中の予約済のアレが
出番を待っているのです
10数年間 楽しみにしていた アレが!
明日 液キャベ買ってあげるで
私の胃袋 もう少し 頑張って下さいね

ブツブツと 酔っ払いの独り言が
出始めた所で
お出ましになりました!

{D3923BCE-418E-43BC-9024-8212C3A9952D}
焼き魚 鰈

お皿に
ピンと体を張った姿で
横たわった鰈
焼きを入れる前に比べて
ちょっとふっくらした風貌は
身体内部から出る
旨味が 表面に溢れて来た証なのでしょう

身離れが良く
箸がすうっと入ります
一箸で掬った身は
微かな湯気を湛えています
口の中に放り込み
ホクホクとした柔らかな繊維を
ほぐす様に 舌の上で転がすと
旨味の成分を含んだ湯気が
鼻からすうっと
抜けて行きました

皮の部分も旨味が染み込み
此方は 
香ばしく
パリッと した食感
その極端な対比が 
益々 魚を やっつける箸を
止まらなくするのですね

脂が滲み出る魚と違い
旨味を味わう
その繊細な美味しさが
焼く事によって 一層際立ちますね!
充分に堪能致しました!
10数年来の 念願 充分に 叶いましたよ!

魚に肴
料理は
何れも 気仙沼産の
美味くて 此処でしか味わえない物
腹もパンパンに満たしてくれます
お酒も抜かりなし
ご主人の
気遣いも心地良い

カウンターに
私以外誰もいなくなり
主人と 小一時間
じっくりと
お話をさせて頂きました

酔っ払いの私に付き合って頂き
お魚の事 料理の事から始まり
プライベートな事まで…
長らくカウンターを守る
主人の 話は
酒をも美味しくさせる様です

{84168915-FBBC-460C-9B7F-69CABA38AC20}

あの日から 6年半。

{3121E640-945B-4314-99C7-7F6CCF4D0AFA}

カウンターの端
あの日までの 福よしの姿が有りました
美味しそうに魚を頬張る
賑やかな店内を
優しく
見守っている様に見えました

{EF3621A5-43EC-4FD2-A269-CAC7CDE0DD0D}

芭蕉さんの様に
歌枕を辿る旅では有りませんが
オグの細道
肴 酒 人
何時迄も記憶に残るであろう
素晴らしい街 気仙沼に
私は 此の旅
最初の一夜を選んだ様です。

(今回の反省文)
うーむ長い!
決して サボっていたブログを
取り戻そうと
必死に長文にした訳ではございません…。
取り敢えず 次回に続くのです。