長かった4年間の戦いに、やっと区切りがつきました。
羽生結弦選手にとって、それはかつてなく、孤独で苦しい戦いの日々でした。
平昌五輪で66年ぶり・通算4人目の2連覇を果たした時と、今とでは別人です。
彼は、悩み迷い苦しみ続けた日々の中で、人間としてさらに成長を遂げていました。
平昌五輪前からグラグラだった右足で、4回転アクセルに挑戦する。
それは無謀としか思えない目標でした。
同時に、彼は五輪3連覇も狙っているようでした。
一方、ライバルのネイサン・チェン選手は、盤石の体制で五輪金に照準を絞っていました。
どう考えても、このままではネイサンに勝てない。けれど、羽生は諦めませんでした。
2021年11月に古傷の右足首を負傷、右足関節靱帯損傷という大けがをした羽生選手。
原因は4A練習のしすぎでした。
『跳べなさ過ぎて、失望して、精神がぐちゃぐちゃになっていた。何回も何回も体をリンクに打ちつけ、本当に死にに行くようなジャンプをずっとしていた』
勝負の鍵となるSPで、彼は不運に見舞われました。
氷の穴にエッジがはまり、得点源の4回転が抜けました。
とっさの機転で最善の対処をしたとはいえ、SP8位で96年ぶりの3連覇は絶望的に。
フィニッシュに笑顔はありませんでした。
試合後インタで「氷に嫌われちゃったかな」と苦笑いする様子は、彼の中で、何かが大きく変わったことを感じさせました。
「もうしょうがないなって感じです。自分の中でミスはなかったなって思っています」
冷静さと、諦念と。
「リンクに立つ時は何も不安な要素はなく、すごく集中しながらできたと思っています」
淡々と語る彼はすっかり大人でした。
がむしゃらに勝利への執念を燃やしていた姿は、もうありませんでした。
前日練習で右足を捻挫し、許容量を大幅に超える鎮痛剤を使って臨んだFSは「4回転アクセルを決め、プログラムを完成させる」ことだけが目標でした。
果たして、冒頭の4回転アクセルは転倒、続く4回転サルコーも転倒。
2度の転倒で体力を削り取られ、右足にきついダメージを負いながらも、彼は最後まで諦めることなく「天と地と」を滑り切りました。
凄絶な演技は観客の心を打ちました。
独りでキスクラに座り、得点発表を待つ羽生選手。彼はずっとコーチ不在のままで練習してきたのです。
結局、総合4位まで巻き返したものの、メダルには届かず。
しかし、次の瞬間「4A認定」の報が!
私は叫んでガッツポーズ。
良かった…思わず涙があふれました。
4年間の苦闘が曲がりなりにも実を結びました。
最後の最後に、天は羽生選手に微笑みかけました。
バックステージで荒川静香氏を見た瞬間、涙がこみ上げて思わず背を向けた羽生選手。
「全部出し切ったっていうのが、正直な気持ちです」
「もうちょっとだったなぁって思う気持ちももちろんあるんですけど、でも、あれが僕のすべてかなって」
「前半2つのミスがあってこそ『天と地と』の物語が出来上がったのかなって気もします」
「報われない努力だったかもしれないけど、一生懸命頑張りました」
健気な答えに不思議な感慨を覚えました。
「努力しても報われないことの方が多い」は、凡人なら成人前に知る真理です。
天才・羽生結弦も、27歳にして、ついにそれを知ったのだなぁ…と。
取材依頼が殺到したため、2月14日、羽生選手は個別記者会見を開きました。
その受け答えは「完璧」でした。
彼が冒頭に述べたのは、五輪王者ネイサン・チェン選手への称賛と、関係者各位への感謝。
最初から最後まで感謝の言葉が尽きない会見でした。
そして、ファン待望のエキシビション 。
無理に無理を重ねた右足首の状態は深刻でした。
「練習では、普通は1錠が適切と言われている痛み止めを4錠くらい飲んでいます。それで右足をあまり使わないジャンプを。ループやフリップ、ルッツをやらないでいれば、ランディング(着地)は何とか耐えられるかなと思いながら。あとは楽しさとアドレナリンで何とかやっていました」
「昨日(2月19日)までの練習はギリギリの状態でやっていたけど、今朝のフィナーレ練習で、痛み止めを1錠しか飲まずにどのくらいできるか試してみたんです。そうしたらめちゃくちゃ痛くて…アクセルしかできなかったんです。その後に追加して今日は6錠くらい飲んでしまっています。そういう状況なので足首をちゃんと休ませてあげようかなと思っています。」
「ただ、普通の状態だったら足首だけですむ問題かもしれないけど、ここまで楽しませてもらっている中で足首を過剰に動かしていたら、体のバランスも崩れてたぶんいろんなところが痛くなってくると思うんです。だからちゃんと休ませてあげて、いろいろ考えながら総合的に判断して世界選手権をどうするか決めようと思っています」
清塚信也氏のピアノ演奏「春よ、来い」に乗って華麗に舞った羽生選手。
「世の中にはたくさん辛いことがあって、どうしても逃げられない辛さや、何も言えないで苦しんでいる人もいると思います。…そういう方々に少しでも幸せな時間や少しでもほっとできる時間が、春が来たらいいな、と思って滑りました」
演技後は、涙を流しながら、こんなことも語っていました。
「人生って報われることが全てじゃないんだなと。報われなかった今は今で幸せだなと。」
「不条理なことはたくさんありますけど、少しでも前を向いて歩いていけるように頑張っていきたいと思います」
「自分が一番目指していたもの(金メダル)はとれなかったですし、完全な成功とは言えなかった。でもやっぱり幸せだなと。この舞台で滑れることはとても幸せだったし、忘れられない僕の宝物の時間になったと思っています」
「皆様に見ていただけるからこそ僕は滑ってこられたと思いますし、見ていただけるからこそ僕の演技に何かしらの意味が生まれると思います。なので、ホントに皆様に感謝したいなって思っています」
また、今後については
「羽生結弦が大好きなフィギュアスケートを大切にしながら極めていけたら」
「フィールドは問わないって自分の中では思ってます」
「それがアイスショーなのか、競技なのか、それが報われるのか、報われないのか、僕にはちょっと分からない」
「羽生結弦のスケートが好きだなって思ってもらえる演技を続けたいと思っています」
とのこと。楽しみですね。
今後も滑ってくれるのなら、まずは右足をきちんと治して欲しいです。
鎮痛剤の使い過ぎは、命を落とす例もあるほど危険なので…。
3度もの五輪挑戦、本当にお疲れ様でした。
羽生結弦さんのご健康とお幸せを、心から祈っています。
思考整理アドバイザーの
野中ナオミでした。
1つでもチェックがついた貴女。
思考整理で生活をスッキリさせませんか?
丁寧なヒアリングで問題点を整理し、
個性に合った具体的提案をします。
お問い合わせはこちら★
サービスメニューはこちら★
お客様のご感想・一覧はこちら★























