特別企画 番外編②杉江能楽堂紹介 其の七 | 能meets

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観世流能楽師 林本大による
わかりにくいからこそ面白い能の、わかりやすく「濃密」な講座。
「能が皆さまに会いに行く」をモットーに大阪・東京・高知・栃木、他(福岡、長崎、札幌)で開催。
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能meetsブログ特別企画

番外編② 杉江能楽堂紹介 其の七

 

今回は「道具について」です。

能楽堂にある色々な道具と、それに付随する事についてお伝えしたいと思います。

 

お能では作り物(つくりもの)と呼ばれています。

舟や山、車に宮殿や鐘楼など現実的に「大きな物」を装置として舞台に出すことがあります。中にはかなり簡略されたものもあり、舟は最初に見た時ちょっと驚きました。

そして文字通り、殆ど作ります。

元々あるものも中にはありますが、その日の曲に必要なものはその日につくるのです!これも驚きでした。

もちろん能楽師自ら。

そして常備されている道具は、能楽堂によってそれぞれで、ない場合は、他の能楽堂にお借りしたり、個人でもっているものを持ち込んだりするそうです。

それを把握しておくことや、準備することも大切な仕事ですね。

 

杉江能楽堂は、去年から一般公開しているので、まだ道具は揃ってはいないので、これから揃えていかれる予定というお話でした。

ひとつひとつ、出来上がっていく感じですね。

 

今回は林本先生がお持ちの作り物を見せていただきました。

 

 

こちらは丸立木台。

立木台には丸と角があります。

丸は「松風」「胡蝶」

四角は「羽衣」「藤」

などに使われます。

丸の場合はその立木台の廻りをまわる演出があるそうです。

例えば「松風」では、この作り物に一本の松の木を立て、それを最愛の人・行平に見立てて、彼を慕うようにその廻りをまわります。

 

 

バラバラに解体された道具を、「ボウジ」と言われるサラシを包帯のような状態にしたもの(これも手作り)と、紐で作り上げていきます。

 

 

 

 

このボウジも一回一回、道具をバラシたら綺麗に巻いて保存しておきます。

 

 

 

きつくしっかりと巻かないと、次に使う時に困るので、太ももの上に広げて引っ張りながらしっかりと。

 

 

この動きだけでもう職人さんのようでした。

試にやらせていただきましたが、当然うまくいきません…力も入らないし、まっすぐに巻けずに端から飛び出してしまったり。

もちろんめちゃくちゃ遅くて…

 

これも、糸針の時に紹介した糸を撚るように普段からやっておく仕事なんでしょうね。

ちなみに一番大変な作り物は道成寺の鐘だそうです。

これは、後見ではなくその日のシテが自らされるとか。

鐘の中はシテしか見ることが許されないからだそうです。

色々なしきたりがあって本当に興味深いですね。

 

自分でもっていることが多い道具のひとつがこちら

 

 

 

長刀

使用する曲は「巴」や「船弁慶」「橋弁慶」「熊坂」などがあります。

組み立て式で3つに分かれてました。

中々の高級品で、お稽古との時は木で出来たもの練習用のものを使用して、本物は舞台の時にしか使用しないですね。

とはいえ殆どの道具や装束は本番の舞台にしか使用しないところがお能の特徴でもありますね。

 

現代演劇ではドレスリハーサルや、衣裳パレードという名前で必ず本番と同じ衣裳をつけて稽古したり、ゲネプロと言うお能での申し合わせでは、本番同様のセット・衣裳でやります。

 

だからこそ、今の状況で「舞台が出来る」となった時に、一ヶ月のお稽古が必要な現代演劇よりも、日頃から個人個人のお稽古で、たった一回の申合せで本番を迎えられるお能がいち早く再開出来るのでは、とスタッフ個人的には思っていたりします。

もちろん、宣伝や準備、能楽堂や能楽師方のスケジュールなど問題はあるのでそう簡単には行かない部分もあるんでしょうけど。

早くお舞台が拝見したいと、日々思っています。

 

そして、その長刀で少し先生が舞台で型を見せてくださいました。

 

 

かっこいいですね!

 

その長刀を使う「船弁慶」では、前にご紹介した揚幕の中で、床几のひとつ鬘桶を使った特殊演出があるそうです。

 

 

揚幕を竹の棒を使って、揚げるのは後見の仕事ですが、こういった

半幕という状態もあります。

その名の通り、半分の状態。

これは、波間から覗いている…という演出。

本来であれば開いているのは上部分で顔を見せるとわかりやすい演出なのですが、敢えて真逆。下を揚げて顔は見えるか見えないか…

「小鍛冶」の時に雲間の上から覗く…という時もこの演出をされるそうです。

面白いですね…これがまた脇正面の端からは見えないであろうところが面白いところです。お客様と言えど全部見られないんです。

 

 

 

 

 

橋掛と相まって、この距離感と演出。

本当に魅力が詰まっています。

 

 

本当はこのブログ特別企画、当初はもう少し早く終わるつもりでした。

ですが、舞台や講座が開催できない残念な状況がまだ続きそうですし、その中で幸いにも好評いただいていることもありまして

もう少し続けられないかと先生にも相談しました!

 

そこで先生からご提案いただき

引き続き杉江能楽堂さんにもご協力いただき、過去に撮影させていただたいた写真と、既存のものとを取り合わせながら

番外編③ 能の道具

として、この後はその他の道具をご紹介していきたいと思います。

そのあとも、能meetsを忘れられないよう、そして新たに知っていただけるような企画を何かしら考えて発信していきたいと思います。

 

興味を持っていただき終息後はお能の公演や関連イベントに足を運んでいただけるよう、続けていきます。

よろしくお願いいたします。