欧州情勢に目を向けると、一九三三年に誕生したヒトラー総統に率いられたドイツはオーストリア、チェコスロバキアと次々に武力は使わないものの恐喝的に併合し、さらに勢力を拡大する気配であった。
「欧州情勢は複雑怪奇なり」とコメントを残し、平沼騏一郎内閣が総辞職する。
一方フランスではすでに述べたように、一九三六年に日本が独伊と防共協定を結んで以来、日本に対する風当たりが強くなってくる。軍国主義、全体主義はフランスの伝統的な個人主義とは相容れなかった。そんな影響で邦人女性がスパイ嫌疑で、フランス警察に逮捕されるような事件も起こった。

