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<緊迫の欧州情勢>  
 
欧州情勢に目を向けると、一九三三年に誕生したヒトラー総統に率いられたドイツはオーストリア、チェコスロバキアと次々に武力は使わないものの恐喝的に併合し、さらに勢力を拡大する気配であった。 
 
一九三九年に入って、ダンチヒ回廊を巡るドイツとポーランドの間の緊張が高まり、そのまま戦争にまで発展しそうな気配であった。そして同じ年の八月、不倶戴天の敵同士と思われていたドイツとソ連が、不可侵条約を締結する。日本ではこの条約成立の知らせが入ってくるなり
「欧州情勢は複雑怪奇なり」とコメントを残し、平沼騏一郎内閣が総辞職する。 
 
一方フランスではすでに述べたように、一九三六年に日本が独伊と防共協定を結んで以来、日本に対する風当たりが強くなってくる。軍国主義、全体主義はフランスの伝統的な個人主義とは相容れなかった。そんな影響で邦人女性がスパイ嫌疑で、フランス警察に逮捕されるような事件も起こった。 
 

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第一部以上

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