庭のあちこちで、バラたちがぞくぞくと咲き始めました。
イングリッシュローズの「ザ・シェパーデス」は、柔らかなアプリコットピンクの花びらが優雅に開き、朝の光を受けて輝く姿がとても愛らしいです。
そしてオールドローズの代表格「マダム・ピエール・オジェ」は、気品あるロゼット咲きと淡いピンクのグラデーションが目を引きます。咲き始めのころんとした形に、毎年のことながらうっとりさせられます。
そして「ポールズ・ヒマラヤン・ムスク」。例年は外に向かって咲いていたのですが、今年は少しだけ枝を庭側へ誘引してみました。
そのおかげで、淡いピンクの小花がふわりとこぼれるように咲き、庭からもその可憐な姿を楽しめるようになりました。花びらの質感、色、そしてそのたたずまい……やっぱり大好きです。
庭では、思いがけない小さな奇跡もありました。
こぼれ種から育ったバラが、ついに開花。どんな花が咲くのか楽しみにしていたのですが、顔を見せてくれたのは、白くて素朴で、どこか野の花のような可愛らしさを感じる一輪でした。小さな蕾が控えめに並ぶ姿も愛おしく、自然の営みの中でこんな風に生まれてきたバラに、しばし見とれてしまいます。
そして、今年も「紫玉(しぎょく)」が見事に咲き誇っています。
深い紫紅色の花びらが幾重にも重なり合い、その濃密な色彩はまるでビロードのよう。咲き始めから満開、そして散り際まで、どの瞬間も美しく、思わず何度も立ち止まって眺めてしまいます。花の重さでしなやかにうなだれる枝先に、紫玉の風格を感じます。
バラだけではありません。庭には今、いくつもの香りが満ちています。
咲きこぼれるバラの甘い香りに、エルダーフラワーのすっきりとした香り。
そしてエゴノキの小さな白い花が、やさしく包み込むように香ります。
風が吹くたび、花と香りが交差し、今だけの特別な季節を感じさせてくれます。
香りに包まれた庭で過ごす時間が、毎日のささやかな喜びです。








