さぁ、続けましょう。

この攻撃性がついた最大の原因は私は飼い方にあると思います。
それは、学習によってこのある抑制の枠を越えてしまう、ということが
大きく関係しています。

子犬を飼いますね。
私のところでは子犬同士がケンカをして、
それが大けがをして外科的な治療をしたということが一度もないんです。
それは、怪我をしないような抑制があるからなんですね。
ですから、安心して子犬同士はいっしょにすることができるんです。

ところが、荒っぽい飼い方をする国があるんです。
マレーシアでしたか。私も行ったことがありますが、原則として野育てなんですね。
人間が家の中で丹念に飼う飼い方じゃないんですよ。
そうしますとね、その中にそういった抑制をまったく無視して、
同じ仲間、小動物を殺したり傷つけたりする傾向を持つ犬ができてくるんです。

よくあるでしょう?テレビなどで、人間と猛獣がいっしょに暮している、仲よくしている、
また、サーカスなどでクマといっしょに演技をしている・・
これは、なぜそういうことがいっしょにできるかというと、育てる過程で、
攻撃ということ、相手を殺傷するということを教えないからなんです。
そういうチャンスを与えないんでそういうことができるようになるんです。

ところが、一度攻撃する、ということを教えますと歯止めがつかなくなっちゃうんですね。
これは、人間にはたくさんいろんなことがありますでしょ。

たとえば、「I love you 結婚してください」という時には
ある壁を越して相手に対して
告白をしなければなりませんね。見えない壁をぶちやぶるわけですよ。

プレデータアタック(PA)と僕は言ってますけれども、
これを起こすためにはある種の壁をぶち破らないとその行動というのはおこってこないわけです。

たとえば、チーターが子供たちに捕食を教えますね。
その時には草食動物を生きたままくわえてもってくるわけです。
そして、子供の前におくんです。
子供は、それにじゃれつくような感じで咬みつくんです。
でも、決して殺さないんですね。
そこにいくまでには、一つの壁を越さなきゃいけないんです。
で、逃げますから、母親がまた行って捕まえて殺してみせますね。
それによって、殺すということを学習するんですね。


ですから、マレーシアの荒っぽい環境の中で
自分のテリトリー、自分の農園、自分の飼われている主人の家を守るために、
やってくる野犬などにたいして、それを追い払う、傷つける、徹底的にこらしめる、
という集団行動を後ろにくっついていてやった場合には、
この壁をなんなく越えてしまっているわけなんですね。
そして、そういった行動をしないという抑制の反応が脳から消えているわけです。

そこが出発点だと思いますが、もう一つはですね、
検疫というのは必要不可欠なものなのですが、非常に切ないものなんです。
たとえば、イギリスから日本へ、犬をつれてくる場合にはわりと楽ですね。
マレーシアの場合はちょっと大変ですね。拘留期間も長くなります。
そういったときに犬は悲しい思いをするわけなんです。
そこで、ちょうど精神の発達の時期に、そういった思いをしますと、様々な屈折ができてくるんです。


そうすると、旦那さんがほかの犬をかわいがる、それを見てやきもちでいっぱいになってすぐに、
そこへ行って襲いかかる、そういうことがもう理の当然でして、起こってくるわけですね。
これをぜひとも、なくしていただきたい。

で、話すともっと長くなりますが、緊急のことなんで、
かいつまんで処置の方法をお伝えしたいと思います。

まず。
Nさん。

あなたが、「この犬は絶対に正常になるんだ。友達になれるんだ。」という確信をもってください。
それが、まず大切ですね。
そして、ほかの犬や、人間の子供に会わせるときに、必ず口を開かない犬具を使用してください。
そうすると、あなた自身が自信を持てますね。
迷惑をかけないんだ、という確信、自信をもってその犬を扱えるわけなんです。
すると、それが犬に伝わるんですよ。
これも繰り返していくことによって犬は、あなたの家に次第になじんでくるとおもいますね。

BYムツさん 畑正憲

To be continued 


話はその3へと続きます。